現代の宗教戦争。結婚教vs避婚教
東大の赤川学先生に拙著 取り上げていただきました。
先生の解説がめちゃくちゃ的確でわかりやすいです。ありがとうございます!是非ご一読ください。
赤川学 1967年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。専門は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ研究、人口減少社会論。著書に『子どもが減って何が悪いか!』『これが答えだ! 少子化問題』(ちくま新書)、『明治の「性典」を作った男: 謎の医学者・千葉繁を追う』(筑摩選書)、『セクシュアリティの歴史社会学』(勁草書房)、『社会問題の社会学』(弘文堂)など多数。
この記事に対するツイッター、ヤフー、NewsPicks上でのコメントが、まさに現代の宗教戦争の体裁を示していておもしろい。
つまり、結婚教と避婚教との価値観の戦いなんですね。避婚教とは、非婚でも嫌婚でもなく、もはや結婚を避ける人たちという意味です。
結婚教の方は、どうも「結婚をコスパで考える」ことにものすごい嫌悪感を抱いているようです。
「結婚はコスパ」と言うと大体炎上します。今回のこれも、 トップトピックスにも載っていないのに相当な数字です。headlines.yahoo.co.jp
僕の連載「ソロモンの時代」で書いたこの記事も炎上したなあ。
コストって別に金だけじゃなく、時間も精神的負担もコストです。何を大切にするかは人それぞれですし、無理やり改宗を迫ったりする必要性はないと考えます。にも関わらず、既婚教の人たちは避婚教の人たちをどうしても改宗させたいらしく、うるさく言ってくるわけです。
こういうのにいつも出てくるのがこれ。
「愛はお金では買えない!」とか「愛こそすべて」ってやつ。
ちょーだせえ!
大体、「愛こそすべて」とか言ってる奴に限って、「愛とは何か」なんて実はわかってないんですよ。そのあたりはウートピのインタビュー取材でお話しているのでこちらをご覧ください。wotopi.jp
今回の記事のRTの中におもしろいものがありました。イギリス人の先生が、日本の高校生が結婚の話題で「愛についてちっとも触れない」と嘆いている話。
「僕は君たちに結婚について聞いているんだ。どうしてみんな金のことばかり言う?どうして一人も愛について言わないんだ?」
— zakkey@闘う介護士児童指導員 (@zakkey5) 2017年11月23日
高校時代の先生の言葉だ。イギリス人だった。
/家族はコスパが悪すぎる?結婚しない若者たち、結婚教の信者たち https://t.co/c4mky1pJMn
当然ですよ。イギリス人にすれば、愛はあるんでしょう。ですが、日本人にとってイギリス人のいうLOVEとかROMANCEは明治以降に翻訳された輸入品ですから。キリスト教の方はいいですけど、ほぼほとんどの人が違うし、もともと日本人の奥底で培われてきた「結婚観」というのは西洋とは異質のものです。
そこには愛よりも「生活」があった。それが日本人の結婚観です。そもそも論を言ってしまうと、男女の結びつき及び結婚的なものなんていうのは、生きていくためのコスパが高い形態だったから選択したわけ。生きるための手段。愛なんかよりコスパが先にあったんですよ。それを知らない人多すぎる。
※この話をするとそれだけで書籍一冊書けるのでまた別の機会に。
ところで、結婚教と避婚教とのいざこざですが、まだ勧誘レベルでおさまっているうちはいいんです。そのうち「こいつ改宗しないな(結婚しないな、子ども産まないな)」と思うと、一転異端扱いし、批判し、排除し、下手すれば(社会的に)抹殺しようとします。まさに魔女狩りです。
考え方の違いを論じるのは大いに結構ですが、自分と違う考え方の人間を異端扱いし、その人格を否定する言い方にならないよう気を付けていただきたいものです。
何を信じるかは自由です。私たちは八百万の神の国の人たちなんですから。
というわけで、赤川先生も推薦していただく
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葛飾北斎の眼力が最先端テクノロジーすぎて震える。
これを見ると、葛飾北斎の波の表現がいかにリアリティ豊かなものだったかが改めてわかって、震撼する。よくこんなハイスピードカメラみたいな眼力していたな。
波の中身ってこうなってるんか。
— 笑ッターwwwww (@waratta_www) 2017年11月17日
すげえなwww
https://t.co/YAlTsIMOs2
北斎が最期の描いたとされる、信州小布施上町祭屋台天井絵(桐板着色肉筆画)のうち『怒涛図』。
北斎、恐るべし。
炎上した子無し税問題ですが、子ども産んでも増税されますよ。
2017/11/18付共同通信の「年収800万円超で増税案 政府検討、子どもなし世帯」という記事をきっかけに、「すわ?子無し税か?」とネットが騒然となりました。
政府が2018年度税制改正で議論する所得税改革に関し、子どもがいない世帯では年収が800万~900万円を上回る場合に増税とする案を検討していることが16日分かった。各種控除の見直しにより高所得層が増税となる一方、低所得層は減税とし、子育て世帯も負担が重くならない仕組みを目指す。
こんなネット記事まであがる始末。www.excite.co.jp
「子どもがいないことは罪なのか?」とか「ほしくたってできない夫婦だっているんだぞ!」とか大体炎上している内容は感情論です。
ちょっと待て!
冷静にちゃんと記事呼んだ?
その前日の日経を読むと「年収800万円以上のサラリーマン増税で子どもがいる世帯だけは除く」とある。子どもの定義も不明。
-2017/11/17付日本経済新聞 朝刊
仮に未成年を子どもとして計算すると、一番増税の対象になるのは50歳以上の子どもを育てた夫婦になるという。※50歳以上の夫婦と子世帯は計算の便宜上子どもは成人していると換算して除外しています。
ちっとも子無し税ではないよね。
要は800万円以上の全世帯を増税するけど、子育て中の世帯に限り免除するってこと。子なし税というより高所得者税なんですよ。子を産んだら税を取られないわけではなく、子を産んでも成人したらまた税は取られる。それがわかっていない人が多い。
恣意的な新聞報道を鵜呑みにして、「子無し税なんてけしからん!」と炎上する人たちの文章読解リテラシーのなさの方がヤバいよ。
逆を言えば、恣意的な政府の言い方に簡単にだまされるってことだから。
で、誰が対象になるのか年収別全世帯でグラフにした。
こんな一部の人たちなんですよ。
仮に、この人たちから報道で言われているように一律年間10万円の税を徴収したとしましょう。この人たちの世帯数は640万世帯。6400億円にしかならないんです。それって、消費税にしたらたった0.3%分。だったら消費税でよくない?
なぜなら、こんなことの事務処理のために、ものすごいコストかかったりするわけですよ。もしかしたら6400億のうちの3分の1がコストとして使われるだけかもしれない。
そっちの方がよっぽど無駄。
年収別に続いて、年収と世帯類型を加味して年代別に分けてみた。
これ見るとわかるのは、800万円以下の年収だと半分が子育てしていない(できない)のね。一部のできちゃった人を除けば。※こちらの子ども子育て世帯は便宜上で実数ではないです。参考値として見て下さい。
なので、こう思うんですよ。
これって子無し税ではなく、共働き税じゃない?
だってこれは、個人収入ではなく世帯収入だからね。そっち指摘しないと。
別に官僚の肩を持つつもりはないけど、炎上している「子なし税」の正体というのは、「800万円以上の所得全世帯を増税しますよ。但し子育て中の世帯だけは負担ないように対象外」って話なんです。
物は言い様で、そう言われてみればそれほど文句言われるものでもない。また少子化対策とは無関係。よく考えてほしいんですけど、年間10万円ごときの増税で子どもを産むとかの決断に直結しますか?大体、上のグラフにある通り、子育て世帯の年齢層は30-40代集中だし、そもそも増税対象外なんだから関係ないんですよ。これで出生率があがるわけがない。
むしろ文句言うポイントはそこじゃなくて、女性活躍社会とかいいつつ、夫婦が共働きして稼いだら税金とるよって矛盾してないか?ってとこ。そもそも世帯で800万って400万+400万でも対象になるわけで、特別高所得というわけでもない。普通に夫婦が正社員で共働きしていたらいけちゃうレベルです。
高所得じゃないのに増税されるんです。女性活躍しろと言っておきながら、専業主夫の方が得するんです。
そっちの方が問題でしょう?
なんでそうなるかというと、所得という考え方をいつまでも世帯で考えているから!
僕は以前から言うように税は、世帯ではなく個人単位にすべきだと思うんですよね~。なんでいつまでも世帯単位で考えるのかな?
配偶者控除の場合もそうだけど、世帯で考えるから変になる。
いずれにしても、2035年には男の4割、女の3割が生涯無子になるんです。これは少子化対策とか金のバラマキとかいくらしたって止まらない。子どものために子の有無関わらず税負担する考え方は賛成だけど、それによって個人の生き方に損得や善悪感情が起こらないようにすべきだと思います。
こちらもご覧ください↓wildriverpeace.hatenablog.jp
西野亮廣を科学する④「ネタバレ」から始まる巻き込み型マーケティング。
書籍の無料公開を自ら実行し、成功させた先駆けはご存知キンコン西野さんです。書籍は無料で全文公開した方が売れる?という言葉に疑問を持たれる方は、まず西野さんの「革命のファンファーレ」を読まれるべきと思います。
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そんな中、小学館がミステリー小説を発売前全文公開に踏み切ったというこのニュース!
小学館は17日、ミステリー作家、蘇部健一さんの書き下ろし小説のタイトルを一般公募すると発表した。集まった案の中から編集部が選んだ5タイトルを最終候補としてネット上の投票で決めるという異例の試みだ。17日から12月7日までの3週間、小学館のサイトで全文を無料公開した上でタイトルを募集する。
この人が著者の蘇部健一さん。
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とてもおもしろい!
これは、キンコン西野さんもびっくりの思い切ったやり方でしょう。絵本やビジネス書と「ネタバレ厳禁」のミステリー小説とはやや違いますからね。
かつてミステリー小説でベストセラーになったものは数多くありますが、その中でも最後の一行で大どんでん返しになるようなものは、マナーとしてたとえネットでもネタバレは避けられるものでした。
例えば、ダウンタウンの松本人志が絶賛していたとか叙述トリックの古典ともいうべきなどはネタバレしたらつまらないと言われてきました。
※ちなみにこのふたつの小説、おもしろいです。
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でも、時代は変わります。ネタバレから始まる巻き込み型マーケティング、どんどん広まっていくと思います。
西野さんの「革命のファンファーレ」に、"人は確認作業でしか動かない"という言葉がある。これはまさにその通りで、これだけ情報過多の時代に、得体のしれないものやわけのわからないものに生活者はお金や時間を割かない。だって失敗したくないもの。
人々がどんなに宿泊費が高くても京都の紅葉を見に行くのは(普段6000円のアパホテルが25000円になる)、京都が日本一素敵な紅葉を見せてくれるという事前情報や写真がたくさんあるからだ。紅葉の素晴らしさは実は全員知っている。自分の目で確認するために行くのだ。また、「君の名は」「シンゴジラ」を何回も見に行くのも自分の感動の確認作業です。
それと同じと考えれば、事前にネタバレは避けるべきことどころか、やらないといけない必須事項になる。しかし、これが当たり前になるためには、西野さんだけではなく、いろんな人や企業がやり始める必要があることも確かです。
実は、今回小学館が小説の全文公開する前に既にそれを実施した老舗出版社があります。それが新潮社です。
しかも、新潮社が今回のニュースに際して、小学館にツイッター上でエールを送るというおもしろい流れに。
発売前に無料全文公開という『 #ルビンの壺が割れた 』方式、ついにフォロワーが生まれました。しかもタイトルは『文庫X』ならぬ『小説X』…。既視感がすごいのですが、「会社ぐるみ」という堂々たる開き直りぶりが痛快。僭越ながら、ガンバレ! (茶) https://t.co/JUTpTYGnGB
— 新潮社 広報宣伝 (@SHINCHOSHA_PR) 2017年11月17日
新潮社は、今年の7月にという小説で発売前全文公開というのを実施しています。
ルビンの壺が割れた | |
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その狙いと戦略についてはこちらの番組で話題にされています。
発売前の「すごい小説」を全文公開…異例の試みは成功!?
MCの佐々木俊尚さんが的確な解説をしてくれているので引用紹介します。
「無料段階で読ませたら本売れなくなる」ってみんな言いたがるんだけど全然そんなことなくて、これ読んで話題になればその方がいい。「この本面白かった」ってSNSで拡散してくれるわけでしょ。ずっと無料でもいいと思うよ。下手するとそれで拡散して「面白かった」って声がでてくるとやっぱり紙で読みたいという人が出てくる。紙の本買うわけです。そこがマーケティングなんだよね。みんなマーケティングの発想がないから「読んだら買ってくれない」って言いたがる。そこの誤解が蔓延してるところはあるかな。
まさにその通りで、事実この小説は売れました!重版もされているようです。多分全文公開をしていなかったらこれほど売れていなかったでしょう。無名作家の作品だから尚更です。
ネタバレしたら買ってくれない、読んでくれない、見てくれない…。
確かにそういうのもあると思います。かつて映画の仕事をしていた時に、映画会社の人が言っていました。
「つまらない映画は試写会をやらない」
なぜなら、つまらないという情報が拡散してしまうからです。試食だってそうです。まずい物は試食したら売れないでしょう。
裏を返せば、おもしろいコンテンツなら、無料だろうがなんだろうがどんどん見せてあげた方が効果的ということです。
但し、人間は自分一人の判断だと確信が持てないものです。しかし「みんなが言っている」と言われるとどうでしょう。「みんなが言っているなら安心だ」となってしまうものです。ここでいうみんなとは3人のことです。人間は3人以上が同意見だとそれを信じてしまうものなんです。
つまり、周囲の3人以上におもしろいと言わせてしまえば勝ちということです。これをマーケティング的には「バンドワゴン効果」と言います。
バンドワゴン効果とは、アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインが創作した用語。多数がある選択肢を選択している現象が、その選択肢を選択する者を更に増大させる効果。「バンドワゴン」とは行列先頭に居る楽隊車であり「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗るという意味。
飲料や食品、映画では当たり前にやられていたこの無料サンプリング。むしろマーケティングの基礎です。逆に言えば、今までなぜ小説ではやらなかったのか?という話です。
ところで、この蘇部健一さんという作家さん。実におもしろいです。
1961年生まれというからもう56歳です。今回の企画の小学館サイトに彼の自己紹介があるのですが、
小説家といってもほとんど本にもならず、貯金はゼロで、「吉野屋でバイト」とか「30歳年下の20代女性店長に使えないと言われてたり」とかダメダメ感満載なのに、やけに根拠のない自信があって、嫌味が無い感じ。
このキャラクター、大事です。
これが金持ちでイケメンで鼻もちならない男なら助けてやりたいとは思わないものです。
助けてあげなきゃ!男でも母性をくすぐられるこの感じ。
誰かに似てる( ˙ө˙)
※ 写真はイメージです。
好きですわ。応援したいwww
皆さんも、蘇部健一さん、応援してあげてください。
政府の少子化政策の失敗を可視化する「生涯無子率」男4割、女3割の衝撃!
書きました。東洋経済オンライン連載「ソロモンの時代」。第25回目。
今回のテーマは「生涯無子率」について。toyokeizai.net
生涯無子率?
聞き慣れない言葉だと思います。実は、この「生涯で子を持たない率」という公式な指標が国には存在しません。厚生労働省にも総務省の統計局にもないんです。
なので私が自分で試算しました。
拙著『超ソロ社会』には2010年のデータを基にした「生涯無子率」を掲載しています。おかげさまで各方面から「新しい指標」として注目されました。
今年話題となった経産省の若手ペーパー においても「結婚して、出産して、添い遂げる」という昭和的な生き方をする人は58%まで低下しているという記載があります。結婚しても子どもを生まない夫婦はこれからますます増えていくのかもしれません。
今回、2015年の最新の国勢調査データを基に、生涯無子率を再計算しています。ぜひご一読ください。
結論からいうと、2010年時点の試算と同様、生涯無子率は2035年には男4割、女3割になるというのは変わりませんでした。うち男3割、女2割は生涯未婚者ですので、男女とも結婚しても子のない夫婦は1割ということです。
僕が
で使用するスライドがこちら。
きれいに階段状になってる!
でもまあ、前日のブログでも書きましたが、この状態は日本政府が1974年に打ちだした「少子化推進政策」が成功したからであって、我々のせいじゃないですよね。だって「子どもを2人以上産むな」と言ってたんですからね。今更「子ども産め!」とか何を言ってるんだという話ですよ。
政府は少子化対策やってます感を出していますが、一向に効果が出てないことは明らかで、それを可視化するのに生涯無子率は使える指標だと思います。
だからって別に「夫婦は子を産むべきだ」とか「みんな結婚すべきだ」なんて言うつもりはさらさらありません。他人が決めたり、他人が強要することじゃねえから、そんなもん。
今回もいつものようにたくさんコメントいただいています。ありがとうございます。しかし、いつものように香ばしいコメントもたくさん付きました。
例えば…
「少子化は『未婚者の増加』だけが原因」だと主張している論説など見たことがありませんし、一体何に対して反論しているのでしょうか。国勢調査をひっくり返して新たな指標を作らなくとも、出生動向調査を見れば「夫婦の出生子ども数分布の推移(結婚持続期間15~19年)」が示されていますし、その結果から子を持たない夫婦が増加傾向にあることはあきらかです。
なんでしょう、この「私の方が知ってる」マウンティングコメントはwww
「子を持たない夫婦が増加傾向にあることはあきらかです」っていうけど、どれくらいの割合かあなたは計算すらしていなんですよね?裏付けもなく感覚で物を言える匿名のあなたはそれでいいでしょうけど、僕の場合は違うんです。
「少子化は未婚化が原因である」ということに関しては、2015年策定された「少子化社会対策大綱」の中に明記されていますよ。それまでは夫婦に対する子育て支援のみでしたが、ここではじめて従来の少子化対策の枠組みを越えて、新たに結婚の支援を加えたわけです。
つまり、結婚を促進しないと少子化は解決できないと政府が判断したってこと。
この判断は間違いじゃありません。結婚した女性は大体2人産んでますし、指標として使われる合計特殊出生率というのは未婚の女性も含みますから、未婚の女性が減れば出生率も上がるという計算です。
しかし、「そうは簡単にいかないよ」っていうのが本記事の主旨だしそう書いてあるのに、このコメントされた方は、今までの事実も誤認しているし、記事の中身もろくに読んでいない、と。残念ですよ。
また、こんなコメントも…。
ソロ男プロジェクトリーダーさんは、持続可能な社会のために、独身の立場からどのように支援していくつもり?まさか少子化問題は既婚者にお任せで、我関せずのつもり?感情論ではなく数字の上から、歪んだ年齢構成では若い世代は将来の高齢者を支え切れない。
子供が増える方が独身にも良い未来に決まってる。どうも、この連載記事は独身正当化のための既婚者叩きが根本にあるように思えてならない。
歪んだ年齢構成では若い世代は将来の高齢者を支え切れない?
もうね、そこからして視点が違うんですよ。
逆なんですよ!
僕は高齢者が支えられる側だなんて思っていないし、むしろすべての大人が15才未満の子どもたちを支える社会になるべきだって提言しているんです。
65歳から高齢者だ?甘えんな、と。少なくとも75歳まではみんな働かなきゃいけないんです。そうすれば、大人6~7人で1人の子どもをちゃんと育てられるんです。そういう社会を目指すべきだし、それが「超ソロ社会」にも書いた「拡張家族」という概念なんです。
「拡張家族」の概念については、こちらの記事参照www.houdoukyoku.jp
独身正当化のための既婚者叩き?興味ないわ、そんなもの。
そんな小さいことなんかどーだっていい!独身とか既婚とか、いつまでそんな不毛な二項対立論でいるんですか?
とはいえ、僕の記事は問いかけですから、こうして異論反論が沸き起こるのはいいことだと思います。記事に接することで自分なりにどう感じ、どう考え、アクションとしてコメントするまでいければ筆者としてはこの上ない喜びです。コメントいただきありがとうございます!
なお、コメントの中に「夫婦でも経済的理由で子が持てない」という意見も多く、こちらについては別途また記事化したいと思います。
公開後8時間で24時間ランキング1位になりました!ありがとうございます。
生涯無子率について一番最初に書いたのがこのブログです。1年以上前に書いたものですが、今でもこの記事は月間上位で読まれています。note.mu
日本政府が「少子化を推奨」していたという事実、知ってます?
いつも皆さんが知らない事実をご提供している独身研究家・荒川です。
「少子化だ!」「超高齢化だ!」「人口減少だ!」そして「国が滅ぶ!」といわれている日本ですが、そもそも日本政府は少子化を推奨していたという事実をご存知ですか?
1974年6月に人口白書『日本人口の動向』が刊行されました。そこには「静止人口をめざして」という副題が付けられています。当時は、人口増加の方が課題だったわけです。
さらに、1974年7月に実施された「第1回日本人口会議」というのがありまして、そこでは増えすぎる人口を問題視し「子どもは二人まで」という宣言を出しています。
事実、そこから凄い勢いで少子化が進行していったわけです。
第1回日本人口会議の概要資料はこちら!
http://www.ipss.go.jp/syoushika/bunken/data/pdf/14213805.pdf
この会議に関する新聞報道は、大新聞・北海道から沖縄までの地方新聞、社説・コラム・漫画を含め、150編以上にのぼったらしいですよ。まさに日本をあげての大キャンペーンだった。そしてこれに国民が洗脳された。
奇しくも、1974年の数年後に20歳を迎えたソロ男女が、2010年及び2015年の国勢調査において生涯未婚率最高記録更新の立役者(45-54歳)になっているわけです。
政府の「子どもを生むんじゃない」という声に忠実に従ったようなものじゃないですか。決して、個人の草食化とかそういう問題ではないんです。
ちなみに、生涯未婚率が急上昇したのは1990年代からです。そこで政府は当時経済企画庁が出した「国民生活白書」の中で、「少子社会の到来,その影響と対応」というものを出しています。とはいえ、そこから何が変わったわけでもなく、むしろ少子化も未婚化もより加速していったというのが実情です。
政府は実は少子化対策なんてする気がないんですよ。
…わかんないけど、多分。
明治以降の婚姻・離婚・人口の長期推移を見てほしいんですが…
よくよく見ると気付きますが、明治維新時点3300万人だった人口が1億2000万人と4倍に増えていること自体が異常なんです。
これを体内における菌だと考えると相当やばい状況が続いて高熱(人口増加)にうなされ続けた150年だったとも言える。
こう書くと「人間を菌扱いするな!」的な批判が来るかもしれませんが、いやいや地球目線で言ったら人間なんてクソ菌以外の何者でもないでしょう。ある意味、地球そのものを壊す癌細胞かもしれない。
世界の人口予測では2050年97億人に達します。そっちの方が問題でしょう。
産めや増やせや、なんて号令かけたって少子化は止まらないし、人口は減少していくんです。大事なのは、それを事実として認めた上で、その前提でどうすべきかを考えることです。
こぼしてしまった盆の水をいつまでぐちぐち言ってるんですかって話ですよ。そんなことしている暇あるなら、もう一度水を汲みに行け!
拙著「超ソロ社会」では、常識だと思っていたことが事実とは違う事例をたくさん紹介しています。よろしくお願いします。
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西野亮廣を科学する③「手伝って」その魔法の言葉が動かす力を大きくする。
キングコングの西野亮廣さんのやり方をマーケティング及び様々な学問的視点から科学してみたいと思います。
今回は、心理学で言われるところの「認知的不協和」から科学します。
恋愛に例えてお話します。
かつてこちらの記事で「男も女も受け身だから、恋愛なんてうまくいくはずがない」なんてことを言いましたが…では、どう能動的なアクションをすればよいのでしょうか?
認知的不協和(cognitive dissonance)とは、1957年にアメリカの社会心理学者レオン・フェスティンガー氏によって提唱されました。
人は、自分の中で矛盾する2つの事柄(認知)を同時に抱えると、不快になります。すると、その不快感を解消するために、以下のどちらかの行動を選択します。
①「今までの事柄を肯定するために、新しい事柄を否定する」
②「新しい事柄を受け入れるために、今までの事柄を否定する」
たとえば、ダイエットしている最中に友達が、なかなか手に入らないと噂の美味しいケーキを差し入れてくれたとしましょう。今まで順調にきているダイエットは続けたい、しかし、目の前の希少価値の高いこのケーキも食べたい。これが矛盾による不快感です。
①の場合は、ダイエットしている自分を肯定するために、「このケーキはまずいから食べない」と考えることです。よく「すっぱいブドウ」といわれるものです。
すっぱいブドウとは、イソップ寓話の一つです。
キツネが、たわわに実ったおいしそうなぶどうを見つける。食べようとして跳び上がるが、ぶどうはみな高い所にあり、届かない。何度跳んでも届かず、キツネは怒りと悔しさで、「どうせこんなぶどうは、すっぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか。」と捨て台詞を残して去る。(Wikiより引用)
②の場合は、今ここでこのケーキを食べないと一生食べられないと考え、ダイエットは今日だけ中止して、このケーキを食べてしまうという行動です。「今日だけ。明日からちゃんとやるわ」という言いわけ、よく使うと思います。
このように、人間とは、2つの矛盾を認知した時には、矛盾差のギャップを埋めるために、事実が変えられない場合は自分の思考を変えることで解消しようとします。つまり、行動に合わせて無意識に自分のそもそもの考え方を書き変えてしまうわけです。
これは、恋愛においても活用できます。
あなたが誰かを好きになったとしましょう。好きだから、なんとかしてその人の役に立ちたいと考えて、その人のことを手伝ったりしたくなったりしませんか?もしくは、手伝うことで自分をアピールして振り向かせようとしたりしてないでしょうか?
これではなんの効果も得られません。
なぜなら、その相手の心の中に何の矛盾も生じないからです。むしろ逆で、手伝うのではなく「手伝って」と依頼する方がいいんです。しかも割と手間暇かかるようなことを頼むんです。
そうすると、相手の心の中にこんな変化が生まれます。
「こんなに大変なことを手伝っている」→「嫌いな人を手伝うわけがない」→「あれ?この人のこと好きなのかもしれない」
そんなバカな!と思いますか?
でもそれが人間の心理だし、脳の働きなんです。
能動的にアプローチするということは、決して自分が相手のために何か行動するということではないんです。むしろ、相手に能動的に行動を起こさせるように仕向けることこそが「最大の能動的アクション」なんです。
こんなこと、実は、心理学も何も勉強していなくても、もともとモテる女子は古来より使っていたんですよね。気になる男子にわざと無理難題をふっかけて手伝わせるってこと。学校でも仕事でも。
この認知的不協和を実に上手に西野さんはマーケティングに取り入れているんです。
こちらのブログをお読みいただければわかりますが、彼は自身のオンラインサロンのメンバーにお金を払ってもらった上で働いてもらっています。本来労働には対価を支払うべきなのに、逆です。
これこそが究極の認知的不協和なんですが、だからこそ、参加者は「お金を払っているんだから楽しくないわけが無い」→「楽しいに決まっている」という内面の感情を書き変えてしまいます。無意識に!
しかし、これは誰でもマネしてうまくいく方法とは限りません。西野さんはあえて「働かせる」という言葉を使っていますが、実はお客さんの能動的アクションをすべてエンタテインメントに昇華しているわけです。だからこそ成功しているし、だからこそお客さんは進んで参加し、楽しんでいるんです。
以前、僕は西野さんというのは、お客さん自身の行動を喚起して、なおかつ「達成感の連鎖」というエモ消費(幸せ感)を提供していると書きました。
消費と言ってますが、何も「金を払ってモノ・コトを買う」ことだけが消費ではありません。「時間を使うこと」も消費ですし、言ってしまえば、人生とは、時間と金を使って幸せな感情を得る「大いなる消費行動」なんだと思います。それこそが僕の定義する「エモ消費」です。
ちなみに、この認知的不協和は通常のマーケティングにおいても活用されています。例えば、書籍のタイトルに「偏差値40でも東大に受かった」とか「ブサイクでも結婚できた」とか、そういう矛盾する内容を併存させるものがあると思います。これも不協和によって興味を喚起する手法です。
ですが、そういった表層的なことではなく、小手先のテクニック論でもなく、本質的に「どうすればお互いが能動的に楽しくなれるのか」を実現している点で、西野さんの手法の方が数倍上でしょう。まさに彼自身が言っている「おもしろい経済」です。
企業のマーケティング担当者は、「何を売る」「どう売る」以前に「なんのために売る」のかという部分、そこをもう一度見つめ直すきっかけとされるといいと思います。