ソロで生きる力@荒川和久

来年1月に新刊「超ソロ社会-独身大国日本の衝撃」が出ます。「結婚しない男たち」とあわせてよろしくお願いします。独身研究の第一人者としてテレビ・ラジオたまに出ます。東洋経済オンライン、読売新聞オンライン他コラム等執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

「9割近くの男女が結婚したい」って言うけどさ…

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婚活推進系の人が話の一番最初によくいうのが「出生動向調査によれば、男女とも9割近くが結婚したいと言ってます」という言葉。

東洋経済にも以下のように取り上げられています…。

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何も知らないと、「9割、すげぇ!」ってなるかもしれないけど、そもそも日本の婚姻率95%だったわけです。それが男は86.3%まで10%近くも下がっているってことなんですよ。

さらに言えば、この数値はあくまでも「いずれは結婚するつもり」と答えている人の比率です。決して「結婚したい」という回答ではない。しかも、この場合選択肢が"いずれ結婚するつもり"か "一生結婚するつもりはない"の二拓なんですよ。

二者択一ってひどくないですか? 

せめて"どちらでもない"とか三択にしてくれないと…。じゃないと、"一生結婚するつもりはない"という人以外は"いずれ結婚するつもり"を選ぶしかなくなるんです。

その証拠に、同じ出生動向調査内で、選択肢が増えるとこうなる。

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男で約5割、女でも4割が"まだ結婚するつもりはない"と答えています。要するに、結婚したいという強い意志がある率は、男7%、女10%に過ぎないんです。

漠然と「結婚はするんだろうな」と思っているだけで、決して自分事にはなっていないというのが事実ではないでしょうか。

ちなみに各年代別に出したものが以下。f:id:wildriverpeace:20160918172530p:plain

見てお分かりの通り、どの年代でも"1年以内に結婚したい"率はさほど高く泣く、男で30代前半の12%、女でも30代前半の17%がMAX。"理想の相手なら1年以内に結婚してもよい"というのが男女とも一番大きい。

どうでもいいんですが、「してもよい」ってなんで上から目線?

これって、結婚できなくなる大きな要因のひとつである「相手いないけど…」っていうやつで、この中のすべてが本気で結婚したいと考えているかというと甚だ疑問である。

選択肢のテキスト自体に納得できないんですよ。

本来なら「絶対に結婚したい(強い意志)」「できれば結婚したい(願望)」「結婚したいかどうかわからない」「結婚したいと思わない」「結婚するつもりはない」「結婚しない、諦めた」というマインドの強さ別に聞くべきなんです。

だって、"理想の相手なら1年以内に結婚してもよい"という中には、上記の「結婚したいかどうかわからない」「結婚したいと思わない」が含まれているはずですから。

で、しょーがないから調べました。それに基づいて調査したのが以下の通り。

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これによれば、結婚の前向きなのは20代男60%、30代男50%、40代男39%、50代男29%、20代女72%、30代女58%、40代女34%、50代女18%ということになる。これによると男性より女性の方が40代で極端に結婚意欲がなくなるのが見て取れる。50代女性に至っては、8割以上が結婚に後ろ向きとなっています。

ちなみに、こちらのN数は13776で、出生動向調査のN数9316よりはるかに多い。

ちなみに、Pontaリサーチによる20-30代男女調査でも…

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男性44%、女性33%は結婚に対して後ろ向きです。決して9割が結婚に前向きなわけじゃない。

 

 

閑話休題

「9割の男女が結婚したい」という物言いは間違い。9割も結婚したい人がいるというのを前提にするから、実際結婚していない人は「結婚できない人」だ、という話にしがち。それは乱暴というものです。結婚しない人=結婚できない人ではない。結婚したくない人もいるし、結婚という制度に否定的な人もいる。LGBTのように違う要因で、現法律では対象外の人たちもいる。いろんな人がいるのに、すべてが「結婚したいのにできない人」と決めつけるのはいかがなものか。東洋経済の記事としては、「できない」前提にしないと、貧困の話につながらないから、そう言いたかったのだろうけど…。

20-30代でも、実は男性は4割強、女性でも6割強レベルというのが正しい。逆に言えば、20-30代の6割の男、4割の女は「結婚に前向きではない」のだ。

20代のうちから「一生結婚しない」と考えている層が男10%、女5%ほど存在する。むしろこっちの方に着眼すべきでしょう。男の生涯未婚率20%のうちの半分は、もうすでに20代から達観しているとも読める。そもそも女性の生涯未婚率は1975年からずっと5%以上をキープしていて、むしろ男性より高かった。一生結婚しない女性は、ずっと潜在的に5%くらい存在するのではないか?

その上で、昨今の晩婚化の影響で女性の生涯未婚率もあがる。2035年20%と推定されている女性の生涯未婚率だが、これはもっと大幅に伸長するのではないかとも読めるのだ。23-24%にまで達するんじゃないかな。

少なくとも僕はそう思う。