ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

少子化対策・フランスに学ぶべきは、制度じゃなくて意識だ。

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出生率2.0を実現するフランスとの違いは制度だけじゃない!「日本の社会は子供を持つことをポジティブに受け止めているか?」

仏「ル・モンド」紙の東京特派員、フィリップ・メスメール氏のお話。

 

少子化っていうと、必ずフランスの事例を出してきて、やれN分N乗方式だとか、「日本も見習うべきだ」とかあーだこーだうるさいんですけど、本家フランス人が一刀両断してくれて気持ちいい。

曰く

制度だけマネしたって改善なんかされるかっ!

 

そのとおりです。

安倍政権は出生率を1.8まで上げるという目標と同時に「男女共同参画社会」で女性の社会進出を積極的に推し進める政策を打ち出していますが、そのふたつを同時に実現するのは簡単なことではありません。

ですよね。そもそも矛盾してるし。

日本の労働者の「働き方」そのものが改善されなければ、働く女性が安心して子供を産める環境づくりはなかなか実現しない

少子化対策するなら、その前に雇用や労働環境作りだろ、という提言。おっしゃるとおり。

僕個人は、日本の政府は少子化対策を本気でやるつもりはない、と前々から訴えてきましたが、このフランス人記者はもっと重大な爆弾を投下。

以前、総務省のある高官とこの問題について話した時に「日本経済が豊かなままならば、人口は8千万か7千万人ぐらいまで減少してもドイツのように安全で豊かな社会を実現できるはず」と語っていました。

この総務省高官が誰かはしらないけど、官僚は人口減少容認なんだね。いいのか?こんなことばらして…。

以前、僕が「結婚しない男たち」という本を出した時、さんざんガラパゴスな輩に叩かれました。「こんな本を出して、未婚を推奨するような流れを作るのはけしからん。結婚しなければ子どもが生まれない、そうすると国が滅びるぞ」と。

あほか、と。

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人口が減少すれば内需は縮小し、GDPも小さくなるでしょう。でも、そんなの昭和の国力の測り方でしょう。人間だけが労働力じゃない。近い将来、ロボットやAIなど、働く機能は人の手から離れる。需要だけなんで国内だけで満たそうとするのかわからない。人口増加=国力増なんて時代錯誤も甚だしい。

官僚だってそう考えている節があるわけだ。

ある意味、安心したし、さすが日本の官僚だと思います。

 

高齢化も少子化ももはや避けては通れない事実なんだから、それを前提としてどうすべきかを考える。これこそリアリティだと思います。闇雲にフランスの制度をサルまねしたところで、効果が出るどころか大失敗する可能性があるんだす。

大事なのは制度じゃなくて、個人の意識変革。

 

このフランス人記者も最後にいいこと言ってます。

少子化対策や人口問題というのは、単に経済や国力、あるいは社会の持続可能性の問題だけでなく、個々の人間の「働き方」「生き方」、さらには「価値観」といった哲学的な問題も含めた、実に多様な側面を持っていると思います。

ひとりひとりの意識がなければ、どんなに制度作ったって意味はない。彼は「哲学」という言葉を使ってますが、本当にその通り。人口を増やすことが国民のためになるわけじゃない。今いる子どもたち、これから生まれてくる子どもたち、ずっと先の未来の子どもたちに対して、我々個人個人が何をしてあげられるのか。親だろうが、未婚だろうが、関係ねーし。

自分の家族だけがよければいい、みたいな性質が日本人にはあります。かつては、それは自分の村がよければそれでいいというムラ社会意識。

みんなが…周りが…そういう同調意識を日本人自身が変えて行かないといけない。協調性、連帯感というメリットもある反面、それらの同調意識がいじめや差別を生んでいることも事実。

ひとりひとりが自立しましょう。話はそこからだ。

 

そういえば、フランスは"超"のつくほどの個人主義国家でしたね。