ソロで生きる力@荒川和久

来年1月に新刊「超ソロ社会-独身大国日本の衝撃」が出ます。「結婚しない男たち」とあわせてよろしくお願いします。独身研究の第一人者としてテレビ・ラジオたまに出ます。東洋経済オンライン、読売新聞オンライン他コラム等執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

「多様性を認めよう」と口では言いながら、いざ多様性を主張すると否定する人たちっているよね。

「御祝儀貧乏」という言葉がありました。

かつて、大体みんな20代後半から30代前半にかけて結婚していたので、その頃の6月とか11月は結婚式ラッシュになるんですね。そのたびに、バカにならないのが「ご祝儀」です。加えてお祝いのプレゼント代だったり、二次会三次会の費用。1回や2回ならなんとかなりますが、それが月4回もあったりすると、20代の給料では大変なことになりますよね。

めでたい話ですから、それが不満だというつもりは毛頭ありませんが、いつか結婚する人なら、人にあげたご祝儀も自分の式のときにもどってくるわけですが、ずっと未婚のままは「あげたっきり」になります。

まあ、結婚しない本人のせいですから仕方ないことですが、なんだか腑に落ちない気がすることも確かです。

 

会社の福利厚生でも、結婚祝い金や出産祝い金などが用意されているところは多いでしょう。これも結婚した人だけが恩恵を受ける制度です。

仕方ありません。1980年代までほぼ100%が結婚した「皆婚社会」だったわけですから。

ん?

でもよくよく考えると不公平じゃね?

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そんな中、「独身」を宣言した社員にご祝儀と休暇をくれる会社があったよという記事を発見しました。日本ではなく、韓国の話です。

www.huffingtonpost.jp

石鹸などを販売するバス用品メーカーの「LUSHコリア」は6月1日、独身を宣言した勤続5年以上の役職員を対象に、新たな福利厚生制度を導入すると発表した。

要するに、結婚しない独身の人にも会社から祝い金を支給するというもの。

 

全員が結婚するわけじゃない現代だからこそ、こういう柔軟性のある会社はいいですね。日本でも見習ってほしい。

何より、僕自身がいいと思うのは、これは「結婚」とか「出産」とか、そうした状態に対して祝い金を出すということではなく、本人が「独身でいい」と決めた個人の決断や選択に対して、会社側が承認する態度を示したことです。

結婚することもしないことも個人の決断と選択であり、それを尊重する姿勢があるからです。

つまり、これは「独身でいるという宣言」を祝うとか小さな話ではなく、宣言するもしないも個人の自由なところがよくて、個人の生き方の決断と選択そのものに価値があるという判断なんです。

「多様性を認めよう」と口では言いながら、いざ多様性を主張すると否定する偏屈ガラパゴス野郎どもが多い中で、こうした動きはとってもステキ。

 

案の定、この記事に対して否定的な意見も多い。

例えば、こんな意見。

結婚は1つのハレのイベントだからお祝いするのはいいとして、独身でいることはハレでもイベントでも何でもない。「何かをしない」ことを祝うって、おかしな話。

独身でいることは「何もしていない」ということなんでしょうか?結婚しないと、何もしていない無為な人生なんでしょうか?結婚しない人間に価値がないとでも言いたいんでしょうか?酷い話。こういう思考回路の人って、何かを達成したり成果をあげていない人間は無価値であるという判断をしそうで怖い。

結婚しているかどうかで人間の価値が決まってたまるか!

 

一方で、独身側からの意見。

心の中では自分勝手すぎて社会に貢献してないって思ってるので、わざわざ祝われたくない

これこそ、独身者たちが潜在的に社会から植え付けられた欠落感なんだよなあ。背筋が凍ります。

独身者の不幸感について書いた記事がありますので、こちらも参照してください。→40代独身者が「幸せになれない」根本原因 結婚が「幸せ」を運んでくるわけではないのに

toyokeizai.net

 

また、こんな意見もある。

結婚、離婚、独身は、個人の自由。企業が大げさに関与する時代は終わった。祝儀や休暇など人事規程で関与するのは昭和の考え方だと思う。

もしこれを言うなら、結婚も出産もなしにして一切のお祝い金制度を廃止するということでしょうね。そういうドライな考え方もあるでしょう。でも、なんでもかんだも昭和と片づけていいんですかね?

そもそもこの制度をやったのは、LUSHという外資系であり、韓国人です。昭和とかあまり関係ない。むしろ、日本人の昭和的な思考というのは、人は「同じような人生すごろく」を過ごすという考え方です。20代で結婚し、30代で子育てをし、40代で家も持ち、50代で子どもが独立するという、ハンで押したような画一的な生き方。それが昭和です。

むしろ、結婚することも是だし、しないことも是という意思表示を雇用主として従業員に表明することは決して悪いことではないように思います。

 

なんだろうな…最近、生産性とかの議論でも思うんだけど、効率とかいう人に限って人間性を失っているような気がする。

こういう手当を一切廃止して、その分給料あげればいいじゃんという指摘は筋違い。給料はあくまで対価としての正当なもの。それと一緒にしないでほしい。手当や祝い金はそれ以外の気持ちの問題じゃないですか。なんでもかんでも対価とか契約とかそういうものがいいわけじゃない。

 

ロジカルでばかり考えるから、そんな窮屈になるんですよ。