ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

政府の少子化政策の失敗を可視化する「生涯無子率」男4割、女3割の衝撃!

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書きました。東洋経済オンライン連載「ソロモンの時代」。第25回目。

今回のテーマは「生涯無子率」について。toyokeizai.net

生涯無子率?

 

聞き慣れない言葉だと思います。実は、この「生涯で子を持たない率」という公式な指標が国には存在しません。厚生労働省にも総務省の統計局にもないんです。


なので私が自分で試算しました。

拙著『超ソロ社会』には2010年のデータを基にした「生涯無子率」を掲載しています。おかげさまで各方面から「新しい指標」として注目されました。
今年話題となった経産省の若手ペーパー「不安な個人、立ちすくむ国家」においても「結婚して、出産して、添い遂げる」という昭和的な生き方をする人は58%まで低下しているという記載があります。結婚しても子どもを生まない夫婦はこれからますます増えていくのかもしれません。

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今回、2015年の最新の国勢調査データを基に、生涯無子率を再計算しています。ぜひご一読ください。

toyokeizai.net

 

結論からいうと、2010年時点の試算と同様、生涯無子率は2035年には男4割、女3割になるというのは変わりませんでした。うち男3割、女2割は生涯未婚者ですので、男女とも結婚しても子のない夫婦は1割ということです。

僕が講演なんかで使用するスライドがこちら。

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きれいに階段状になってる!

 

でもまあ、前日のブログでも書きましたが、この状態は日本政府が1974年に打ちだした「少子化推進政策」が成功したからであって、我々のせいじゃないですよね。だって「子どもを2人以上産むな」と言ってたんですからね。今更「子ども産め!」とか何を言ってるんだという話ですよ。

wildriverpeace.hatenablog.jp

 

政府は少子化対策やってます感を出していますが、一向に効果が出てないことは明らかで、それを可視化するのに生涯無子率は使える指標だと思います。

 

 

だからって別に「夫婦は子を産むべきだ」とか「みんな結婚すべきだ」なんて言うつもりはさらさらありません。他人が決めたり、他人が強要することじゃねえから、そんなもん。

 

今回もいつものようにたくさんコメントいただいています。ありがとうございます。しかし、いつものように香ばしいコメントもたくさん付きました。

例えば…

少子化は『未婚者の増加』だけが原因」だと主張している論説など見たことがありませんし、一体何に対して反論しているのでしょうか。国勢調査をひっくり返して新たな指標を作らなくとも、出生動向調査を見れば「夫婦の出生子ども数分布の推移(結婚持続期間15~19年)」が示されていますし、その結果から子を持たない夫婦が増加傾向にあることはあきらかです。

なんでしょう、この「私の方が知ってる」マウンティングコメントはwww

「子を持たない夫婦が増加傾向にあることはあきらかです」っていうけど、どれくらいの割合かあなたは計算すらしていなんですよね?裏付けもなく感覚で物を言える匿名のあなたはそれでいいでしょうけど、僕の場合は違うんです。

少子化は未婚化が原因である」ということに関しては、2015年策定された少子化社会対策大綱」の中に明記されていますよ。それまでは夫婦に対する子育て支援のみでしたが、ここではじめて従来の少子化対策の枠組みを越えて、新たに結婚の支援を加えたわけです。

つまり、結婚を促進しないと少子化は解決できないと政府が判断したってこと。

 

この判断は間違いじゃありません。結婚した女性は大体2人産んでますし、指標として使われる合計特殊出生率というのは未婚の女性も含みますから、未婚の女性が減れば出生率も上がるという計算です。

しかし、「そうは簡単にいかないよ」っていうのが本記事の主旨だしそう書いてあるのに、このコメントされた方は、今までの事実も誤認しているし、記事の中身もろくに読んでいない、と。残念ですよ。

 

また、こんなコメントも…。

ソロ男プロジェクトリーダーさんは、持続可能な社会のために、独身の立場からどのように支援していくつもり?まさか少子化問題は既婚者にお任せで、我関せずのつもり?感情論ではなく数字の上から、歪んだ年齢構成では若い世代は将来の高齢者を支え切れない。
子供が増える方が独身にも良い未来に決まってる。どうも、この連載記事は独身正当化のための既婚者叩きが根本にあるように思えてならない。

歪んだ年齢構成では若い世代は将来の高齢者を支え切れない?

もうね、そこからして視点が違うんですよ。

逆なんですよ!

 

僕は高齢者が支えられる側だなんて思っていないし、むしろすべての大人が15才未満の子どもたちを支える社会になるべきだって提言しているんです。

65歳から高齢者だ?甘えんな、と。少なくとも75歳まではみんな働かなきゃいけないんです。そうすれば、大人6~7人で1人の子どもをちゃんと育てられるんです。そういう社会を目指すべきだし、それが「超ソロ社会」にも書いた「拡張家族」という概念なんです。

「拡張家族」の概念については、こちらの記事参照www.houdoukyoku.jp

独身正当化のための既婚者叩き?興味ないわ、そんなもの。

そんな小さいことなんかどーだっていい!独身とか既婚とか、いつまでそんな不毛な二項対立論でいるんですか?

 

とはいえ、僕の記事は問いかけですから、こうして異論反論が沸き起こるのはいいことだと思います。記事に接することで自分なりにどう感じ、どう考え、アクションとしてコメントするまでいければ筆者としてはこの上ない喜びです。コメントいただきありがとうございます!

なお、コメントの中に「夫婦でも経済的理由で子が持てない」という意見も多く、こちらについては別途また記事化したいと思います。

公開後8時間で24時間ランキング1位になりました!ありがとうございます。

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生涯無子率について一番最初に書いたのがこのブログです。1年以上前に書いたものですが、今でもこの記事は月間上位で読まれています。note.mu