ソロで生きる力@荒川和久

来年1月に新刊「超ソロ社会-独身大国日本の衝撃」が出ます。「結婚しない男たち」とあわせてよろしくお願いします。独身研究の第一人者としてテレビ・ラジオたまに出ます。東洋経済オンライン、読売新聞オンライン他コラム等執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

社会とは巡り巡る「お互い様」の心が作るもの

こんな記事を見ました。

 

grapee.jp

 

2018年に59歳になるという、春風亭昇太さん。国の指標ではとっくに生涯未婚者入りです(国は50歳時点で未婚は一生結婚できないと定義しています)。

彼の言葉。

僕ね、正直にいって、うちにいて、1人でさびしいと思ったことは1回もないんですよ。稼いだお金が全部自分で使えるのもいい。

師匠! それ、典型的なソロ男です! 

 

正味、独身男性のほぼ5割はこうした気質を持っています。今の時代だからということではなく、多分ずっと前からそうです。江戸時代だって、大都市の江戸や大坂だけではなく農村部でさえ男の有配偶率は5割でした。100%が結婚した皆婚社会というのは、長い日本の歴史の中で、明治民法施行以降、戦後の高度経済成長期が終わる1980年代までのたった約100年の出来事にすぎないのです。

逆に言うと、少なくとも半分の男は結婚を希望しているし、結婚という形態に向いている男です。

人にはそれぞれ向き不向きがあるし、社会的役割も違う。独身だから義務を果たしていないなんてことはないんです。

こう書くと、すぐ昭和脳の人が「結婚し子どもを生み育ててもいない人間は無価値だ」とかとんでもねえこと言ってくるんですよね。

先日も飲みの席で、50代のおっさんにこんなこと言われました。

「俺は子どもを二人産み育てた。ちゃんと社会の義務を果たした。それに比べ、お前はなんだ。お前のために俺の子どもが犠牲になるのは許せん」

 

義務ねえ。

国民の義務とは、教育・勤労・納税であって、子育てじゃねーすよ! 

ちゃんと働いて納税しているのにお前ごときにぐちゃぐちゃ言われる筋合いはございません! 

 

金を使って遊び歩いているのが許せんん?

 

はあ?

 

経済のことお勉強してください。何より自分のために稼いで消費をすること自体が経済を回すことであり、そうした税収が誰かのお子さんのためになるんです。

加えて、結婚しても無子夫婦は10%いるんですよ。子どもを生み育てなければ、人間として価値がないなんてどの口が言えるんでしょうか?

 

ソロ男は貯金もせず金を使い果たし、経済回して既婚者より先に死んでいけばいいのですよ。あ、別に「早く死にやがれ」という意味じゃなく、大体ソロ男は外食中心の食生活で酒も飲み、まあ長生きはしないもんです。男で80歳以上生きるようなのは、大抵既婚者です。が、この既婚者も配偶者に先立たれると、生きる屍になります。世間で「孤独死」と言われて、死後何か月もたった後に発見される男のほとんでは元既婚者ですからね。

 

太く短く、刹那の幸せを感じて死ぬ。それもまた「粋」ってもんです。

 

繰り返しますが、人間は結婚しようがしまいが、そんなことで価値が決まるなんてことはない。それぞれにそれも社会の中の役割があります。

そして、師匠のように落語をやっていたりもそうですし、アキバで懸命に消費しているオタクたちだって、彼らの刹那の行動自体が100年後文化として華開くのです。

江戸のソロ男たちがいたからこそ、握り寿司も屋台のソバ屋も居酒屋も生まれたし、美人画春画黄表紙が売れたのも彼らの需要があったから。確かに、子は残せなかったかもしれないが、その代わりに今に続く文化を残したのです。

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僕が2014年にソロ男という言葉を作って、メディアに発信した当初は、相当叩かれました。「生涯未婚なんて欠陥人間だ」くらい罵倒されました。今もそういうことを言うオヤジは絶えませんが、社会というものはすべてつながりでできています。家族しか信じられず、家族しか頼れず、家族のこと以外は自己責任だと冷酷になれる「家族唯一依存体質」こそ、むしろ社会から見ればハミダシ者です。

結婚した者もしない者も、子のある者もない者も、それぞれが役割を果たし、巡り巡って誰かのためになる。そういう「お互い様」の心が周ることが社会であり、コミュニティというものではないですか?