ソロで生きる力@荒川和久

来年1月に新刊「超ソロ社会-独身大国日本の衝撃」が出ます。「結婚しない男たち」とあわせてよろしくお願いします。独身研究の第一人者としてテレビ・ラジオたまに出ます。東洋経済オンライン、読売新聞オンライン他コラム等執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

「話を聞く」という職業が生まれる

かつては、ツイッター上の炎上経営者として活躍した「ステーキハウス けん」の井戸実氏ですが、最近はめっきり噂を聞かなくなってしまいました。一時期は、「税金8000万円も納めているんだぞ! 」と鼻息も荒かったのですが、自店の食中毒問題以降いろいろ本業の方も大変そうです。

ところで、彼は「ニート嫌い」で有名で、炎上ネタのほとんどはニートに対する煽りだったわけですが、以前ツイッターでこんなことを言っていました。 

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要するに、「おっさんが説教するために金を払うイベント」であり、「おっさんの説教を聞けば金がもらえる仕事」です。

これ、今更ながらすごくいいアイデアだと思うんですよ。

誰もが経験したと思うんですが、上司とかの説教って本当時間の無駄というか、ウザいことこの上ないですよね。でも、それを「はいはい」と聞いていれば金がもらえるとしたらどうでしょう?まあ、仕事だと思えばいいと思いませんか?

一方、おっさんの側です。昔は、部下や後輩に対して思う存分説教(というか、ストレスのはけ口として、下の人間をマウントしてただけという場合も多い)しても問題ありませんでしたが、今では「説教すらもパワハラ」になる可能性があります。部下を思っての善意の説教でさえ、告発されることだってあります。

そんな時、こういうイベントは、まさに両者にとって「渡りに船」というか「WIN-WIN」の仕組みになりますね。

大昔は、年長者や長老の話というのは、その長い経験や豊富な知識に基づいた貴重な「知的コンテンツ」でしたが、今はそんなものはググれば済む話です。どこの馬の骨かわからない上司や先輩の話より、テレビに出たり本を出したりしている専門家の話を、Peatixでは3000円くらい出せば、直接聞ける時代です。聴くどころか、直接対話だった可能です。

こうして、普通のおっさんたちにとって、自分の承認欲求や達成欲求を満足させられる日常の機会は失われてしまったのです。

若い人は「別にそれでいいじゃん。何か問題でも?くだらねえおっさんの説教なんか無駄だし」と思うかもしれません。しかし、きみたちもいずれおっさんになるんです。

おっさんになるとわかりますが、悲しいかな、「若い人への説教」くらいしか自分の社会的役割を感じられなくなるおっさんも多いんです。

この欲求が満たされないとどうなるかというと、コンビニや飲食店の店員にがなり立てたりしてフラストレーション解消しようとするわけですね。それはそれで、全然関係のない人に迷惑の火の粉がかかります。

そんなおっさんのために、この「金を払えば若者が説教を聞いてくれる」というコンテンツは、まさに「おっさんのためのエモ消費商品」になりえるわけです。

エモ消費とは、承認と達成という精神的価値を満足させ、自己の社会的役割を確認するために人は金を支払うようになるという、僕独自の未来の消費形態です。 

wildriverpeace.hatenablog.jp

 

例えば、おっさんが1時間説教する様を聴くイベントを、一人「▲3000円」で売り出せば?いいわけですね。参加者は3000円を払うのではなく、3000円を受け取れる。10人呼べば、おっさんは3万円を払って、思う存分若者に対して説教することができる。来たお客さんは、当然仕事ですから、おっさんの話に(内心、クソが! と思っても)うんうんと首がもぎれんばかりにヘドバンするわけです。メモを書きまくるわけです。

おっさんは精神的満足を得るし、若者は金を手に入れる。

いいことづくめじゃないですか。

勿論、すべて無言で聞くだけじゃなくて、おっさんの刺激になるような反論や質問をしてもいい。いい刺激となるようなことを言ったら、おっさんはまたチップを出してください。

幸い金はあるおっさんなら、こうして若者へ所得の再分配をすればいい。経済とはそうやって回していくもんですし、そもそもお金が回ることだけが経済じゃなくて、お金はあくまで共通の記号として使われているだけ。つまりは、気持ちや感情が(お金という形にのせて)回ることこそが経済の基本なんですよ。「情けは人のためならず」ってそういうことだし。

 

…とここまで書いて気付いたんですが、これってキャバクラやガールズバーと一緒でしたwww。

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でもね、こういうことってすごく大事で、「話を聞いてくれる」ということがこれからは商売になる時代になると思うんですよ。だって、これって機械じゃ代替えではないから。人間が聞いてくれるから、若者が聞いてくれるから、俺の話がどこかの若者の何かの役に立ってくれるとおっさん自身が信じられるなら、これに金を払う意味は大いにある。

言ってしまえば、「話す人を気分よく話させるように聞けるってことは価値がある」ってことなんです。

僕は、いろいろなメディアの取材を今まで受けています。数にしたら100人以上は取材する人にお話していますが、中にはとても気持ちよくお話させてくれて、話をしている途中で次々と話が膨らむ聞き方をする人がいる一方、まったく話をするモチベーションがあがらないような聞き方しかできない人がいることも確かです。

聞く力は能力ですし、才能だと思います。

そのうち「話を聞いてあげる」という商売だって成立するんじゃないかと思うわけです。プロリスナーってやつですね。