ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

山口真帆事件に見る「ムラ・コミュニティ」の断末魔

 

NGT山口真帆さんへの暴行事件については、TIME誌をはじめ海外のメディアでも大きく報じられ、世界的な話題となっています。

 

time.com

 

「暴行を受けた被害者が、公衆の面前で謝罪させられる?クレイジーだ! 」という論調。僕もその通りだと思います。

ネットでは、犯人捜しなども盛り上がっているようですが、最優先すべきは何か?を大人はよく考えるべきです。

僕が一番腹立たしいと思うのは、この運営サイドの責任者たる大人たちです。少なくとも、命の危険を感じるほどの暴行を受けた若い女の子をケアするどころか、嘘と欺瞞で翻弄し、あまっさえ傷口に塩を塗りつけるような所業は、決して許されるものではないと思います。

個人的に、この事件は、ムラ社会的なコミュニティの断末魔」になりえるのではないか、とも考えます。

 

事件について知らない方のために、簡単に経緯を書くと、

山口さんは、2018年12月8日の公演後帰宅したときに、男ら数人による暴行事件に巻き込まれた。男二人は逮捕されるが、28日に不起訴となり、釈放された。

2019年1月8日にSHOWROOMに、山口さんは号泣しながら動画配信。

翌1月9日にツイッター上で、事件告白。

その一部はこちらです。

私は普段から警戒心が強く、家に入るとき、部屋に入るときも最新の注意を払って行動していました。その日も廊下に誰もいないことを確認して部屋に入りすぐにドアをしめようとしたら手が出てきました。そこからこじ開けられました。そこから顔をつかまれ押し倒されそうになりました。必死に追い出そうとしました。負けたら殺されると思ったから絶対負けちゃいけないと思い、もう少しでその男たちを追い出せそうでした。そうしたら、違う男が向かいの部屋から出てきました。その部屋は違うメンバーが住んでいた部屋でした。男は最初の男と変わって私の顔を掴み、同じように押し倒されそうとしてきました。助けてと叫ぼうとしたけど怖くて声が出ませんでした。一分ぐらいしてやっと声が出せました。「たすけてたすけて」と叫びました。男は私の口を塞ぎました。そのまま家に閉じ込められて殺されるかと思いました。途中エレベーターの音がなり男たちの気がそれたときに、このまま家の中に入られたら閉じ込められて何をされるかわからないと思ったので、自分ごと廊下に出ました。だけど、怖くて足がすくんで逃げられませんでした。警察に通報しようとしたら携帯をとられました。

そして、さらに翌10日に、NGT48劇場山口真帆さんが出演し、今回の件を謝罪。これに対して、元NGTの北原里英やHKTの指原莉乃などが一斉に「謝罪しなくていい」とか声をあげ、運営に対する批判が高まっていった。

結局、この謝罪シーンが全世界に拡散されていったわけですが、この一連の騒動の間、運営の責任者である某支配人は何一つ対応していないわけです。もちろん、意味不明な頭の悪いリリースを出したりしていますが、それ以上に水面下で頭の悪い行動をとっていたんだろうな、と推測します。

 

事件を起こしたメンバーの話は置いておいて、事件後のこの支配人の思惑がどうだったかを察するに、とにかく事件を大事にしたくなかった理由があったんでしょう。逮捕された男二人が不起訴になったのは、山口さん本人が被害届を取り下げない限りないわけで、そうさせたのもこの運営でしょう。

彼女が黙っていれば、一か月以内に運営が適正な処置をする(そもそもの発端となったメンバーの解雇など)という口約束があったのでしょう。しかし、あいつらはそれを無視した。それどころか、男たちは無罪放免されるし、釈放された男は新潟県警をバカにした動画を流すし、そもそもの首謀者はSNS上で「勝った」とどや顔する始末とやりたい放題。

あのまま山口さんがツイッターで告白しなければ、闇に葬られていたかもしれないわけです。

公開された運営は焦ったでしょう。しかも、何をトチ狂ったのか、劇場で彼女に謝罪させるというあり得ない指示をしたのも運営だと思いますよ。多分、「このままじゃNGTは解散だ」とか脅したんでしょう。

一人の人間が被害にあっているのに、そっちには向き合わず、組織や集団の保身ばかりを気にしているクズが、この運営の責任者なんです。

 

つまり、これこそ、旧態依然としたムラ社会のコミュニティの最悪の部分であり、そもそも事件の発端も、コミュニティの中での派閥間の争いやいじめに起因してます。

あった事件をなかったことにしようとする対応も、いろんな所で明るみに出た大企業の粉飾決算やミス隠しと同じです。今回の山口さんの事件は、内部告発者に対する魔女狩りそのものです。

そんな誰かを血祭りにあげることでしか守れないコミュニティに価値はない。嘘と欺瞞とで固めないと維持できないコミュニティなんて意味もない。

コミュニティや組織があって人間があるのではない。ましてや、コミュニティの中の特定の誰かだけがメリットを享受するために、コミュニティは道具化されるべきではない。

 

事件の相関図も作られています。

 

にも関わらず、文春はさっき真っ向否定するような論調をぶつけてきましたね。

 

news.nicovideo.jp

はあ?

 

一体何を守ろうとしてんのさ?

一番の被害者は山口さんであることは間違いないんです。小学生でもわかるようなことがわからないの?

自分の保身のために、誰かにとって一番大切なものを人質にとって、その命を助けたたくば、お前自身が犠牲になれ、生贄になれ、と強要しているのと一緒。最低の行動だよ。