ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

「亭主元気で留守がいい」は、実は夫婦円満のための秘訣だった?

コロナは人の生命を脅かします。
コロナは経済も崩壊させます。
さらに、夫婦の絆もまたコロナは破壊していきます。
その恐るべき毒性について書きました。

「コロナ離婚」という言葉が話題にもなっていますが、外出自粛・在宅勤務などで終日夫婦や家族が一緒にいることで顕在化してきた問題のひとつかもしれません。

一般的に「1人になりたい」欲求が強いのは男性だと思われてますが、実はむしろ女性のほうがより多く「1人になれる時間を欲する」のです。

かつて「亭主元気で留守がいい」というCMがありました。あれは、まさに女性の「1人になりたい」欲求を表したものだったのでしょう。

にも関わらず、多くの夫婦が、ある意味強制的に「一緒の時間」という檻に閉じ込められました。「ソロ時間」を喪失した人間が陥ってしまう落とし穴とは?

人間は「1人では生きていけない」とよく言われますが、同時に「1人になる時間がないと生きていけない」ものでもあります。

東洋経済オンライン連載「ソロモンの時代」更新です。まずはぜひご一読ください。

toyokeizai.net

 

「コロナ離婚」がもし増えるのだとしたら、その予兆は既にはじまっていました。

記事の中にも掲出しましたが、離婚申し立て理由を見ると、明らかに2010年と2018年とで大きなな変化があることがわかります。(夫婦ともに1位の「性格の不一致」は除いています)

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DVやモラハラというと夫の専売特許のように思われがちですか、近年急増しているのが「妻による精神的虐待」なのです。もちろん、この精神的虐待は夫によるものも増えています。つまり、お互いに精神的に相手を追いつめる夫婦が増えているということを示唆します。

驚くのは、「夫の妻への身体的暴力」による離婚は減っているのに、「妻の夫への身体的暴力」は増えているということ。

平時においてもこうした夫婦の関係性の変化があるのですから、非常事態といわれるコロナ禍環境下において、いろいろな問題が顕在化するのは仕方ないことです。

こうした記事に対して、「そんなことくらいで破壊される夫婦なら、遅かれ早かれ離婚するんだから、別にいいんじゃない?」という声もあります。

「酒が人をアカンようにするのではなくその人が元々アカン人だということを酒が暴く 」という名言があるように、「コロナ禍が夫婦を壊すのではなく、元々アカン夫婦だということをコロナ禍が暴く」ということかもとれませんね。

とはいえ、全部の夫婦はコロナによって破壊されるものではありません。

ヤフコメに以下のようなコメントが寄せられました。

主人(53歳)が定年退職した時をシミュレーションしてます。私は1人で朝と夕方犬の散歩に1時間ずつ、午後からは1人で自宅でトレーニング1時間、後は一緒にテレビ見たり、別の部屋で過ごしたりしています。主人は元々全く家事をしないですが私は逆に手伝われるよりも楽なのでそのへんは苦になりません。元々子供がいない家庭なのでとりわけなにか変わったこともないですが定年退職後の練習と思っていろいろ工夫を考えています。

とても素敵な考え方だと思います。

また、ちよっとギクシャクしてきたな、と感じるご夫婦は、物理的に「一人の時間」を作ることも検討した方がいいと思います。

以下の記事は、もう壊れかけて稲夫婦の「一時避難所」的位置づけ(離婚相談も無料で受け付けているなどある種、駆け込み寺のようなもの)ですが、できれば壊れる前にこういう場所を活用するという視点も必要ではないでしょうか?

www.nikkei.com

いつも一緒にいるのが夫婦や家族というものではありません。夫婦だから、家族だから、何より誰より大切なものだから、常に助け合っていかないといけないと無理に窮屈な考え方に囚われていると、かえってその一番大切なものを壊してしまいます。

家族も夫婦も個人によって成り立っています。個人が健やかであることこそが、家族や夫婦の幸せにつながります。「自分を犠牲にして」とか「自分さえ我慢すれば」という考え方は、結局家族や夫婦そのもの内側から蝕んでいくのです。