ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

非モテ男に足りないのは「金」でも「容姿」でもない。

32歳の素人童貞という男性が、マッチングアプリで彼女及び結婚相手を見つけるべき奮闘したブログがあります。素人童貞ということは、今まで風俗系のプロの方としか性体験がないということ。そんな彼のスペックは以下の通りですが、それほどレベルが低いとも思いません。そもそも「顔立ちを褒められた」男なんてほとんどいないんですから(「恋愛強者3割の法則」により)。

32歳男性
171cm 61kg
中肉中背
国公立院卒
平均以下の年収
顔立ちを褒められたことはない

まずは、こちらの記事をお読みください。

anond.hatelabo.jp

 

 

身もふたもない話ですが、マッチングアプリとは「恋愛強者の道具」であって、恋愛弱者が使って良いことなどほぼありません。マッチングアプリが今後の婚活のメインツールになるとか騒いでいる人もいますが、今のシステムのままなら、決してそうはならないでしょう。どうしても「勝者総取り」になってしまう。

言い方変えれば、マッチングアプリというスクリーンを通して見ちゃうと、人間の判断は熱量とか五感ではなく、数値によって左右されます。

男の場合なら、年収の高さ、職業の安定性、それに顔です。

「男は顔じゃない」と思いますか?

とんでもない。逆に聞きますが、年収や顔以外のどこを基準にして、会う会わないを決めればいいんですか?年収が多少低くても、容姿が良ければ会う理由にはなるでしょう。容姿が難ありでも、高収入ならそれも会う理由になるでしょう。

でも、容姿も年収もない男が選ばれる理由なんてどこにもないです。

それがわかっているから、マッチングアプリを活用しまくっている男は年収のある既婚男性だったり、結婚する気などさらさらないヤリモクのイケメン男子だったりするわけです。中には、水や風のスカウト系もいます。自己肯定感低い女性を目当てにした詐欺師もいます。

一方で、女子の方もパパ活狙いや、キャバ嬢の裏引きに活用している子もいるわけで、所詮タヌキとキツネの化かし合いの場のようなものかもしれません。

 

とはいえ、中には、真面目に結婚相手を探そうとしている男女もいますし、マッチングアプリで結果結婚までいった例も最近では増えていることも確かです。アニヴェルセル総研の2019年4月の調査では、20~30代既婚者の13.2%がネット婚活サービスによるものだったそうです。結婚相談所の5.5%、伝統的なお見合い2%より多い。

でも、これに過度な期待を寄せてしまうと大体うまくいかないと思うんですよ。過度の期待をする人は大抵受け身体質で、アプリを利用しすさえすれば結婚できると思い込みがち。

そんなわけはないんです。

マッチングアプリは彼女や結婚相手を見つけるツールではありません。所詮、そうした間柄に将来なるかもしれない相手と出会えるだけのツールだからです。出会って以降の話まで、アプリは責任持ってくれません。

では、恋愛弱者にとってマッチングアプリは無意味なのか?というとそうでもありません。

この記事を書いた彼も、「彼女を作る」という目的は達成できませんでしたが、それ以上に、彼にとってこの経験は非常に意味のあったことだと思います。特に、自分自身でも収穫ポイントとしてあげていますが、「1回や2回のデートで振られても気落ちしないようになった。需要と供給が一致しなかったのだと開き直ることを覚えた」とか、この経験を本当にご自分のいい糧にしていると思います。彼の事は全く知らないし、何もしていないですが「成長したな~」と先生のような気分になってしまい、読みながら微笑んでしまいました。

「自分の他愛ない話で笑ってくれる女性がいるとわかった。これだけでも大収穫」のところなんか、「よかったね~」と思わず泣きそうになりましたよ。

そうなんです。今まで恋愛経験のない男たちは、マッチングアプリを、決して彼女や恋愛相手を見つけるために使うのではなく、むしろ、出会う女性を通じて「新しい自分を生み出す」ために使えばいいのです。

ずっと恋愛経験がない人にありがちなのは、自己を主観でしか見れなくなってしまうこと。その証拠に、スマホで自撮りするのが嫌いな人が多いです。自己を客観視できなくなればなるほど、恋愛に限らず人間関係はうまくいかない。逆に言えば、客観視ができれば、おのずと行動が変わり、コミュニケーション力も変わるのです。

主観でしか物を考えられないから、「ああでもない、こうでもない」と脳内で考えを反芻して、言葉にできなくなったり、やめてしまったりします。言葉なんて考えて出さなくていい。出した言葉を自分で客観的に聞いて、それによって自分の考え方はこうなんだな、と後付けで納得すればいいんです。勿論、相手の言葉をちゃんと聞くのは当然。コミュニケ―ションなんてそんなものです。

もちろん、だからこそ「あんなこと言わなければよかった」と後悔することもあるでしょうけど、それを怖れていたら人との会話なんてできない。

前も書いたと思いますが、恋愛なんて摩擦です。痛いものなんです。片思いで、相手が振り向いてくれないと傷つくことも含めて、多少の痛さがあって当然です。

付き合ったからといって痛みがなくなるわけじゃありません。お互い、相手を思いやっての言動や行動なのに、結果として相手を傷付け、傷付けられることなんて茶飯事です。

でもそうした摩擦の連続こそが「人と付き合う」ってことなんじゃないでしょうか。

摩擦は痛いかもしれません。でも摩擦があるからこそ温かくもなるんです。

※勿論、痛みにも限度があるので心や身体がズタズタになる摩擦なら、その相手からはすばやく離れた方がいい。

 

最後に、ツイッターで、「こういう彼みたいな恋愛弱者はどうすればいいんですか」的な嘆きが投稿されました。偉そうなことを言える立場ではないですが、ひとつ言いますと…。

 

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