ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

「多様性を認めよう」と口では言いながら、いざ多様性を主張すると否定する人たちっているよね。

「御祝儀貧乏」という言葉がありました。

かつて、大体みんな20代後半から30代前半にかけて結婚していたので、その頃の6月とか11月は結婚式ラッシュになるんですね。そのたびに、バカにならないのが「ご祝儀」です。加えてお祝いのプレゼント代だったり、二次会三次会の費用。1回や2回ならなんとかなりますが、それが月4回もあったりすると、20代の給料では大変なことになりますよね。

めでたい話ですから、それが不満だというつもりは毛頭ありませんが、いつか結婚する人なら、人にあげたご祝儀も自分の式のときにもどってくるわけですが、ずっと未婚のままは「あげたっきり」になります。

まあ、結婚しない本人のせいですから仕方ないことですが、なんだか腑に落ちない気がすることも確かです。

 

会社の福利厚生でも、結婚祝い金や出産祝い金などが用意されているところは多いでしょう。これも結婚した人だけが恩恵を受ける制度です。

仕方ありません。1980年代までほぼ100%が結婚した「皆婚社会」だったわけですから。

ん?

でもよくよく考えると不公平じゃね?

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そんな中、「独身」を宣言した社員にご祝儀と休暇をくれる会社があったよという記事を発見しました。日本ではなく、韓国の話です。

www.huffingtonpost.jp

石鹸などを販売するバス用品メーカーの「LUSHコリア」は6月1日、独身を宣言した勤続5年以上の役職員を対象に、新たな福利厚生制度を導入すると発表した。

要するに、結婚しない独身の人にも会社から祝い金を支給するというもの。

 

全員が結婚するわけじゃない現代だからこそ、こういう柔軟性のある会社はいいですね。日本でも見習ってほしい。

何より、僕自身がいいと思うのは、これは「結婚」とか「出産」とか、そうした状態に対して祝い金を出すということではなく、本人が「独身でいい」と決めた個人の決断や選択に対して、会社側が承認する態度を示したことです。

結婚することもしないことも個人の決断と選択であり、それを尊重する姿勢があるからです。

つまり、これは「独身でいるという宣言」を祝うとか小さな話ではなく、宣言するもしないも個人の自由なところがよくて、個人の生き方の決断と選択そのものに価値があるという判断なんです。

「多様性を認めよう」と口では言いながら、いざ多様性を主張すると否定する偏屈ガラパゴス野郎どもが多い中で、こうした動きはとってもステキ。

 

案の定、この記事に対して否定的な意見も多い。

例えば、こんな意見。

結婚は1つのハレのイベントだからお祝いするのはいいとして、独身でいることはハレでもイベントでも何でもない。「何かをしない」ことを祝うって、おかしな話。

独身でいることは「何もしていない」ということなんでしょうか?結婚しないと、何もしていない無為な人生なんでしょうか?結婚しない人間に価値がないとでも言いたいんでしょうか?酷い話。こういう思考回路の人って、何かを達成したり成果をあげていない人間は無価値であるという判断をしそうで怖い。

結婚しているかどうかで人間の価値が決まってたまるか!

 

一方で、独身側からの意見。

心の中では自分勝手すぎて社会に貢献してないって思ってるので、わざわざ祝われたくない

これこそ、独身者たちが潜在的に社会から植え付けられた欠落感なんだよなあ。背筋が凍ります。

独身者の不幸感について書いた記事がありますので、こちらも参照してください。→40代独身者が「幸せになれない」根本原因 結婚が「幸せ」を運んでくるわけではないのに

toyokeizai.net

 

また、こんな意見もある。

結婚、離婚、独身は、個人の自由。企業が大げさに関与する時代は終わった。祝儀や休暇など人事規程で関与するのは昭和の考え方だと思う。

もしこれを言うなら、結婚も出産もなしにして一切のお祝い金制度を廃止するということでしょうね。そういうドライな考え方もあるでしょう。でも、なんでもかんだも昭和と片づけていいんですかね?

そもそもこの制度をやったのは、LUSHという外資系であり、韓国人です。昭和とかあまり関係ない。むしろ、日本人の昭和的な思考というのは、人は「同じような人生すごろく」を過ごすという考え方です。20代で結婚し、30代で子育てをし、40代で家も持ち、50代で子どもが独立するという、ハンで押したような画一的な生き方。それが昭和です。

むしろ、結婚することも是だし、しないことも是という意思表示を雇用主として従業員に表明することは決して悪いことではないように思います。

 

なんだろうな…最近、生産性とかの議論でも思うんだけど、効率とかいう人に限って人間性を失っているような気がする。

こういう手当を一切廃止して、その分給料あげればいいじゃんという指摘は筋違い。給料はあくまで対価としての正当なもの。それと一緒にしないでほしい。手当や祝い金はそれ以外の気持ちの問題じゃないですか。なんでもかんでも対価とか契約とかそういうものがいいわけじゃない。

 

ロジカルでばかり考えるから、そんな窮屈になるんですよ。

自己愛とは決してマイナスなものではなく、むしろ自己愛がない人間の方がヤバい。

臨済宗建長寺派「林香寺」の住職でありながら、精神科医でもある川野泰周さんとの対談記事(前編)がアップされました!

www.hakuhodo.co.jp

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「FOR2035」連載対談第三回目です(一回目は経済学の安田洋祐先生、二回目は社会学水無田気流先生でした)。いつも対談し始めると、予定とは違う話で盛り上がるのですが、今回もみっちりお話してきました。

何が興味深いかというと、単なる禅寺のご住職というだけではなく、現役の精神科医としても活躍されているマルチな視点を川野さんがお持ちだからです。

是非ご一読ください。

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FOR2035来るソロ社会の展望を語る – vol.3前編 / ゲスト:僧侶・精神科医 川野泰周さん ソロ社会で求められる「対話」と「セルフコンパッション」

googleなど世界的な企業が取り入れたことで話題となった「マインドフルネス」ですが、禅や坐禅との違いを理解している人は少ないと思います。僕自身もそうでした。
個人化する「超ソロ社会」において、必要となってくる「ひとりひとりの生き方」について、いろいろと深いお話を伺ってきました。

女子会でありがちな「わかる~」っていうのは対話ではない。誰かの悩みや苦しみを聞いた時に、一緒に泣いちゃったり悲しんだりしてしまう女子がいるが、それだと相談した相手の悲しみは深まってしまう。

これ大事です。対話とは何か?について語っています。

 

ビジネスマンに自己啓発本が流行っている歪み。現代人は心の中の根底にある自我が安定しておらず、自分の心幹が養われていない。だからこそ、定型化されたハウツーを欲したがる。でも生き方って、哲学や思想であって知識ではない。

僕自身はあまりこうした自己啓発本は読まないのですが、大体書店で売れるのはビジネス的な観点の自己啓発本です。よくあるのが「○○するやつは成功する」とか「○○しないやつは二流」とかそんなタイトルのもんですね。

そんなの、ぶっちゃけ「人による」

ハウツー的なものとかテクニック的なものをいくら吸収したところで、それを実践する人と合っているかどうかとは別の話。かつて、HotDogPressとかポパイとかの雑誌で、よく「恋愛ハウツー」的な記事が人気でしたが、あんなもの真に受けてモテた試しないから。

自信のなさを「知識」や「教養」で穴埋めをして安心するという心理です。ですが、実はこれこそがソロ男・ソロ女たちの欠落感を刺激する「エモ消費」の一種でもあるんですが…。その話はまた別で。

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よく悪いものとして扱われますが、“自己愛”は、自分を支えるための自信や自分の存在価値への信頼度であり「あって然るべきもの」。慈悲は他人に向かうものですが、根底に自分への慈悲や思いやりがないといけない。そうじゃないと、無意識に見返りを求めてしまう。

拙著「超ソロ社会」の中でも、「まずは自分を愛するようになること」ということを書きました。自己愛とは決してマイナスなものではなく、むしろ自己愛がない人間の方がヤバいです。

ただし、自己愛が悪い印象を与えているのは「自己愛性パーソナリティ障害」との混同があるからです。自己愛性パーソナリティ障害は後天的な病気でもあるんですが、10人に1人は存在するようです。案外、数が多い。

 

以下の質問をチェックしてみてください。

1.十分な業績がないにもかかわらず優れていると周りから認められたい。

2.自分の成功した姿や理想的な愛を獲得した空想をよくする。

3.自分が “特別” であり、だから、凡人とは違う特別な人達と親しくなれるべきだ、と思っている。

4.他者からの賛美や称賛を求める。

5.自分がお願いすれば、相手は自分のために動いてくれるものだと信じて疑わない。

6.自分の目的を達成するために他人を利用することが悪いと思っていない。

7.親戚や友人の親などの訃報を聞いても、正直あまりなんとも思わない。

8.誰かがうまいことやって成功すると嫉妬する。

9.態度が尊大で傲慢になりがちである。

5つ以上であなたは自己愛性パーソナリティだそうですよ。アメリカ精神医学会、DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアルより。

自己有能感と自己肯定感でいうと、自己有能感だけ高くて(実績が伴っていなくても)自己肯定感が低いのが病気。「本気出せばできるはず」とか言う奴ですね。よくいる。自己肯定が低いからこそ、その欠落感を他者の承認で埋めようとするし、称賛してこない他者は「自分のことを理解できない敵」であると認知するようになります。

う~ん、なんか、周りそこらじゅうにたくさんいそう。

一時期叩かれた「意識高い系」も同じじゃない?

 

自己愛性パーソナリティ障害って、自己愛とはついているけど、ちっとも自己を愛せていないだけのような気がするんだよな。

だって、外から見た(他人から見た)自分の姿しか見てないじゃん。だから称賛を求めるんだろうし、自分の姿を盛るわけですよ。むしろ、自分自身が嫌いなんじゃないかと思うくらい。こうした障害や病気としての自己愛と健全な自己愛は違います。

健全な自己愛とは、「ありのままの自分を客観的に把握する能力があり、その上で、ありのままの自分を肯定できる」ことです。欠点や自信のないこともちゃんとわかった上で、それを自虐ネタにして茶化したりせず、肯定できること。案外難しいことです。

誰もが承認されたい気持ちは持っているし、否定や批判されたら気分悪いはず。否定や批判をありままに受け入れるって、実は相当難しいこと。ツイッターとかで叩かれたりすれば、皆ブロックするわけじゃないですか。

まあ、でも、だからこそマインドフルネスが注目されるわけですね。マインドフルネスとは、川野さん曰く、「今この瞬間に感じているこの感覚をそのままに受け止める」ということ。否定も評価も価値判断もしないということなんだそうです。

まさに、あるがまま…。

難しい。

 

ちなみに、川野さんと対談して早々に書いたこちらの記事「会いたい人がいるなら、会いに行けばいい!」も割といいこと書いてますので、あわせてどうぞ。

 

wildriverpeace.hatenablog.jp

拙著「超ソロ社会」、遂に中国進出か?

なんか驚いた!

遂に、僕も中国進出か?

中国っていっても広島や岡山地方のことじゃないです。中華人民共和国ですよ。CHINAですよ。

 

中国版の日経にて、拙著「超ソロ社会」が紹介されました。しかも、ちゃんと論説付で丁寧に紹介されています。

zh.cn.nikkei.com

 

なんとなく漢字だけでも意味わかるね。

荒川勸他的讀者,主要是日本的讀者需要摒棄「只有結婚才能幸福」的想法,避免變成「親密的單獨依存」,即「我的人生只需要有丈夫和孩子,甚麼都不需要」的狀態。

荒川は、「結婚さえすれば幸せになるはず」という発想をなくすべきだと読者にアドバイスしている。

その通りです。

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ぜひ、中国語版、出してください!中国的翻译“超獨身社会”、请把出书。

なんてったって、日本の10倍、3000万人もの未婚男性が余っている国なんですから。中国のソロ男対策に一役買いますよ!


お願いします!

 

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ひとりで生きることが強さではないし、誰かを頼ることも弱さではない。

ハフポストのインタビュー記事公開されました!


"「結婚しない人が増えたのは自然なこと」荒川和久さんが指摘す
る「ソロ社会」とは"

www.huffingtonpost.jp

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ものすご~く長いですが、ものすご~く濃い内容となっています。久しぶりにマーケター的なお話もしていますwww

ぜひお時間ある時にご一読ください!

 

ハフポストでは、先週から「#だからひとりが好き」という特集シリーズが始まっています。 すでにたくさんの記事があがっていますので、そちらも是非ご覧ください。

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少子化出生率のニュースがでるたびに、未婚や独身は肩身が狭い思いをしている人も多いでしょう。

「なぜ結婚しないんだ?」「なぜ子どもを産まないんだ?」


ソロと家族とを「状態」で分断して「どっちが正しい」論争はホント不毛です。

ひとりで生きることが強さではないし、誰かを頼ることも弱さではない。

 

多分、この「#だからひとりが好き」という特集は、ひとりでいることの良さを提示したいというコンセプトだと思います。だから、記者さんからもこういう質問を受けました。

「『ソロ』の良さ」というのは何かありますか?

それに対して、僕の答えはこう。

ソロは、単なる状態です。ソロがいいとか悪いとか、ソロでいることのメリットとか、ソロはこんなに楽しいとかって言うことは、結婚はいいよって押し付けてくる人と全く一緒。人間の本質は独身とか既婚とかの状態で左右されるもんじゃありません。
そもそも、結婚している人と結婚していない人とがお互いにそれぞれの生き方を受容できないで、分断していることの方が不健全なのです。互いに相手の義務や自己責任を押し付け合っても何も解決しませんから。そうした「状態」に依存した分断はなくすべきだと思います。

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地域・職場・家族という今まで絶対的安全地帯だった共同体が失われていく中で、新しい未来のコミュニティを作っていくには、精神的に自立したひとりひとりがつながることによってこそ可能になるのではないでしょうか。

 

こうした特集によって「ひとりが好き」という人たちが集まって、いろいろな記事に共感したり、納得したりすることはとても大事です。ただ、ひとつだけ言いたいことは、記事を読んだだけではなく、ぜひ「行動」してもらいたいと思います。行動とは、人とつながり、人と対話するということです。

「ひとりが好き」ということと「ひとりで生きていく」ことはイコールではありませんから。

120キロまでデブったやつが、たった1キロ減っただけで「死ぬ~!」って言ってるような少子化の話

「去年の出生率1.44 出生数初めて100万人下回る」というNHKのニュースをはじめ、今日はこの出生率の話題で。

 

www3.nhk.or.jp

 

1人の女性が産む子どもの数の指標となる去年の出生率は1.44となり、前の年よりわずかに低下したことが厚生労働省の調査でわかりました。また、出生数はおよそ97万7000人と初めて100万人を下回って、少子化が進んでいる現状が浮き彫りとなっています。

要するに、「子どもが生まれね~」って話です。

ですが、そんなことは、もう何十年も前からわかってたし、マスコミも報道してきたことで、「今更感満載」なわけですよ。1970年代から合計特殊出生率は2.0を切っていたんですから。

もっと言うと、国立社会保障・人口問題研究所が出している将来人口推計だって、ずっと前からそう推計してます。つなみに、人口予測は一番確度の高い予測です。まあ、はずれません。

こういうニュースが出ると、毎度のように少子化は国難です。放置すれば国が滅びます」なんてことを、コピペのように言うガラパゴスな学者がいるが、あなたがどんなに叫んだって、少子化で人口減少という事実の流れは変わらない。嘆きや愚痴は、いたずらに皆の不安を煽るだけでそれこそ害でしかない。

同じように、こういうニュースが出るたびに、「国が悪い」「政府が悪い」「官僚が悪い」ととにかく他人のせいにしたくてしょうがない人たちもたくさんいる。

何度もいうけど、合計特殊出生率が2を切り続けるきっかけの年は、1975年です。その年生まれた人は今や42歳になっています。もう一巡以上しているんですよ。何も最近始まった異常事態じゃない。

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それから、この合計特殊出生率ですが、何も今年最低値を出したわけじゃないですからね。最低値は2005年の1.26です。むしろ、そこから毎年のようにじわじわ上がって、昨年の1.45に次ぐ1.44という最近20年間では二番目に高い数字なわけです。

だから、ニュースの見出しとしてはこうも言えるわけです。

出生率この20年間で2位の好成績!」

どうです?こう言われればイメージも違うでしょ?実数として100万人切ったのは、そもそも夫婦の人口が減っているからであって仕方ない。

いずれにしても、出生数が減るのは不可避だし、人口は減るんです。それを、ガタガタ言う時点でおかしい。

 

 

大体、人口減少の何が問題なわけ?

むしろ、戦後高度経済成長期の皆婚とベビーブーム自体が異常値なんです。下のグラフを見てください。

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明治維新以降の人口増加のカーブ!

これこそ異常値ですよ。てか、これを体重のグラフだと思ってくださいよ。こんなに急激に太るなんて病気か力士でしょ?

むしろ今は、正常な状態に補正されているという見方をしたっていいんですよ。

これをね、「国が滅びる~!」とかうるさい爺さんは、体重で言ったら、こういうことです。120キロまでデブった自分の体重が、たった1キロ減っただけで「死ぬ~!」って言ってるようなもんです。

死なねえから!

その前に120キロにまでデブったこと自体を問題にしろ、と言いたい。

 

とにかく、誰が何と言ったって、日本の人口は7000万とか8000万まで減るんです。もうね、ジタバタしたって意味ないの。

よく考えてくだいよ。

少子化対策で「子育て支援するから今から制度作ります」とかいって、万一それが奏功したとして、子どもを産もうと決めて妊娠して、その子が成人するまで21年(妊娠期間込み)もかかるんです。2038年の話ですよ。

もっとおかしいのは、少子化の原因は未婚化だから婚活支援しようっていって、カップルを作る支援なんかしている。23億だかいくらか使って成約したカップルが7000組?それはいいてじょう。めでたいことです。でも、そのカップル全員が子どもを生むわけじゃないし(結婚しても子無夫婦が全体人口の10%いる)、それもまた最短で21年後の話なんですよ。

国の政策とは中長期的に見なければいけない、だぁ?

だったら、1970年代からやっとけっつーんだよ。

あ、なんか国や政府を批判したかったわけじゃないです。こんなもの、政府の施策だけでなんとかできる問題じゃないんですよ。

やれ、フランスの施策に学べとかうるさいこと言う人いますが、フランスの税金は日本のほぼ2倍ですけど、払いますか?

 

少子化対策を一生懸命考えている人たちは頑張ってください。岡山県のどこかの村では出生率が2.8にもなったという話もあります。それは素晴らしいことです。しかし、一番出生率が低いのは日本の人口の1割以上占める東京なんです。地方がどんだけ頑張ってもそれは賄いきれない。

だけど、本当に今注目しなければいけないことは、出生率をあげることじゃない。


日本でもっとも出生率の高いのは沖縄です。いっぱい子ども産んでますよ。そんな沖縄で、今何が起きているのかご存知ですか?

離婚率とシングルマザーの増加と子ども貧困率の上昇です。


生めばいいなんて短絡的な話じゃありませんよ。

今いる子どもたちをちゃんと育てる。話はそこからだ。と、僕は思います。

 

そうでなくとも、児童虐待の件数はすごい上昇しています。

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www.orangeribbon.jp

とても残念なことですが、産んだ子どもをちゃんと育てられない親が大勢いることも事実です。それはいろいろな要因があるでしょう。しかし、どんな理由があるにせよ、生まれてきた子どもには罪はありません。

産みの親が育てられないなら、育てられる経済基盤と人格を持つ、子どものない夫婦が親になるべきです。養子縁組や里親制度をちゃんと見直すべきです。

産んだらそれですべてハッピーエンドじゃないんだから。

産むことより、今生きている子どもたちをちゃんと育てること。もはや、そっちに舵を切るべきじゃないでしょうか?

話はそれからだ。

 

ちなみに、将来人口推計によると、2065年には14歳以下の子どもの人口は約800万人、15歳以上のいわゆる大人の人口が8000万人です。つまり、大人10人に対して子どもが一人という社会になるんです。

それは、逆に考えれば、大人10人が協力して1人の子どもを育てる社会にならなければいけないんです。これと同じような提言は、先日話題になった経産省若手のペーパーにも書いてありましたが、まったく同感です。

血縁だけが家族とか言ってる場合じゃないんです。誰の子であろうと、我々大人は子どもたちを育てる義務がある。家族だけに自己責任を負わせるような社会は破綻します。

つまり、もう「今までの家族」という概念に縛られてちゃいけないんです。

家族の概念を拡張しましょう。

独身だろうと子無夫婦だろうと、引退したおじいちゃんやおばあちゃんだろうと、大人はみんな子どもたちの親にならなきゃいけないんです。

 

https://mainichi.jp/articles/20170602/org/00m/070/005000c

唯一依存は危険。選択できる複数の依存先を持てる力が必要。

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"堀江貴文氏「多動力こそが最も重要な能力だ」「1つの仕事をコツコツと」では負け組になる"という記事から。

toyokeizai.net

5/27に発売された堀江貴文さんの書籍「多動力」についての記事です。まあ、いってしまえば、本の宣伝記事ですが、とても勉強になります。

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「多動力」とは、いくつもの異なることを同時にこなす力のことを言う。しかし、「それって器用貧乏じゃん?」「飽きっぽいってことじゃん?」と、今まではあまりいいイメージのない人を指す。ひとつのことをコツコツとやり続ける人の方が称賛されていたはずです。

しかし、堀江さんはこう言い放ちます。

一つのことをコツコツとやる時代は終わった。これからは、全てのモノがインターネットに繋がり、全産業の〝タテの壁〟が溶ける。このかつてない時代の必須スキルが、あらゆる業界の壁を軽やかに飛び越える「多動力」だ。
Iotという言葉を最近ニュースでもよく耳にすると思う。これは、ありとあらゆる「モノ」がインターネットとつながっていくことを意味する。すべての産業が「水平分業型モデル」となり、結果〝タテの壁〟が溶けていく。この、かつてない時代に求められるのは、各業界を軽やかに越えていく「越境者」だ。そして、「越境者」に最も必要な能力が、次から次に自分が好きなことをハシゴしまくる「多動力」なのだ。

これ、本当に大事なこと。

かつて堀江氏は、「寿司職人が何年も修業するのはバカ」とツイートして大炎上したことがあるが、大阪の「鮨 千陽」の事例を引き合いに説明する。「鮨 千陽」の土田秀信店長は、専門学校で3カ月寿司作りを学んだだけだ。その「鮨 千陽」が開店からたった11カ月目で、『ミシュランガイド京都・大阪2016』で「ビブグルマン」部門に選ばれたそうだ。

そう言えば、全国の豆腐コンテストでグランプリをとった豆腐は、豆腐づくりが本職ではなく、素人が作った豆腐だったという話も聞いた。

 

世の中は動いている!

匠の技を身に付けるために長い間の修行をすることを当たり前だという常識にとらわれている人は、どんなに説明したって理解できないことかもしれない。情報の取得経路が何もなかった昔は、師匠に教わるしかなかった。だから修行が必要だった。しかし、今は違う。情報や知識なんていつだって誰だって取り出せる時代。実務だって、効率的に伝授すれば何年もかけずに本当は伝えられるものだったのかもしれない。

それを徒弟制度の悪い部分で、「勿体ぶってなかなか教えない」ということがなかったとは言えないだろうか。それこそ、弊害だったタテの壁がなくなるってことです。

いやいや、そもそもテクニック的なことは、もはやロボットが代替えしてくれるかもしれない。


これは、他のことにも言えることだと思う。

例えば、禅の修行とか。お坊さんになるためには、きつい修行を何年もやらないといけないと言われているけど、本当にそれって必要なものなのか?っていう話です。お坊さんに特殊能力があるわでも、掌から気が出せるようになるわけじゃない。単に、辛い思いを乗り越えればいいという精神論って、実は師匠側の立場を守るためだけのものだったりする。

 

そうして、ひとつのことをある程度まで習得する時間が大幅に削減されることによって、さらに別のことをやる余裕が出てくる。そこが大事なわけです。今までは「ひとつのことを極める」のに時間がかかりすぎて、他に余裕がなかった。だから、ひとつのひとだけでもできるようになることに価値があった。

しかし、これからはそうじゃない。

ひとつを極めたくらいじゃ価値にならない。繰り返すが、一流の寿司職人の技は多分ロボットで再現可能になる。

ひとつの肩書きや技術だけでは立ち行かない時代になる。

これは、僕が拙著「超ソロ社会」で書いたように、ひとつの職場、会社、技能だけに固執してしまうことのリスクのことと同義だと思います。

唯一依存するな、選択できる複数の依存先を持て、ということ。

ひとつしか頼れるものがないと、それが消滅したらもうお手上げだから。一流の寿司職人の技をそのまま真似るロボットが出現したら、技しかない寿司職人は用無しです。

メディアアーティストの落合陽一さんも、週プレのインタビューでこう言っています。

現代のテクノロジーはものすごい速度で進展しているので、ある個人が何年もかけて技術を習得しても、その間にコンピューターの進歩に追い抜かれてしまう可能性が極めて高いんです。だから、テクノロジーと人間の間に落ちてくる即時的な偶発性を拾って、キャリアを組むしかない。「とにかく何かやり始めて、それを積み上げる」という形しか、リアリティのあるストーリーにならないんです。

 wpb.shueisha.co.jp

これは、能書きの話ではなく、行動力の話です。この「多動力」を既に行動してしまっている人がいます。

それがキングコングの西野さんです。

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彼はこう言います。

すべての職業には寿命があるし、ここからかなりのスピードでいろんな職業ごとなくなっていくから。

その通りです。だからこそ、彼は、「芸人」という肩書きにこだわらず、水平分業で「今までにない絵本」を作り、本を売ることとイベントと音楽とを関連付け、何より客との壁も越境してみせた。肩書きも職業も越境した先にあるのは、それこそ「人間と人間の関係性からしか生まれない」喜びのある世界だったわけです。

これからは、ひとつの能力だけではなく、複数のスキルを身に付け、しかも、それを同時進行的にマルチアクションできる人たちが廻して行く時代。というより、そうじゃない人たちの仕事はすべてAIとロボットに取ってかわられるんです。

わかりやすく言うと、ひとつの会社や職場だけで完結させる生き方が通用しなくなるってこと。別に、転職を繰り返せという話ではない。幹となるひとつの職業はあっていいんだけど、それだけじゃなく、別のネットワークや別の場所にも自分の立ち位置を作らないといけないってこと。

どうやっていいかわからない?

案外、実は簡単です。職場とかとは違う人間と会いに行くことです。人とつながることで、自分の中に新しい自分が生まれます。そのことについては「超ソロ社会」に書いてあるのでよろしくお願いします。

以上、堀江さんの本をダシにしたステマ、失礼しました。

 

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時間差一夫多妻と時間差一妻多夫は、もしかしたら未婚化の解消に貢献するかも?

生涯未婚率上昇の話とか、未婚・非婚の話の際に、いつも抜け落ちているのが男余りという現象。

未婚男性と未婚女性の人口差は300万人以上もあるんです。この事実、本当にみんな知らない。それについてはかつて、こちらの記事でも書いてます。

toyokeizai.net

 

その記事は、がマツコデラックスさんの「月曜から夜ふかし」でも取り上げられました。

wildriverpeace.hatenablog.jp

 

ですが、取り上げるのが深夜のバラエティしかないのが不思議です。なぜ、ニュースで取り上げられないのか、と。

 

で、その男余り現象」の要因は何かといいますと…

ひとつは、そもそも男の方が多く生まれるからです。出生男女比で言うと男の方が5%ほど多く生まれます。これは、統計が残っている明治時代からほぼ変わりません。

え?たかが5%でしょ?と思いますか?毎年5%も多く生まれるのだから、積算すると大変です。1956~1995年の出生数の男女差を見ると、男子3389万人、女子3197万人となり、差し引き192万人男が多く生まれています。結構な違いです。

そして、もうひとつが再婚です。

再婚男性は初婚女性と結婚したがる傾向があります。
生涯未婚のまま一生を終える男性がいる反面、何回も離婚再婚を繰り返す「バツあり男」がいるわけです。これは、「時間差一夫多妻」といってもいいかもしれません。

そんなことを、東洋経済オンラインの連載「ソロモンの時代」で記事にしました。

未婚男が割を食う「バツあり男」の再婚事情
初婚女を狙うのは余っている男だけじゃない

toyokeizai.net

 

ぜひご一読くだい。

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実は、いろいろ調べていて、自分でも意外な事実がわかりました。1980年から2015年の累計の再婚数を見ると、確かに「再婚男×初婚女」の組み合わせは約200万組で多いのですか、「初婚男×再婚女」の組み合わせも152万組もあるんです。時系列でみると、確かに再婚女性と結婚する初婚男性の数は増えています。

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増えているとはいえ、まだまだその分は8%もあるわけで、再婚男によって未婚女が奪われているという状況には開きがあるままです。

よくよく考えれば、男余りといっても、初婚同士しか結婚できないわけじゃない。再婚女が初婚男ともっと結婚するようになれば、それこそ未婚率は改善されるんじゃないでしょうか。沖縄県などで深刻なシングルマザーへ世帯の増加という部分についても、再婚女性が増えることで解消もするでしょう。もともと、江戸時代の庶民は、離婚再婚を繰り返す柔軟な人たちでした。

toyokeizai.net

 

そんな「時間差一夫多妻」の上昇率、都道府県別ランキングも掲出しています。あなたのお住まいの県は何位でしょうか?

そして、意外な県が1位になっています。

滋賀県です。

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今回のランキングはあくまで、再婚男女率の上昇率です。再婚男女数が多いという絶対数ではないので誤解しないでください。

それにしても…滋賀県?なぜなんでしょう。ちょっと前まで、人口増加していた希少な県でもあります。正直、滋賀県で再婚率が増えている理由は個人的にわかりません。

 

滋賀県の方、ご存知でしたら教えてくださいw

 

 

追記

この記事、おかげさまでたくさんの方に読んでいただきました。金曜公開からたった3日で週刊ランキング5位、週刊いいねランキングも5位です。ありがとうございます!

 

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