ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

自分のことすら愛せない人間が、他者を愛することが本当にできるのか?

以前、僕もお世話になったNewsPicksの特集。『君の名は。』のプロデューサーとして、映画史上に残る大ヒットを生み出した川村元気氏の特集が組まれています。

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昨年11月に出版された彼の小説『四月になれば彼女は』を元に、なぜ今、恋愛小説を書いたのか。100人に取材して来て見えてきたものは何か。そして、なぜ現代の女性は男性に絶望するのか。現代の男と女を語り尽くすということで、興味深く拝読しました。全6回です。

まず面白いので全部ご覧になることをおすすめします。

 

第1回:小説とは「自己破壊」である

第2回:現代の女性はなぜ男性に絶望するのか

第3回:都市に生きる「30代以上男性」の病

第4回:「忙しい」はすごく危険

第5回:このままだと戦争が起きる

第6回:「オフライン回帰」のフェイズが来る

 

 

第二回「現代の女性はなぜ男性に絶望するのか」での川村氏の言葉。

newspicks.com

 

話を聞いていると、女性は男性に対して、「もうちょっと奥行きがあるかも」と思って恋愛したり、結婚したりしている。つまり、この人の今見えているより先の多様性みたいなものに期待して始めるわけですけれど、実際には、男性は、悲しいかな、驚くほど奥行きがない(笑)。自分もそうなのですけど、まあ、一様というか、せいぜい二様くらいですかね。片や女の人は、阿修羅像みたいにいろんな側面を持っているし、向き合う男性によって、使う顔をバンバン変える気がしていて。そこが面白いなぁと思っています。

 

向き合う相手によって使う顔を変えるということを女性特有なものと彼はとらえているようですが、男女差はないです。使う顔を変えるというと、キャラを演じているとか仮面をかぶっていると思われがちですが、これこそが個人の中にある多様性であって、女性だけじゃなく男性も同じ。

これは、拙著「超ソロ社会」のテーマともいうべき話ですから、詳しく書くと、他者と向き合えば必ずその間にその人と対したことによる自分が生まれます。相手のことが好きかどうかという感情は、相手そのものが好きなんじゃなくて、その相手によって生まれた自分が好きかどうかという感情なんです。人とのつながりの数だけ自分自身が生まれます。

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第四回「忙しいはすごく危険」では、「彼は男には能動性が乏しい」と語っていますが、それは同意します。男っていうのは、原始の時代から兵隊なんです。指示されないと能動的に動けない。狩りをしたのは、男が能動的にやっていたのではなく、子どもと共同体を守る女に促されてやっていたようなもの。鵜飼い=女で、鵜=男なんですよ。司令塔はあくまで女性。

newspicks.com

 

川村氏は、男の能動性が乏しくなった要因を以下のように語ります。

いろんな理由があると思いますが、1つは「自己愛」ですよね。やっぱり自分が一番かわいい。結局、恋愛は与える行為だから、「与えたくない。なるべく自分のために取っておきたい」と、お金や時間はもちろん、形がない愛情にまで思っている。その結果、人にまで回せないというのが大きいような気がします。

"「与えたくない。なるべく自分のために取っておきたい」と、お金や時間はもちろん、形がない愛情にまで思っている"という部分はまさにそう。でも、自己愛にあふれているというより、むしろ自己肯定できないから恋愛感情がわかないのだと思いますけど。

 

 

自己愛については第5回「このままだと戦争が起きる」の回で詳しく書かれているんですが…

newspicks.com

 

川村氏は、自己愛というものを幼稚なもので卒業すべき対象としてとえられているようです。なんとなく、彼は「自己愛」を「肥大した承認欲求」みたいなものと勘違いしているのかな、と言う感じはしますが…。

自己愛が強い人がいた時に奪い合いになるわけです。

自己愛が強い人たち同士だと奪い合いになると解釈しているようなので、自己愛を「身勝手な自己中心的思考」と考えているのでしょう。

「どうやったら人のために生きられるかな」というふうに綺麗事じゃなく本気で考え始めた
刹那的だったり、自分のためだけに生きていると、僕に限らす、絶対どこかで「あれ?これ、楽しいのかな?」と思うはずです。

なるほど…。

僕は、本当に自分を愛せる人だけが他者を愛せるようになる、と思っているので哲学としては彼と反対ですね。

されはどっちがいいとか悪いとか、どっちが正しくて間違っているという話じゃないんで彼を否定するわけではありません。

自己愛が強い人同士だと奪い合いが起きるという話も反対意見です。むしろ自分のことを愛している人間同士こそが他者に対する思いやりを持てる。

自分のことすら愛せない人間が、他者を愛すること本当にできるのか、甚だ疑問です。

そもそも「自己愛に飽きる」って、それこそ自分自身を肯定できていない証拠じゃないてじょうか。

「誰かのために」というのはいいですが、それって「利他」とか「誰かを愛する」という状態に依存している場合が多いと僕は思っています。

「利他」って心意気や気持ちの問題ではなく、結果でしょう?言葉で「利他」とか言うのって、もはやその時点で信用ならない。言い方変えると、誰かのためになんて気持ちがこれっぽっちもなくたって、例えば災害時にやった行動で結果的に誰かの命を救ったという結果なら、それこそが利他です。あーだこーだ口だけ言って何もしない奴は違うでしょうって話です。

 

ただ、哲学とストーリーメイクは違う。

作家でも映画監督でも、何かを表現する仕事をしている以上、「あなたと似たような感覚を持っていました」というふうに手を挙げてくれる人が出てこなければ、世に問う必要がないのではないかと思う。

これはまさしくその通りで、だからこそ『君の名は。』はあれだけの大ヒットになったのでしょうう。大体、身も蓋もない話をすると、それでは感動ができなくなるってもんです。俗に言う「救いようのない話」になってしまう。そんな話、金払ってまで見たいと思わないわけです。

共感させられる力ってストーリー作りには大事です。

 

川村氏と僕との間にある超えられない壁がわかりました…。

さすがに、勉強になりました。

 

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プライスレスなプレゼントを自慢する奴は大抵ドケチなだけ。

東洋経済オンライン連載-ソロモンの時代#8が公開されました。

今回のタイトルは…

外食費は1家族以上!独身男は「よき消費者」だ

一方、異性に贈るプレゼントは「ドケチ志向」

toyokeizai.net

 

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消費離れや消費支出の低迷がニュースになりますが、あれは大体二人以上の世帯、つまり家族の消費を指しています。

しかし、すでにマジョリティ化しつつあるソロ生活者の消費を見ずして、本当に市場を把握していると言えるのでしょうか?

ソロたちは、自分の幸せのために金を使いますが、だからといって趣味だけに出費しているわけじゃありません。日常の食費にこそ彼らの消費力が発揮されています。

特に、ソロ男たちは、平均3.4人の一家族並みに食費にお金をかけます。外食費にいたっては家族の倍です。

食の市場を動かす主役は、もはや主婦ではなく、ソロ生活者なのかもしれません。

とはいえ、独身者がかつての独身貴族のような消費行動をとっているわけじゃありません。金をかけるべき対象とそうでない対象とを厳しく区分けしています。要はメリハリ消費なんです。

そして、自分のためにお金をかけるのは惜しくないが、他人のためには惜しむ。だから、異性への贈り物はプライスレスにしがちwww

自作の歌とかプレゼントする奴は気を付けてください。もらった方は迷惑以外の何物でもありませんから。

JFM「PEOPLE~日曜日の朝刊・世界を笑え!」収録でした!

今日は半蔵門へ。

JFM「PEOPLE~日曜日の朝刊・世界を笑え!」というラジオ番組に出させていただきました。

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MCは、ザ・ニュースペーパーという社会風刺コント集団です。政治や経済、社会問題などをネタとして扱っているらしく、この番組もいつもゲストは、政治家の先生方なんだとか。

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恐縮です。

さすがに芸人さんなので、リアクションが良くて、べらべらと気分良くお話させていただきました。結婚しているけど、家庭に居場所のないお父さんについて「心理的独身」という名言(迷言)も生まれました。

ありがとうございます。

放送は、3月5日(日)の早朝5時~だそうです。

早起きできる方は、ぜひお聴きください!

 

 

…てか、日曜のそんな早朝って、いったい誰が聴くんだろう?

ああ、だから政治家のゲストが多いのか…。

時代が変わっても、「人とのつながりの大切さ」は変わらない。

本日は、博報堂マーケティングスクールに登壇。

「生活者研究講座 超ソロ社会のマーケティング~人のつながりの新しいカタチ」と題したトークイベントを行いました。満員御礼ありがとうございます!

キッズラインの経沢香保子さんとIT起業家の関口舞さんとともに、2時間たっぷりとお話させていただきました。

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人口の5割がソロとなる社会では、社会は流動化し、マーケティングも大きなパラダイム転換が起きます。従来の昭和的な概念では通用しなくなる時代が来ます。

しかし、その中でも決して変わらないのが、「人とのつながりの大切さ」です。

経沢さんも関口さんもまさにこの「人とのつながり」を重視されて事業を展開されている起業家です。

拙著「超ソロ社会」の中にも書きましたが、家族とソロは対立しないし、むしろつながりあって支え合う世界が生まれることを期待します。

雨の中、ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。

J-WAVE生出演ご報告と、家族だけに依存する人たちに思ったこと

本日、J-WAVE「JAM THE WORLD」生出演してきました。

ナビゲーターはジャーナリストの青木理さん。

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おもしろかった。

青木理さんに、僕の生涯未婚をいじられましたw

そして、番組のスタッフさんが、一人を除いて全員独身という事実。。。やっばり、こういう制作系のお仕事って未婚率高いんだなあ。

リスナーからのメッセージで「自分が結婚できないのは努力が足りないからだ」というのがあったんですが、決して努力の問題ではありませんよ。ましてや、人間としての価値の問題でもない。

結婚してようが、してまいが、そんなことくらいで人間の価値は決まらない。子どもを産んでなかろうが、ちゃんと働いて税金納めて社会に還元していれば、それは子どもを育てていることと同じだ。胸を張っていい。ガラパゴスな既婚者たちの古臭い結婚規範なんか無視。自分を生き、自分を愛せば、自ずと何かの結果が出ますよ。

結婚できないことを負い目に感じ、自分で自分を追い込むソロたちが少しでも減ってほしいと願います。

 

あ…2ショットの写真、撮ってもらうの忘れてしまいました。ホームページの写真が小さすぎる。

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放送は、radikoで一週間、お聴きになれます。

radiko.jp

お時間ある方はぜひ!

 

そして、また放送に対してネガティブな意見もwww

もう毎度のことなんで慣れてきた。

聴いていると 違和感ばかりですね…私達日本人は歴史をさかのぼっても、現在も誇れる家族の形ありますよ…

何を聞いていたんでしょうか?

むしろ、この人は江戸時代までの日本人の家族の形を知らないようです。家族という言葉は明治以降の話で、それまでは「家」という言葉しかありませんでした。人間は「家」という、ある意味経済共同体を構成する要素だったわけです。武家や大商人は別にして、農民も町民もほとんどが共働きです。夫婦は互いに大事な労働力として尊重し合え、子どももまた労働力として重宝されていたわけです。

そして、もっと強固な地域の共同体というものが存在していた。今あるシェアリングエコノミーの概念は、むしろ江戸時代の方が普及していたくらいです。

家族よりも強い地域というコミュニティの中で、助けあっていたのが日本人の生き方のDNAです。家族だけに依存していなかったことは明らかでしょう。育児だろうと、仕事だろうと、実は地域のコミュニティが頼れる複数の依存先としてちゃんと機能していたわけです。

wildriverpeace.hatenablog.jp

 

今は、どうでしょう?

核家族化と社会の個人化に伴い、地域という共同体はほぼ壊滅しました。その結果、あまりにも家族に依存しすぎる人たちと、家族のことは家族で始末をつけろという自己責任意識が強まった。

家族ファーストの名の下に、イクメンなどという言葉によって、家族の中だけで問題を解決させるような世の中。妻は夫が育児協力しないことに腹を立て、夫は妻がイクメンになれていないという文句にストレスを感じる。それが果たして幸せなのか、と。

家族が、家族という縛りの下に、家族だけしか頼れないという状態は、やがて家族の共依存化を進め、共倒れになるリスクを抱えています。

それがわからない人が多すぎなんです。

 

家族に頼るんじゃない、とは言いませんが、家族しか頼れない人間にはなってほしくない。

ソロで生きる力とは、人とつながる力であり、頼れる依存先を複数用意できる力である。依存先がひとつしかない状態の方が危険なのだ。

血縁だけを家族と考えるのはもうやめた方がいい。家族を持つということは、考え方や価値観でつながるということだ。国民全員が結婚して家族を持つよりも、家族であれ、生涯独身であれ、大人たちは頑張って働くべきなんだ。稼いで税金を納めるべきなんだ。家族のために夫婦が無償労働しあったって経済は活性化しない。外注すればいいんだ。

少子化は進むよ、間違いなく。

だからって「産め」という号令は全く無意味。子どもを産むことはもちろん大事だが、子どもを育てるということに価値を置くべきだ。生涯独身だって、子を育てることには貢献できる。それを考えるべきだし、焼け石に水のようなぐたらない婚活支援に金をかけるよりよっぽどマシだ。

結婚できないと言っている自己肯定感の低い人たちに必要なのは、彼ら・彼女たちの達成感であり、達成感を得るために人とつながれる場です。そうした場での出会った人たち一人一人と向き合い、各個人が自分の中の多様性を活性化させて、自分を愛せるようになること。それが先決なんです。

あとは拙著「超ソロ社会」にてお読みください。

 

 

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FM横浜「E-ne!~good for you~」収録でした!

またまたFM横浜へ。

今日は生放送ではなく、収録です。

「E-ne!~good for you~」の『エシコン』というコーナーに、3月1日14時頃から出ます!

心や体、地球にE-ne!なキーワードをピックアップしているコーナーだとかで、拙著「超ソロ社会」の中から、特に第6章の部分を中心にお話しました。

「逆説的ですが、ソロで生きる力とは、むしろ、誰かとつながる力です。人は誰かとかかわり合いながら生きるものです。自立心とは、誰の力もいっさい頼らないことではなく、頼れる依存先を複数用意できることで生まれるもので、依存先がひとつしかないという状況の方こそ憂うべきです」

radikoでもpodcastでも聴けるようなので、ぜひ!

DJのMITSUMIさんと。

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ありがとうございました!

 

そういえば、世間は昨日バレンタインだったそうで…

バレンタイン?なに、それ、おいしいの???

 

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FM横浜「ゴブサタ」に出ました!ベストセラー1位返り咲き!

昨日、お知らせした通り、本日FM横浜「God bless Saturday(ゴブサタ)にゲストとして出演してきました。

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15時から20分強、楽しくおしゃべりさせていただきました。江戸時代の離婚率の高さの話とか、時間差一夫多妻制の話とか、AIマッチングの話とか、いろいろお話しさせていただきましただきました。

 

じゅんごさん、遠近由美子さん、ありがとうございました。

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放送の模様は、以下のradikoで一週間お聴きになれます。

radiko.jp

 

放送開始後2時間後の15時から出ています。よろしくお願いします。

 

 

 

スタジオの入り口にこんなウェルカムボードがありました。

名前が書いてある!

ちょっと感激。こういうさりげないおもてなしっていいですね。

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ちなみに、ラジオ出演効果か、また百田尚樹さんを抜いて1位に返り咲き!ありがとうございます!

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