ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

賃貸フォーラムに登壇しました!

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8/26(月)に、大東建託さんの主催する賃貸フォーラムというイベントでパネルディスカッションに登壇しました。

場所はザ・プリンスパークタワー東京。

同じパネリストとして大東建託小林社長と谷口守さん(筑波大学教授)、モデレーターとして本村由紀子さん(テレ東「モーニングサテライト」の元メインキャスター)とご一緒させていただきました。

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場の演出が「朝まで生テレビ」のようでおもしろかったですwww

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大変楽しくお話させていただきました。

ありがとうございました。

※当日お話した内容は拙著「ソロエコノミーの襲来」に詳しく書いてありますので、ぜひそちらもよろしくお願いします。

結婚は金がなくてもできるが、分別あると結婚できないよ

「金がないから結婚できない」。

そういう声をよく聞きます。

以前、こちら日経COMEMOの記事でも年収400万円以上の未婚男性は3割もいないという話をしました。厳密に言えば28%しかいません。

comemo.nikkei.com

 

この記事に対する反応の大部分がこうでした。

「嘘でしょ?そんなに少ないわけない」

国の統計である就業構造基本調査を元にしはているので、もちろん嘘でも間違いでもないのですが、日本の未婚男の年収状況なんてそんなものなんです。

もちろん、この28%という数字は、はあくまで全国平均ですので、地方差はあります。東京では400万以上の比率は約4割に上昇しますし、逆に、沖縄では1割にも満たない状況です。

全国一律で400万円といっても東京と沖縄とでは随分違います。

そこで、今回は、アラサー男性に限定して「結婚できる/できない」について、エリアによる年収格差を深堀りした記事を東洋経済オンライン連載「ソロモンの時代」に書きました。年収格差の都道府県ランキングを掲載しています。

当然予想通りの部分もありますが、そうくるか! というオチもあるので、ひご一読ください。

toyokeizai.net

 

 

そして、ここからはぜひ上記東洋経済記事をご覧の上で進んでいただきたいのですが、「金がないから結婚できない」という声とは裏腹に、金がなくても結婚しているエリアはしているという差があります。結婚の年収格差というより、エリア格差です。

そして、そのエリア格差との相関が大きいのが妻年上婚の多さでした。つまり、「姉さん女房婚」が多いエリアほど、年収の多寡に関係なく男が結婚しているということです。

毎度たくさんのコメントいただきますが、こんなコメントを頂戴しました。

なぜ「年上女房」だと結婚できるのかについてもっと考察が欲しかった。
しかも減りつつあるとはいえ男尊女卑の傾向が強い九州がトップというのも理由が知りたい。
「男性の年収が低くても女性側が何とかするという覚悟をしているのか」
「逆に、年収が低い男性が年下志向を捨てて年上になびいたのか」
「平均寿命が女性の方が数年長いので、年上でつり合いが取れるからか」
いずれにせよ、本人同士が納得して結婚するのであれば好ましいこと。
男性が「年下」にこだわることがなくなれば、未婚率も下落するかもしれない。

「年上女房だと結婚できる」というということではなく、年上の妻との結婚数はに日本史上最大の婚姻数をたたきだした1970年代前半とほぼ数としてはそれほど変わっていないのです(1970年8万1千組→2015年9万2千組)。

これは何度も言っていることですが、婚姻数が激減したのは夫年上婚の減少によるものです。同じく1975年と2015年の夫年上婚を比較すると、62万組か21万組へと約41万組も減っています。この40万組の婚姻数の減少こそが全体の婚姻数の減少とほぼ一致します。

なので今後「妻年上婚を増やせば婚姻数が増える」とはとても言えません。むしろ、現状でも妻年上婚はマックスの状態でしょう。そして、その妻年上婚を支えていたのが九州地区だったということが今回判明したわけです。

勘違いしないでほしいのは、今回アラサー男性を対象としているからといって、妻年上婚ということはアラサー以上の女性と結婚しているということではありません。就業構造基本調査では、現在の配偶関係がわかるだけであり、その人たちが何歳で結婚したかまではわかりません。

ただ、年収200万円台で結婚している層も九州地方が多いことを考えると、10代や20代の若いうちに結婚した人たちも多いのでは?と推測できます。ひとつ考えられるのが、ヤンキー婚でしょう。もっというならヤンキーのでき婚です。年収があるかないかどうかは関係なく、子どもができてしまったので問答無用の否応なく結婚した夫婦も多いのではないでしょうか。

年収の多寡に関係なく結婚している人たちが、お金のことを軽んじているわけではなく、そんなことを考える余地のない状態だったのかもしれません。

 

樹木希林さんが結婚に関して、こんな名言を残してらっしゃいます。

結婚なんてのは若いうちにしなきゃダメなの。物事の分別がついたらできないんだから。

物事の分別がつくということは、結婚を経済生活と考えることだし、将来子どものことを考えたら蓄えがどれくらい必要かを試算することだし、だとすれば結婚する相手の年収にはこだわりを見せるということでもあります。

分別つくまで晩婚化したら、そりゃあ結婚しないのですよ。

 

婚姻数を増やしたいなら、姉さん女房婚を増やすために年長の女子が頑張ればいいということてばありません。これ以上妻年上婚は増えないでしょう。

結論から言えば、40万組も激減した夫年上婚が増えないとどうにもならないわけです。そして、この夫年上婚がなぜ減ったかといえば、お見合いと職場結婚の減った数とも一致します。要するに、お膳立て婚が減ったから結婚が減ったにすぎない。

かといって、かつてのお見合いが復活することはあり得ないです。要するに、何をどうやったところで婚姻数が増える見込みはないのです。

相変わらず記事に対してヤフコメの方では、「金がないから結婚できない訳ではない。こんな下らない泣き言を云う性格に魅力がないだけだ」とか「こんな下らない泣き言を云う性格に魅力がないだけだ」とか、デフォルトのいつものやつがたくさん来ますが、「金ないから結婚できない」という言い訳ぐらい言わせてあげたっていいじゃんと思います。

僕の持論は、結婚は気合や個人の意思によってなんとかなるものじゃないので。勿論、それでなんとかなる人はいますが、それが僕の言う恋愛強者で、たった3割しかいないわけですから。

給料や景気やセクハラとか言われない職場環境や、そういうお膳立てが揃っていなければ、男が独力で結婚なんかできるわけないんです。そして、そもそもしたいとも思わなくなるのです。

そんなヤフコメの中にも名言めいたものがあったので紹介しますw

結婚だけが人生ではありません。
お金は「絶対に」必要です。
でも。
結婚は、絶対に必要なことではありません。

私が幸せになるのを妨げていたのは?

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今更ながらですが、古い記事のキアヌ・リーブスの言葉が心に刺さったのでご紹介します。

といってもこれは、キアヌ自身が書いた投稿ではありません。キアヌ・リーブスのファンクラブFacebookページで紹介されたものらしいです。

ぜひご一読ください。

ameblo.jp

 

 

個人的に、とても印象に残った一節を引用紹介します。

私の友人の母親は、一生を通して健康的なものを食べてきました。アルコールや「体に悪い」食べ物は決して口にせず、毎日運動をし、体は非常に柔軟で、とても活動的で、医師が薦めるサプリメントは全部摂り、太陽に当たる時は必ず日焼け止めを塗り、また日光に当たる場合も可能な限り短時間で済ませていました。
つまり誰もが考えうる限り最大限で健康に留意していたのです。
彼女は今76歳で皮膚ガンと骨髄のガンになり、非常に深刻な骨粗しょう症になっています。
その一方、私の友人の父親は大量のベーコン、バター、脂肪を食べ、運動など本当に一切したことなく、夏になるたびに真っ赤になるまで日焼けするなど、他人の指図には耳を貸さずに人生を最大限に生きるような生き方をしたわけです。
彼は81歳で、医師曰く、彼の健康状態は若者レベルだと言います。
毒からは完全に逃れることは出来ません。毒はあちこちにあり、あなたを見逃さないでしょう。まだ生きている私の友人の母親は「私の人生がこんな風に終わるのなら、したらいけないと言われていたこと全部をやって、人生をもっと楽しむ生き方を選んでいたのに!」と言っていました。
この世を出る時に生きたままの人はいませんから、どうかあなた自身を真剣に考えすぎた上で扱うのは止めてください。
おいしい物を食べましょう。
太陽の下を歩きましょう。
海に飛び込みましょう。
あなたは自分の心を隠された宝物のように運んでいる、というのが真実です。
馬鹿げたことをやりましょう。
優しく生きましょう。
人生にはその他のために使う時間なんてないのですから



おいしいものを食べ、馬鹿げたことをやっていれば、人生なんてあっという間に過ぎるもので、そんなもんでいいんじゃないんですかね。

勝つか負けるかとか、価値のある人間なのか否かとか、意味のある仕事なのかそうでないのかとか、そういうもので人を指標の罠に陥れようとする小賢しい人間が僕は大嫌いです。

何度も言いますが、人生や仕事に対して「勝つか負けるか」「価値があるかないか」「意味があるかないか」と二択の選択肢を提示する人間は大抵クソ詐欺師なのでご注意ください。

人は、選択肢を提示されると無意識にどちらかを選ばないといけないという暗示にかかってしまいます。詐欺師はそれをわかっているから、あえて二択の選択行動に巻き込むわけです。

選択肢がふたつしかないなんてことはないんですよ。

 

一番の不幸とは、何かの比較とか誰かの比較じゃないと幸せを感じられないことだと思います。俺より儲けているあいつが許せないとか、俺よりいい思いをしているあいつを引きずりおろしたい、なんて感情もそうした比較によってもたらされます。

 

このキアヌ(が言ったとされる)言葉を思い出してください。

私が幸せになるのを妨げていたのは、私自身でした。

 

前向きな気持ちを作るのは意志の力なんかじゃない

ちょっと前ですが、テレビで「今すぐ話さなきゃいけない未来」という番組がありまして、

3年後、田舎に帰らなくてもおばあちゃんの世話ができるようになる!?
5年後、一瞬でやる気がでる“気持ちスイッチ”が発売される!?
10年後、様々な感情を1コインで自動販売機で買えるようになる!?
20年後、たった1本のスプーンで世界中の味が楽しめる!?

みたいな話をいろいろやっていたのですが、その中で「一瞬でやる気がでる“気持ちスイッチ”」なる電気刺激装置を、やる気のない古市憲寿さんが装着したところ、急にニコニコして饒舌になったという…。

まあ、テレビなのでいろいろ演出はあるんでしょうけど、この「やる気スイッチ」を開発したのが慶応大学の先生(すみません、名前失念しました)で、彼女がそのうち「感情を買える時代がくるかもしれない」みたいなことをおっしゃっていました。

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自分の気持ちを買って帰られる「気持ちスタンド」。

どういうものかというと、自動販売機みたいなものの中に入って、自分が欲する気持ちのボタン(たとえば、やる気とか)を推すと、その感情が買えるというものです。ガソリンを売るスタンドならぬ、気持ちを売る「気持ちスタンド」だそうです。

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電気刺激によって感情が変えられるというのはその通りで、所詮感情も脳の勘違いというか、刺激に対する反応でしかないので。

ソロは既婚者と比べて幸福度が低い傾向があります。これし日本に限らず世界的にそうです。既婚者が持っている家族や子どもがいないという欠落感がそうした状況を生んでいるのだと思いますが、そうした不幸感を抱えたソロでも、この気持ちスタンドで前向きになったりするんでしょうか?

一見よさげに見えますが、実は怖いことでもあります。

テレビでは、モテない男子が思いを寄せる女の子をこのスタンドに呼び寄せて、好きという感情を彼女に植え付けるみたいな話をやっていました。理屈から言えばそういうことができるということです。催眠術でもそんなのがありますね。

実は、好きとか嫌いとかは絶対的な感情ではなく、きわめて自己暗示に近いものです。プラシーボ効果(ただの水でも良薬だと思って飲んでいると本当に病気が治る)も似たようなものです。

この機械が本当にみんなに幸せをもたらすのなら別に反対はしませんが、案外機械に頼らなくても人間は自分で「気持ち」のスイッチを入れられるものです。

但し、多くの人が勘違いしていますが、それは意志の力ではありません。「意志さえあればなんでも変えられる」というマッチョ思考こそが癌だと僕自身は思っています。

意志ではなく、環境を変えれば自動的に気持ちは変わります。どんなに不機嫌な人でも周囲が大笑いしている空間に入れられたら、間違いなく気持ちが変わります。最後には笑ってしまっているでしょう。

逆も然りです。怒りまくった集団の中にいると、どんな温和な人でも人は攻撃的になってしまいます。

気持ちのスイッチを変えたければ、今いる場所から離れて、違う場所に身を置けばいいのです。当然、違う場所にいけば付き合う人間も変われます。そうした環境が感情を作るのであって、作られた感情によって意識や理屈が後付されるに過ぎません。

私たちはすでに「気持ちスイッチ」をみんな持っています。ネガティブな感情をずっと抱き続けている人と言うのは、いつも同じ場所で同じ人と同じことをやっていないですか?

意志なんかで行動も人間も変わらないというお話はこちらでしています。「ソロエコノミーの襲来」にも掲載しました。

note.mu

 

令和祝婚する地方、平成締め離婚する地方、それぞれのお国柄

令和元年初の人口動態速報が発表されましたが、 改元特需で婚姻数が今までの4月の3倍(前年5月比でも2倍)に増大しています。

 

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天皇崩御に伴う改元ではなかった点が大きかったのでしょう。平成元年の時も前年と婚姻数はほぼ一緒でしたし、昭和改元や大正改元の際は、むしろ婚姻数は減少していました。しかし、今後もこの調子で婚姻数が伸びるというわけではなく、残念ながら5月だけの特需だとは思います。

同時に、いつもなら3月の年度末に離婚が多い状況にも関わらず、改元前の平成のうちに離婚を片づけてしまおうとする人たちが多かったようで、4月の離婚件数もいつもより多かったようです。

とはいえ、婚姻数が増えることは目出度いことです。それによって、来年の出生率も多少はあがるかもしれません。

 

ところで、このお祭り的な令和婚に影響を受けた地区はどこでしょうか。

2019年1-4月の婚姻数県別構成比と5月の構成比を比較したものを地図にしてみました。

 

なぜか、日本海エリアに集中しています。

ランキングで言えば、1位は三重県で構成比8.9%増、2位は新潟で8.7%増、3位は秋田県で8.0%増でした。東京は、1.2%増で27位でした。

逆に、全く影響を受けないどころか、逆に5%以上も婚姻が減少してしまった地域がふたつあります。

ワースト2は、▲5.7%減の静岡、最下位は▲8.2%減の沖縄でした。

図表はこちらから→日経COMEMOへ。無料です。

https://comemo.nikkei.com/n/n7bce1a6cf017

 

 

未婚も既婚も「働く大人たち」が働けない人たちを支える社会へ

以前、読売新聞朝刊で紹介された僕のインタビュー記事がヤフーニュースにもなりました!

少子化や人口減少は不可避です。こういうと顔を真っ赤にして怒る御仁がたくさんいるんですが、誰が何をしようと日本の人口は2100年には6000万人になるんです。だとするならば、人口が減っても独身が5割になっても大丈夫な適応戦略を考えるべきだと思います。それなのに、いつまでも「ソロvs既婚者」の対立構造を続けていても不毛なだけです。

ぜひご一読ください。

headlines.yahoo.co.jp

未婚や子無しを許さない人というのは、人口減少を危機だと感じているからです。人口減少を危機としてしまうのは、人口が増え続けなければ繁栄がないと考えてしまうからです。それこそ大きな間違いです。

そのため、闇雲に人口だけを維持させようと移民とか言い出すのですが、ピントがズレていると言わざるを得ません。

そうは言っても、このまま少子高齢化が続けば、現役世代である15-64歳人口比率が下がって、増え続ける高齢者を支え続けられないではないか?

そう言われます。が、果たしてそうでしょうか?

内閣府「平成30年版高齢社会白書」によれば、65歳以上高齢者1人に対する生産年齢人口(15~64歳の者)は、2015年の2.3人から、2065年には1.3人へと激減します。現役層1人がほぼ1人の高齢者を支えるということです。

しかし、この計算には大事な視点が抜けています。支えられるべきは高齢者だけではなく、0~14歳の子どもたちも含めないといけません。子どもたちを含めて計算すると、すでに2015年時点で1.5人の生産年齢人口が年少+高齢人口を支えないといけないことになります。これが「生産人口依存指数」です。

しかし、よく考えれば、15~64歳までの全員が働いているわけではありません。進学率も高まり、15~19歳は8割以上が無業者です。25歳以上でも何らかの健康上の理由で働けない人もいるでしょう。生産年齢人口という年齢属性でみるのは無意味なのです。

大事なのは、有業者が無業者(子どもや高齢者および現役層であっても病気などの理由で働けない層含む)をどれだけ支えられるかという視点です。つまり、15~64歳の人口ではなく、子ども含む無業者1人をどれだけの有業者が支えないといけないかという「有業人口依存指数」の視点の方が大事なのです。

「有業人口依存指数」の計算式は以下です。

(15歳以上有業人口)÷(全年齢無業者人口)×100%

それによれば、生産年齢人口依存指数は、頂点の1990年代頭のバブル期と比べて確かに半分以下に激減します。高齢者人口比率が上がるわけですからそれは当然です。

一方、有業人口依存指数でみると、1950年代から現在に至るまで、むしろ増えていることがわかります。頂点は、生産人口と同様バブル期ですが、それでも無業者1人を1.1人の有業者が支えていたことがわかります。それ以前の1950~1980年代にかけては、有業者1人が1人以上の無業者を支える社会であり、むしろ昔のほうが有業者にとって負担の大きい社会だったことがわかります。

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今後、各年齢別の人口減少推計にあわせて、2017年時点の年齢別就業率が同等で推移すると仮定すると、総人口がたとえ半減して6000万人になっても、有業人口依存度はほとんど変化しません。

つまり、人口の絶対数は減っても、支える人と支えられる人のバランスは均衡を保つと言えるのです。

単純に年齢構造だけで判断するのではなく、働く1人が(何らかの理由で)働けない1人を支えればいい社会だと視点を変えてみる。すると、夫婦ならば子ども2人を支えられるということですし、子のない夫婦は見ず知らずの誰か2人を支えています。独身者なら働くことのできない高齢者などを1人支えているということになります。

ここでいう支えるとは直接的に支えるということでありません。働いて、税金納めて、消費をすること自体が、誰かを支えていることにつながるのです。

もちろん有業者それぞれ一人一人の収入額も税支払額も異なります。高齢者と若者の働きとを同列に扱うのも無理がありますが、少なくとも仕事の有無関係ない生産年齢人口指標よりは意味があると考えます。

ソロであろうが、既婚であろうが、子がなかろうがいようが、血がつながっていようがいまいが、同居していようがいまいが、私たちは、仕事や消費という行動でつながっているし、巡り巡って誰かが誰かを支えていると言えるのです。互いにそう信じあえる社会であってほしいと思います。

無意味に対立し、対立した相手を悪だと言って叩きあうより、よっぽど有意義だと僕は思います。但し、自分の考えを押し付ける気はありません。そう思わない人は別に思わなくても結構です。考えがどうあろと、働いて消費してれば、自動的に誰かを支えているんだから。

帰省中「まだ結婚しないのか?」攻撃に使えるデータ

お盆真っ只中ですが、マイナビウーマン連載「知らないと困る 結婚の数字」が公開されました。お盆休みで帰省中の独身の方も多いことと思います。「まだ結婚しないのか?」という親御さんの声に、うんざりしてしまう独身男女の方はぜひこのデータを活用してみてはどうでしょう?

今回は、各都道府県における婚活効率について検証しました。

言ってみれば、都道府県別アラサー男女の「結婚しやすい県と結婚しにくい県」とを、結婚前向き人口ベースでランキングしたものです。

これを見ると、東京や大阪で一生懸命婚活しているのに、全然マッチングされない状況がわかると思います。

自分でもびっくりしましたが、20代後半は全国的に相当な「女余り」です。もちろん人口の絶対数は「男余り」なんですが、「結婚前向き人口」だけを抜き出すと、女の方が多くなってしまうのです。

みなさんのお住まいの県はいかがでしょうか?

「早く結婚しろ」という親の声には、「しょうがないんだよ、男余り(女余り)なんだから」と、こちらのデータも上手にご活用ください。

woman.mynavi.jp

ところで、結婚前向き人口とは、僕が勝手に命名したのではなく、国の正式な統計である出生動向基本調査に基づいて、「1年以内に結婚したい+理想の相手ならしてもよい」という人口を算出すると、25~29歳では男51%・女67%、30~34歳では男64%・女73%と、それぞれ大きな差があるのです。この差分が婚活においては、女余り現象を生みます。

本文はアラサー女子向けにやさしく書きましたが、厳しい現実を突き付けてしまうと、20~30代で「結婚に自発的に前向きな未婚男は4割程度」しかいません。それを裏付けるデータもあります。

2015年国勢調査で、20-30代男性の有配偶率はたったの37%です。4割にも達しないわけです。20-30代女性の有配偶率は45%ですが、これは40代以上の男性と結婚しているからです。

「おっさんは嫌だな」と思う婚活女子は、20代のうちに婚活市場になんか出てこない一般男性を狙わないと難しいかもしれませんよ。婚活市場にいる男性がロクなもんじゃないという意味ではなく(それも少しありますが)、ただでさえアラサー婚活は女子の熾烈な争いになりがちなので、一部のモテ女を除けば、それを繰り返しても疲弊するだけです。

何度も言いますが、男の7割は恋愛に受け身です。待ってたら一生やってきません。