ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

「行動しろ。行動すればわかるよ」とか言う大人は無責任だ。

いつも楽しく拝見している文春オンラインの「かめっち会長の相談室」。ユーザーの質問に、DMMの亀山会長が答えるというもの。

こんな質問が寄せられていた。

高卒の僕。社会を見返したい

僕は高卒です。父は仕事が続かず、母がパートで家計を支え、育ててくれました。僕は、半分はグレて、半分は家を支えるつもりで、高校を出てすぐに左官職人に。両親が「大学に行ってもいいのに」と言ってくれたことが、自分にとっての大卒資格でした。ただ、今になって、自分の学歴にコンプレックスを抱くようになりました。なんとかして、社会を見返したい。いい仕事をして、家族にもそれなりの生活をさせてあげたい。学歴がないなりに、社会で生きぬく方法、社会を見返す方法が知りたいです。(20歳・男・左官職人)

これに対する亀山さんの回答はコチラをどうぞ。

bunshun.jp

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まあ、求められていないんですが、この質問に自分なりに回答するとどうかな?と考えました。

なぜ?

だって、高校でグレて、高卒20歳で左官職人やってるなんて、栃木の田舎者として育った自分としては、めちゃ同じような友達が地元にいるし、親近感わいたからです。

社会を見返したい!

そんな彼に僕が回答するとしたら以下です。

 

見返したれ!見返したれ!

そのためには、見返すべき社会というものをちゃんと知った方がいい。仕組みとか、規範とか、矛盾とか、欺瞞とか…。

そういうものを全部でもないにしろ、部分的にでも認知したら自然とわかることがある。

自分が何を行動すべきかを。

見返したかったのは社会じゃなくて、「社会を見返したいなんて言っていた自分自身だった」ってことにも気付くはず。

がんばれ!

 

社会を見返すとかそんな復讐心みたすなものは忘れろ、とかいう大人いるんだけどさ、自分のガキの頃考えてごらんよ。一部のリア充を除けば、大体がコンプレックスの塊で、それでもなんとなく根拠のない自己有能感(本気出せば何かできるはず)っていう気持ちだけはたくさんあって、でもどうしたらいいかわからなくて、わからないからイライラして…。

そんな感じだったでしょ?

 

こういう若者に「とにかく行動すればわかるよ」とか言うのは無責任だ。

大体において「何をどう行動したらいいかさえわからない」のが本音だから。「行動しろ」というのは結局「つべこべいうな」と同義語で何も言っていない。

彼らの行動のエンジンを回すためには、何かひとつでいい。動くための自分なりの大義名分がほしいんだよ。高卒だからって知識を欲してない、なんて考えるのはバカにしすぎだ。

勉強なんかは興味ないけど、日常的な生き方に関する考え方は彼らは欲している。経験上、四字熟語とかちゃんと解説してやると彼には感激して「座右の銘」にする場合もある。

見返したい!という若いエネルギーは大切にすべきで、そのためには彼らが動きたくなる知識や知恵を授けてあげるのが大人の役割だと思う。例えば、こういう子たちに孫氏の兵法とか教えると目をキラキラさせて聞いてるよ。大体、みんな三国志とか戦国大名とか好きだから。

要は、大学に行かなくたって教養はいくらでも手に入る。

 

そして何より、彼がもっともイライラしているのは自分自身に対してなんだと思うわけ。でもそれは、人が言ってわかることじゃないから。

社会を見返したい。いいことじゃないですか。でもそのためには知れ。社会を知ることを通じて、知れるのは自分自身だから。

来年の今頃、去年の自分を見返してやればいい。