ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

東京以上に日本一若い女性を吸い寄せていたのは大阪だった?

 

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東京への人口一極集中が深刻だという話はよく聞きますが、それはあくまで人口全体、全年齢男女総数の話です。年齢別・男女別にどういう人口移動がされているかをちゃんと把握している人はほとんどいません。

住民台帳報告より過去8年間に渡って、15-34歳の男女の転入の差分(つまり、どこに男が吸引され、どこに女が吸引されているか)を独自に集計してみました。→調べるのマジで時間かかっています。

実にはっきりと区分けされていておもしろいです。最後に、男町/女町の日本マップも掲載しています。あなたの住むエリアはどっちでしょうか?

こちらからご一読ください。

 

toyokeizai.net

まあ、毎度タイトルは違うよな…と思っているんですけど、こういう連載のタイトルに筆者である僕は関与できないので、中身見てくださいw

 

以前にも「全国男余りランキング」という集計を僕が独自で行い記事を書きました。そのデータは、それこそ「月曜から夜ふかし」でも取り上げられましたが、男余りになるエリアというのは、決して男が多く生まれるエリアということではなく、県外から多くの男が流入し、逆に女が流出していってしまうエリアを指します。

20-30代の男余りランキングでは、以下の通り、茨城・栃木・福島・群馬という北関東周辺エリアと愛知だったわけです。逆に、福岡や大阪は男余りが低い。

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今回は、15-24歳と25-34歳というふたつのグループで8年分のデータを見たところ、25-34歳のいわゆるアラサー年代というより、ほぼ15-24歳という20歳前後の若い男女の転入転出の差分が影響していることがわかります。詳細は前述の記事をご覧ください。

つまり、北関東や愛知は20歳前後の男が県外から大挙して押し寄せているため、結果として未婚の男余り現象を生んでいるということです。

この理由は明らかです。

その前に単純に、20-30代の未婚男性比率でみると1位京都、2位東京、3位神奈川、4位埼玉の順です。これは大学をはじめとする学校の数とも相関します。しかし、同時に学校の場合、女性も流入します。だから京都の場合、男女差分はあまり見られないどころか、女性転入超過だったりします。

男性超過転入の原因は、ひとえに就職の影響です。愛知にはトヨタ、茨城には日立製作所をはじめとする工場地帯があるし、栃木には日産やホンダなどの自動車工場があります。そういった工場就職者及び非正規雇用の男女比までは調べていませんが、男性が多いと想像にかたくありません。

転入転出の男女差分は40代以降はほぼ変化がないというのも興味深いところです。要するに、私たちが移動するのは主に15-34歳の間に集中していて、それを超えるとほぼ同じところに住みつくということなんです。

そう考えると、人口の地方分散化を画策するなら、それこそ10代の若者や大学卒業後の20代の若者を吸引しないと意味ないんです。定年後のリタイヤ族の田舎移住とかばっかり推進しているけど、あれ半分くらいは数年後にまた戻ってしまうでしょ?そういうことです。年を取って移動するのは難しいんですよ。

とはいえ、若いうちは都会に憧れます。大学進学率が過半数を超えていて、大学そのものが都市に集中しているし、企業だってほぼ大都市に集中している。東京や大阪・福岡に人口移動が集中するのは当たり前じゃないですか。

特に、女性に関して言えば、15-24歳が超過しているのは大阪・福岡・東京の3つのエリアに集中しています。これが何を示しているかというと、多分女性の働き口がたくさんあるということなんだと思います。裏を返せば、人口が減っている、女性の流出がとまらないなんて言っているエリアは、女性が働ける魅力的な場所が足りないってことです。

 

今回調べて個人的に興味深かったのは、大阪の女性吸引力が東京と同じレベルであったこと。絶対人数でここ4年間の平均でみても、東京と同人数です。ここ4年間毎年平均3500人ずつ女性が多く流入し続けています。人口比にすれば東京以上に若い女性が集積するのは大阪だったということです。

以下は記事には出していない、東京と大阪の年齢別男女差分のグラフです。

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なんとなくイメージとして福岡は九州中の女性が集まるというイメージがありましたが、大阪にこれほど多くの若い女性が集積していたというのは驚きです。

東京は一旦25-29歳で男性超過になりますが、30歳以上でまた女性超過の基調に戻ります。多分これは、もともと首都圏に住んでいた人が(東京は家賃が高くて千葉埼玉在住)30歳で結婚または収入が増えたことで東京に引っ越したということが考えられます。大阪は逆に30歳以上で男女拮抗します。

いずれにせよ、この東京も大阪はこれだけ若い女性を15-24歳時点で集積しているにも関わらず、女性の未婚率が高いということの方が問題です。都市に集積した若者は、絶対数からいえば出会いの機会はあるにも関わらず、だからこそ結婚しないとう状況。

江戸時代に起きた江戸への人口集中も、産業構造によって起きた現象で、仕事を求めて江戸に来て、故郷に戻ることなく江戸で生涯独身のまま死んでいくという状況でした。これは「江戸の蟻地獄」と言われていました。まさにそれと同じ状況ではないでしょうか。

働き口があるから人は集まるのですが、結果働くことで結婚もせず生涯独身で一生を終えるということが相関性あるかまでは断定できませんが、ちょっと今後調べてみたいと思います。