生涯未婚率の上昇率に着目したら、雪国の人たちの苦労が明らかになった。
4月上旬に、新聞紙上を「生涯未婚率」という言葉が席巻しました。これは、国立社会保障・人口問題研究所が2015年の国勢調査をもとに、全国の都道府県別の生涯未婚率などを正式発表したからです。
生涯未婚率の確定値はすでに去年の10月には確定していましたし、僕自身もこちらで記事を書いています。
新聞を読む方々にとっては、そもそも「生涯未婚率とはなんぞや?」という方も多いらしく、話題になっていました(先日、NHKに出たときも同じようなこと言われ、世間の人はまだまだ生涯未婚とかなじみがないということだった)。
さて、都道府県別のデータなんですが、簡単に言うと、
男性では沖縄の26・20%がトップで、岩手26・16%、東京26・06%が続いた。女性は東京の19・20%が最も高く、次いで北海道17・22%、大阪16・50%だった。低いのは男性では奈良18・24%、滋賀18・25%、福井の19・19%で、女性は福井の8・66%、滋賀の9・21%、岐阜の10・00%だった。
男女とも東京高いよね~って感じです。東京の女性が19・20%っていうのは実はすごくて、女性全体が14%であるのを大きく上回っているだけではなく、男性の平均24%に肉薄している。ほぼ並んでいるといってもいいことです。20%ですから、東京の女性の5人に1人は生涯未婚なんです、すでに。
その他、新聞では、なぜか男女とも福井をはじめとした北陸3県の率が低いことが注目されたりしていまして、こんな記事も出た。
まあ、確かに2015年の結果だけを見れば、そういうこともあるかもしれませんが、でもそれって所詮「点」の話ですよね?
しかし、かつて日本はほぼ100%が結婚する「皆婚時代」だした。それは、1980年代まで続いていたわけです。当時は、男女とも生涯未婚率は5%以下でした。今現在20%以上にまではねあがったのはここ30年の急激な変動があったからです。だとすると、1980年と2015年とを比較し、その上昇率がもっとも高い県はどこだろう?と興味を持ったわけです。
未婚とか少子化とか、あと統計学とか人口学とか、いろんな専門家や大学の教授とかいるんですけど、ここに着目した人は誰もいません。だってそんなデータなかったし。
さて、データをとり、比較してみると、実に興味深い傾向が見られました。
その内容については、僕の「東洋経済オンライン連載-ソロモンの時代#12」
でご覧ください。
タイトルで「青森!」って書いてあるので、思い切りネタバレですが、ネタバレついでにおもしろい図をひとつ。
こちらです。
生涯未婚率の上昇率の高いのを赤、低いのを青として分布を塗り分けたものです。一目瞭然です。
男女とも東日本が真っ赤っかです。
要するに、ここ30年全体の生涯未婚率が急上昇していますが、それは東京や大阪、愛知といった都市型だけではなく、ローカル地域、それも特に北日本(北海道・東北・北陸)に集中していたってことなんです。
生涯未婚率というと、いつも東京をはじめとする都市部の数値が高いというイメージがあると思います。それは決して間違いではありません。しかし、未婚率の上昇率で見ると、男女ともに「雪国」県が上位を独占しているのです。生涯未婚率単体のデータだけを見ていると見落としてしまう真実がここにあります。
ぜひ、ご覧ください。
さて、毎度この東洋経済オンラインの連載には、(多分同じ人間なんですが)くだらないコメントを書いて、いちゃもん付けてくるアンチがいます。
思うんだけど、あの人たち、絶対僕のこと好きだよねって思う。
だって嫌いなら見なきゃいいのに、わざわざ全文読んで、コメントまで書いて…。ホントご苦労さまです。そして、ありがとうございます。あなた方のおかけで今日もアクセス伸びてます!
決して皮肉じゃなく、心からそう思います。
キングコング西野さんも言ってたけど、こういう頼んでもいないのに、いちいちコメントやら反論やら批判を書いて、ネット上を盛り上げてくれる人たちがいるから、書いた記事がより多くの人たちの目に触れるんです。彼らは、相手を落とし込もうとしているのかもしれないけど、彼らが叩けば叩くほど、僕らは恩恵をこうむるという構造になっているんです。
いや~本当にありがたいことです!
批判ついでに拙著「超ソロ社会」も買ってくださいな。
超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書) | |
荒川 和久 PHP研究所 2017-01-14 売り上げランキング : 5370 Amazonで詳しく見る by G-Tools |