ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

自分の居場所を探している高校生に伝えたいこと。

僕もインタビュー掲載してもらっている、ハフポストの#だからひとりが好きという特集。

projects.huffingtonpost.jp

 

この中に気になる記事を見つけました。

私はいつもピエロ役。高校3年生、文化祭がつらいです。

www.huffingtonpost.jp

 

文化祭の準備で、学校の友達といる時間が辛いということらしいです。彼女にとって、自分が笑顔で、正直になれる場所は3つだそうです。それは一人と家族と、大好きな幼馴染。

これについて、勝手ながらアンサー投稿します。

 

 

f:id:wildriverpeace:20170704222756j:plain

 

高校生、大学生くらいの時って、みんな「自分の居場所」を探そうとしますよね。この彼女の場合は「今は」それがひとりと家族と幼馴染というだけのことでしょう。でもそれって、あくまで「今は…」です。

家族と学校という狭い世界の中で生きている以上、そう思ってしまうのもそれは当然だし、実はあなたの学校の友達だって同じように思っているかもしれません。案外、みんな同じです。自分の気持ちに正直に生きている奴なんて少ない。せいぜい多くて3割くらいしかいない。

あなたが文化祭の準備が辛いのは、友達との関係性の問題ではなくて、本心から文化祭自体がつまらないと思っているからだけかもしれません。何の目的も達成感もないなら、そう思っても不思議はないです。

勉強が好きな人は授業中、教室の時計なんか一度も気にしないでしょう。それだけ没頭しているから。時計ばかり気になるのはつまらないからです。そしてその時間自体が苦痛です。

だから、単に友達との関係性ではなく、文化祭自体がつまらないということかもしれませんよね。

仮に、「いや違う。私はひとのが好きなんだ。友達といると本当の自分になれないから嫌なんだ」というのが本心だとしましょう。

では、本当の自分ってなんでしょう?

高校生で「本当の自分」なんか、少なくとも僕はわかりませんでした。

 

それくらいの年頃だと、自分の気持ちを言語化できなくてもどかしい思いをすると思います。ちょっとしたことで居心地が悪くなることもあるでしょう。だから、何の努力もなく、自然体でいられる関係が「よい関係」だと思うんですね。ひとりだったり、家族だったり、幼馴染だったり。

それは決して間違っていません。

でもだからこそ「私は他の人とは違う、私はピエロ役だ」という考えって、そうした居心地の悪さを正当化する後付けの理屈かもしれませんよ。無意識にね、人は後付けの理屈をつけては安心する生き物ですから。

 

なんでもかんでもツーカーの相手なんて、そんなにいないです。

そして、なんでもかんでもツーカーの相手は、実はそんなにおもしろくないです。

だって人なんて、全員違って当たり前なんだから。

これから社会に出て、自分と違う考えの人にもたくさん会うことでしょう。これまでは、「考えが違う人とは馴染めない」と頭っから拒絶していたかもしれませんが、あなたの中の新しい自分を生み出してくれるのは、そうした「今までの自分と違った考え方をする人」です。「違和感のある人」です。

友達になれるかどうかはまた別問題。

ですが、そうした違った考え、違和感のある人こそが、あなたの可能性を広げてくれる人なんだと、思います。

 

大事なのは、自分の中の多様性を活性化すること。

そうすれば世界が広がる。居場所なんて無限にあることに気付く。大事なのは、固定の居場所なんかじゃなく、動き回ることだと気付きます。

 

ま、今は「共感できない」「意味不明」「うるせーよ」と思ってもらっていいです。そういうもんです。

 

でも気になったら、以下の本読んでみてください。

 

 

多動力 (NewsPicks Book)
多動力 (NewsPicks Book) 堀江 貴文

幻冬舎 2017-05-27
売り上げランキング : 12


Amazonで詳しく見る by G-Tools

  

人生の勝算 (NewsPicks Book)
人生の勝算 (NewsPicks Book) 前田 裕二

幻冬舎 2017-06-30
売り上げランキング : 8


Amazonで詳しく見る by G-Tools

アリのように生きて、本当に幸せですか?

6/29付けの北海道新聞に載りました!今日掲載紙が送られてきました。

生活面の「くらし探り隊番外編」の特集として、見開きでかなり大きな扱いです。写真はなんか…「ちょっと待ってくださいよ~」と言ってる芸人みたいですが…www

f:id:wildriverpeace:20170703233120j:plain

 

そもそも、なんでわざわざ北海道新聞から取材の話が来たのかは謎です。GWにプぺル展で札幌に行ったからでしょうか?

なんにしても、ありがたいことです。

北海道にお住まいで、北海道新聞購読している方は、ぜひ先週の新聞引っ張り出してご覧ください。

割と良い事云っていると思います。

 

せっかくなので、内容の一部について書きます。

メインは「ソロで生きる力」について語っています。だからこそ「人とつながる力」が大切だ、と。

それ以外に、『アリとキリギリス』というイソップ寓話についてしゃべりました。

f:id:wildriverpeace:20170703233203j:plain

そもそも『アリとキリギリス』の本当のお話って、ご存知ですか?

夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとする。アリは「私は、夏にせっせと働いていた時、あなたに笑われたアリです。あなたは遊び呆けて何のそなえもしなかったから、こうなったのですよ」とキリギリスに告げた上で、食べ物を恵んでくれる。それを機にキリギリスは心を入れ替えて働くようになった。めでたしめでたし…。

だと思っていませんか?

とんでもない。

これは、ディズニーによる改変です。

本当のお話はこうです。

夏の間、アリたちは冬の食料を蓄えるために働き続け、キリギリスはバイオリンを弾き、歌を歌って過ごす。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、最後にアリたちに乞い、食べ物を分けてもらおうとする【ここまでは一緒】。だが、アリは食べ物を分けることを拒否する。そして、その上でキリギリスにこう言い放つ。「お前さ…夏は歌っていたんだろ?冬は踊ったらどうだい?」と。キリギリスは絶望の中、飢え死んでしまう。

 

なんて酷い仕打ちでしょうか?

ですが、このアリの仕打ちって、現代の社会を映す鏡だと思いませんか?

そうです、自己責任ってやつです。

 

「俺たちは暑い夏の間一生懸命せっせと働いていたんだ。だから冬を越すことができる。それがどうだ?お前は夏の間ずっと遊び呆けていたじゃないか!自己責任だ。自業自得だ。死ね!」

と言っているんですよ、アリは。

自分たちさえよければそれでいい。自分たちの家族さえよければそれでいい。例えば、「保育園落ちた、死ね」と言った親とか、「子どもの声がうるさいから、公園に保育園つくるな」と言った老人とか、「マンション内では挨拶禁止にしましよう」と言いだした母親とか、みんな自分のことだけ。自分さえよければ知ったことじゃない。

どうです?アリに似てるでしょ?

加えて、アリは集団での規律を守り、がむしゃらに文句言わず働いていました。かつての社会ではそれが美徳とされていました。逆にいえば、それは組織に従わない「ハミダシ者」は許さないとう規範を生みます。

キリギリスを見殺しにしたアリの行為は、協調性のない、同調しない奴をつまはじき者にする「いじめの構図」と一緒です。

どうです?ますます現代社会に似ているでしょ?

 

集団行動こそが正義、ルールを守ることが正義、みんなと一緒に我慢することが正義。働くことが正義。

でもよくよく考えたら、これって…

つべこべ言わずに働けや!ってこと。働かねえと死ぬぞ!と脅しているのに等しい。

要するに資本主義の奴隷的な扱いなんですよ。

 

農業や工業という産業の中で、人間が集団となってまとまって働く必要があった時代なにらともかく、未来もこれが続くでしょうか?

そもそもキリギリスの生き方は否定されるべき悪いことなんでしょうか?

今まで同様冬が来ると決まっているんでしょうか?

 

冬が来るからアリはせっせと食糧をため込んでいたわけです。だけど、テクノロジーの発達でそもそも冬なんてリスクはなくなるかもしれない。だったら、夏の間過労死しそうなほど働く必要もない。

いや、そもそもこの「貯め込む」ってやつ。今の高齢者がリスクを考えすぎたあげく、タンス貯金で貯め込んでいる状況とも似てます

 

ソリッド社会からリキッド・モダニティへと社会は変わりました。安心・安定していたかつての共同体(地域・職場・家族)は消えつつあります。しかし、一方で、AIやテクノロジーの進歩は、いままでの延長線上ではない想定外の未来を実現するかもしれません。

いってしまえば、未来では、アリのような仕事はAIやロボットに取って代わられるでしょう。むしろ、キリギリスのように人生を心豊かに楽しみながらすごす生き方の方が重要なんです。

いやいや仕事を我慢してやる必要はないし、そういう時間拘束の対価でしか報酬を得られないアリのようなタイプの方が職を失うリスクが高い。キリギリスには、音楽を奏でるという腕があるし、その音楽はみんなを楽しくさせる力だってある。何より自分自身が楽しんでいる。

そっちの方がよっぽど幸せです。

 

アリはどうですか?

食うためだけに(金のためだけに)いろんなことを犠牲にして、長時間働いて、自分が働いているのに遊んでいる奴等のことを嫉妬して、そいつらが失敗したら一斉に「ざまあwww」と叩く。

それって幸せですか?

そんな不寛容な生き方って楽しいですか?

 

真面目にこつこつ努力することが善なんだからうるせえよ、と言いたいお年寄りもいるでしょうねえ。でもそれこそが、長時間労働によるブラック企業を生み出し、いじめによる自殺者を生み出し、「人はこうあるべし」という規範によってかえって人を苦しめていることに気付いたほうがいいです。

 

本当の『アリとキリギリス』の教訓はこうです。

富豪というものは、餓死寸前のものにさえ手を差し伸べないほど冷酷で、独善的なけちである。だから、そういった者に助けを求めてもムダだ。というもの。

物語が生まれた時代背景を表しているとはいえ、まあ救いのない話です。

 

 

外国人プレス向け講演やってきました!

6月28日、公益財団フォーリンプレスセンターのお招きを受けて、なんと外国人プレス向けの講演を実施してきました。

 

f:id:wildriverpeace:20170630211707j:plain

 

フランス、中国、香港、台湾、ドイツ、韓国、米国の記者など多くの方のご参加をいただきました。

もちろん通訳さんはいります。

逐次通訳という慣れない方式で、最初は緊張と戸惑いがありましたが、最後の方は笑いもとれてよかったです。しかし、通訳の方がしゃべっている時に笑いが起きるという時間差攻撃だったのでイマイチ不思議感ありましたね。


外国の方に「日本人の結婚観」とかがどう受け取られるのかと不安もありましたが、とにかく、みなさん熱心に聞いていただき、質問も途切れない。特に、最前列に陣取られたドイツの方は、メモの量も半端なく凄かった。あれだけ真剣に聞いて頂けると心からうれしいです。

むしろ日本人より、ソロ社会化に対する関心や危機意識が高いんじゃないでしょうか。

f:id:wildriverpeace:20170630211748j:plain

 

本当にありがとうございました。

 

動画報告はコチラから。

fpcj.jp

先日発表された国立社会保障・人口問題研究所の報告によると、50歳まで一度も結婚したことがない男性が4人に1人(約24%)、女性が7人に1人(約14%)と過去最高を記録しました。急速に進む結婚離れに加え、離婚や配偶者との死別などもあわせると、2035年には、日本の人口の半分が独身者になるというデータもあります。

FPCJでは、「超ソロ社会 『独身大国・日本』 の衝撃」を執筆した株式会社博報堂の荒川和久氏(ソロ活動系男子研究プロジェクトリーダー)をお招きし、未婚者を生み出す社会構造、日本が世界に先駆けて直面する「ソロ社会」における価値観や消費意識の変化などについてお話いただきました。

 

Video Report: Super-Solo Society

fpcj.jp

According to a recent report released by the National Institute of Population and Social Security Research, the percentage of men who had never married by age 50 was about 24% (1 in 4), and the percentage for women about 14% (1 in 7), new records for these statistics. With divorces and people whose spouses pass away combined with a rapid drop in interest in marriage, there are estimates that half of the population of Japan will be single in 2035.

The FPCJ invited Mr. Kazuhisa Arakawa, Solo Activity Men Research Project Leader at Hakuhodo Inc. and author of the book Super-Solo Society: The Shock of the Unmarried Nation, Japan, to discuss the societal structures and the changes in values and consumer trends as Japan becomes one of the first countries to face the issues of a “solo society.”

孤独に死ぬより、「孤立のまま生きる」方が地獄である。

日本の高齢化社会については、いつも問題視されますね。それは事実だし、異論もないのですが、よくよく数字を冷静に見てほしいんです。

国立社会保障・人口問題研究所が2012年に出した配偶関係別人口推計によれば、高齢者人口3740万人に対して、独身者人口は4800万人!

なんと、高齢者より独身者の方が多い国になるんですよ。 

f:id:wildriverpeace:20170628192411p:plain

 

まさに「ソロの国・ニッポン」。

 

こっちの方が問題じゃね?って気もするんだよな~。

 

 

ということで、東洋経済オンライン連載中の「ソロモンの時代」、今回のテーマは、独身だらけの日本に起きる問題のひとつ「孤独死について取り上げました。

ぜひご一読ください。

toyokeizai.net

 

書くにあたって調べてて驚いたのが、孤独死」に関する国のデータが存在していないということ。記事では、東京都福祉保健局が発表している「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」を使用していますが、これはあくまで東京23区内だけです。しかも、異常死として扱われているんです。

今後、高齢の独身率が増え続けることは自明の理なんだから、国もこういうデータをちゃんと用意した方がいいと思いますよ。

ちなみに、記事では、全国都道府県の「高齢独身率ランキング」も掲載しています。65歳以上の独身の割合ですね。

ちなみに男女5位までは以下です。

f:id:wildriverpeace:20170628192602p:plain

 

男は「沖縄」、女は「青森」が1位なんですね。47位まで出しているので是非記事の方をご覧ください。

 

ここでも驚くのは、なんと高齢女性の独身率は全国平均でも49%。ほぼ半分の高齢女性は独身なんです。要するに、夫に先ただれて一人になってしまったということですね。人口としては、2035年の将来推計人口でも、高齢独身女性は約1200万人にも達しますに(高齢独身男性は半分以下の約500万人)。

つまり、4800万人の独身者のうち、1700万人は高齢者なんです。

未婚の独身という人と、一回結婚して独身に戻る人。2種類の独身がいるわけです。データとして押さえておくべきというか、国にお願いしたいのは、「孤独死」してしまう人の配偶関係の推移なんですよ。

ずっと生涯未婚だった人の方が孤独死しやすいのか、結婚関係が破綻して独身に戻った人の方なのか。現状ではそれを裏付けるデータがないんです。単純に、構成比から類推すれば、当然「離別・死別」の高齢独身者の方が数は多いわけで、そうなると孤独死の危険性が高いのは、そうした「結婚経験のある人たち」なんじゃないかと思うわけです。

 

「結婚しないと孤独死するぞ!」とよく言う人いますが、正しくは…

結婚したところで(男は)孤独死する!

ってことです。

f:id:wildriverpeace:20170628192709p:plain

 

孤独死は、主に人とのつながりを遮断することに起因します。高齢独身者は圧倒的に女性が多いのに対して、孤独死の7割が男性であるという事実は、男がいかに「人とつながる力」がないかということを証明しているでしょう。

 

「孤独に死ぬ」という心配以前に、「孤立して生きない」ように心がけることが大切です。

どう死ぬかではなく、最期の最期までどう生きるか

歌舞伎俳優市川海老蔵さんの妻でフリーアナウンサー小林麻央さんが22日夜、都内の自宅でお亡くなりになりました。まだ34歳でした。

一報に触れた時「え…?」と絶句です。

そして、以下のようなツイートをしました。

 

僕は彼女の闘病ブログも拝見していました。

身体的には辛いだろうし、痛いだろうし、あんなに痩せてしまった姿は見ていて切ないものでしたが、写真に映る彼女はいつも笑顔でした。

だからこそ、今死んでしまうことは「くやしいだろうな」と思ったんです。

 

でも、彼女はそんなレベルなんかじゃありませんでした。間違ってました。

去年の11月に、イギリスのBBCに寄稿した文章を読むとそれがわかります。

www.bbc.com

 

ぜひ読んでください。

 

彼女は当初病気のことを隠していましたが、それを変えるきっかけとなったのが緩和ケアの先生の「がんの陰に隠れないで」という言葉だったそうです。

私は気がつきました。
元の自分に戻りたいと思っていながら、私は、陰の方に陰の方に、望んでいる自分とはかけ離れた自分になってしまっていたことに。
何かの罰で病気になったわけでもないのに、私は自分自身を責め、それまでと同じように生活できないことに、「失格」の烙印を押し、苦しみの陰に隠れ続けていたのです。

理想の母親としてのこだわりを持っていた彼女は、すべて自分でやるべきだと思っていたそうです。病気になってそれができないという事実は、彼女の心をを苦しめました。

「なりたい」理想に「なれない」自分を責めてしまうということは、よくあることです。

でも、彼女は、気付きます。

家族は、私が彼らのために料理を作れなくても、幼稚園の送り迎えができなくても、私を妻として、母として、以前と同じく、認め、信じ、愛してくれていました。

彼女が闘病ブログを公開しはじめたのはそれからです。

例えば、私が今死んだら、人はどう思うでしょうか。
「まだ34歳の若さで、可哀想に」
「小さな子供を残して、可哀想に」
でしょうか??
私は、そんなふうには思われたくありません。なぜなら、病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。

そうなんです。まさしく、彼女がそう思われたくないというふうに僕は思ってしまった。「くやしいだろうに」と思ってしまったのです。

本当に恥ずかしいと思います。

 

麻央さんは「精一杯生きた」。最期の最期まで生き抜いた。彼女の言葉を借りれば、最期まで「人生をより色どり豊かなものにするために」生き通したんです。

今日一日を生き、一分一秒を生き、旦那さんやお子さん、家族との刹那に幸せを感じ取っていた。

僕は、癌でもないし、闘病もしていません。ですが、彼女から励まされました。そして教えてもらいました。

「人はどう死ぬかではなく、最期の最期までどう生きるか」

f:id:wildriverpeace:20170624210056p:plain

 

ご冥福をお祈りします。

 

江戸時代からあったAKB商法とコスプレのお話。

江戸時代というとすぐ「暴れん坊将軍」とか「遠山の金さん」とか「桃太郎侍」などを思い浮かべる人が多いと思います。しようがないですね。時代劇といえば、大体「お侍さん」のお話なんですから。

日本人なのに、意外に知らないのが、「江戸時代の町人」のこと。

 

知ってました?江戸時代の江戸も男余りだったこと。

江戸では男性の数が女性の倍以上いました。男の有配偶率も50%程度で独身男が多かったんです。これらは歴史的な史料でも裏付けされた事実です。

コラムを連載している東洋経済オンラインで、今回は番外編として対談記事が公開されました。

お相手は、江戸時代を中心とした著書を数多く持ち、江戸文化歴史検定1級を最年少で取得するなど「お江戸ル」としてもご活躍中の堀口茉純さんです。

f:id:wildriverpeace:20170621122723j:plain

 

 とてもおもしろい対談になっていますのでぜひご一読ください↓

「独り身大国」江戸と現代の知られざる共通点 コスプレに熱中、食事はデリバリーを頼む

toyokeizai.net

 

個人的にびっくりしたのは、江戸時代にもコスプレがあったということ。

f:id:wildriverpeace:20170621160440j:plain

 

堀口:いちばん大きな仮装のイベントは、吉原で1カ月間仮装パレードをする「吉原俄(よしわらにわか)」というイベントでした。そのときは花魁(おいらん)ではなく、吉原の裏方で働いている芸者たちが出し物をするんですよ。仮装をして踊ってと、まさにハロウィンのパレードみたいな感じです。 

 

江戸幕府ができた当時の日本の人口は、1227万人。吉宗の頃の享保年間には3128万人まで増加しています。ですが、そこから明治維新までの150年間はずっと人口停滞期が続きます。明治維新時点の人口は3330万人でした。もちろん災害や飢饉などもあったでしょうけど、昔の女性は多産だったイメージがあるのになぜ人口が増えないんだろうと不思議じゃないですか?

歴史人口学の大家鬼頭宏氏によれば、以下の通りです。

「晩婚化」が進みました。晩婚化といっても、3~4歳ほど婚期が遅れただけですが、それで1人か2人、子どもの数を減らすことができました。晩婚化がなぜ進んだかといえば、1つには、織物や糸紡ぎなど、女性が活躍できる仕事が増えたためです。また、食糧が行き渡って栄養状況が改善され、子どもの死亡率が下がったことも大きく影響しています。

晩婚化、女性の活躍、死亡率の低下。何やらまるで現代のようです。

 

こうした要因で江戸の人口は停滞したわけですが、前述した通り江戸にはソロ男があふれていました。特に、家を継ぐ必要のない次男坊以降の男は、むしろ「結婚なんかしなくていい」と放置されていた。

江戸には上京してきた「ひとり暮らし」の男の多くが長屋住まいでした。そんな彼らのために発達したのが食産業だったわけです。居酒屋もこの頃できていますし、本文にあるデリバリー型の商売は独身男の需要によって大きく拡大しています。

江戸とアキバが似ている面でいうと、今でいうAKB劇場とかメイド喫茶にあたる「茶屋」というものがありました。茶屋には、いわゆる看板娘がいて、それが評判になると行列ができたほどです。まさに「会いに行けるアイドル」

有名なのは江戸の谷中(やなか)の笠森稲荷の前にあった鍵屋という茶屋。その茶屋には、お仙という美しい看板娘がいました。お仙は明和の三美人の一人として名高く、浮世絵師の鈴木春信が描いています。今で言うアイドル写真集です。

f:id:wildriverpeace:20170621160549j:plain

 

彼女から2、3杯のお茶を入れてもらい、ちょっと言葉をかわして四十文(2千円)前後というから、決して安くない。あまりにも評判になるもんだから、鍵屋も美人画の他、手ぬぐいや絵草紙、すごろくといった所謂「お仙グッズ」も販売して、これがまた売れたというんだから、「独身男ってアホ」だと思う。

歴史学者の磯田道史氏曰く、こうした現象は江戸にとどまらなかった。

AKBの総選挙と同じく「美人くらべ」も勃発。その動きは(SKE48HKT48NMB48などでそうしてきたように)、江戸時代にも全国へ普及し、特に名古屋で盛り上がった。

まさにAKB現象は江戸時代にもあったわけです。

そうして最後、お仙は、この鍵屋の運営してきた幕府御庭番の倉地家のエリート侍の嫁になってしまう。秋元康がおニャンコのメンバーを嫁にしたようなもんです。

当時は情報網がなかっため、お仙は突然行方不明となったようになり、騒然となったようです。中には、『嫉妬に狂った茶屋のオッサンから逃亡し、後年、そのオッサンに見つかり、喉を噛みちぎられて死ぬ』という凄まじい俗説まで実しやかにささやかれる始末。

まあ、NMB48のメンバー須藤凜々花が結婚を発表したとなった途端、掌返ししてしまう一部のファンみたいなもんでしょうか。

今から300年前ですが、何も変わってない!

いってしまえば、春画なんてものも今で言うアダルトAVです。黄表紙は今で言うマンガですね。

独身の男にあふれていた江戸だからこそ、こうした独身男向けの産業が生まれ、それが長年支持されてきたことで、今に続く文化として残っているのです。

そう考えると、今の未婚化・非婚化というのは特に現代だけの異常なものでなく、むしろ戦争のない平和な時代には起こり得る当たり前の現象なのかもしれません。

堀口茉純さんの江戸のライフスタイルに関する内容が盛りだくさんの書籍はこちらです。ぜひどうぞ。 

江戸はスゴイ (PHP新書)
江戸はスゴイ (PHP新書) 堀口 茉純

PHP研究所 2016-09-16
売り上げランキング : 40140


Amazonで詳しく見る by G-Tools

 

f:id:wildriverpeace:20170621160739j:plain

 

ついでに僕のもよろしくお願いします。江戸期の離婚率はなぜ世界一高かったのかという点と現代との類似点について書いてあります。

 

超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書)
超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書) 荒川 和久

PHP研究所 2017-01-14
売り上げランキング : 1181


Amazonで詳しく見る by G-Tools

30歳過ぎて独身は負け組底辺っていうけど、もはや過半数。選挙でいったら独身の方が勝ち!

「負け組底辺だから独身でいいよ!」 30超えて独り身の男性は果たして惨めなのか?という記事というか愚痴を見つけた。かなり拡散されているらしく、ツイッターのタイムラインにも流れてきました。

news.nicovideo.jp

 

要するに、「30過ぎても結婚ができず、子供もいない人生を歩むのは負け犬なのか?」というよく言われる話です。その中にある「負け組底辺だから独身でいいよ」という自虐コメントがタイトルになっていねわけですね。

負け犬ねえ…負け組ねえ…。

それに対する僕の正直な感想は以下です。

 

いや、ホント。お前は何と戦っているんだ?って話ですよ。

仮にそれが勝負だとしましょうか。30代で独身だと「負け」というなら、日本の男の半分は「負け」ていることになりますね。だって、30-34歳の未婚率は47%です。25-34歳のアラサーにしても60%が未婚なんです。むしろ30歳で結婚している方がマイノリティ。2015年の人口動態調査でも男の平均初婚年齢は31.1歳(女29.4歳)です。

30歳で独身なんて普通なんです。

てか、過半数なんですよ。選挙でいったらむしろ独身の方が勝ち組であって、結婚している方こそ民進党じゃないですか。

いや、もっと言うと、何歳だろうが独身が5割の時代になったら、結婚しない生き方でさえ普通になる時代がくる。

 

問題は、こうした書き込みをせざるを得ないように独身を追い込む世間の規範なんですよ。以前も書きましたが、日本人の結婚規範は外国に比べて異常に高く、しかも既婚者だけではなく独身者の結婚規範が高い

「結婚できていない自分はどこか欠陥がある」

そんなふうに自分を追い詰める独身者が多いんです。だから独身男女は無意識に心の中に欠落感を抱え、それが不幸感として表面にあらわれてしまうんです。それについては東洋経済オンライン連載「ソロモンの時代」でも書きました。→参照 40代独身者が「幸せになれない」根本原因

toyokeizai.net

ただ、ツイッター上での反応を見ると、概ね「人は人」「自分が幸せならいいんじゃね」というのも多かった。ちょっと前までは、こうした内容には既婚者の「甘えるな!結婚するのが当たり前だ」のオンパレードだったのが、少し変わってきている感じはします。

それでも相変わらずな意見も多い。

ただ一つだけはっきりしてることは、結婚して家族を築いておかないと老後は孤独死

出た!お決まりの孤独死脅迫!

これについては、もはやいちいち反論するのもバカらしいのですが、結婚しようがしまいが孤独死のリスクはみんなにある。特に、女性はほとんど旦那に先立たれるわけで死ぬ時は一人です。子どもがいたって同居しているとは限らない。なまじ寿命が延びているだけに、逆に突然死の危険性は高まるんです。

そもそも孤独死しないために結婚するなんてのは順序が逆。

 

他には、「独身は自分の好きなことだけやって幸せを感じている」という部分に対する反論だと思うが、こんな意見も。

自分が幸せになるために生きてると思ってる奴はアホ。自分以外の誰かを幸せにするために生まれてきたんだよ、お前は。

はあ?自分以外の誰かを幸せにするために生まれてきた?冗談でしょ。

これね…瀬戸内寂聴の言葉だと思うんだけど、真っ向否定させていただきますわ!この言葉には前フリがあります。

人は死を逃れて生きるということはできない。たえず死と隣り合わせに生きている。人は自分の意志で生まれてきたのではなく、命を授かってこの世に生まれてきたのです。何のために。自分以外の誰かを幸せにするためです。

なるほど…。最後の言葉以外は賛同しますが、だけど、そもそも「生まれてきた目的が誰かのために」なんてことはあり得ない。

だったら、「誰かの約に立っていない人間には価値がないとでも?」言いたいんだしょうか。そんなバカな話はない。

僕は何度も繰り返して言ってるし、「超ソロ社会」にも書いていますが、「誰かのために」とか「何かのために」という言い方で自己犠牲を強いる詭弁が大嫌いです。

加えて言うなら「利他」という言葉が大嫌いです。

超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書)
超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書) 荒川 和久

PHP研究所 2017-01-14
売り上げランキング : 7844


Amazonで詳しく見る by G-Tools

 

人間は、皆ひとりひとりが自分自身が幸せになるように生きるべきです。そういうと、そんな社会は、個人の利己主義だらけのバラバラな社会になるという頭の悪い指摘をいただきますが、「自分の幸せとは何か?」をちゃんと考えてほしい。

自分の幸せは自己完結できるものではないんです。人は人とつながり、互いの承認や達成を認め合うことで幸せを感じられる。だから、自分が幸せになれるということは周りの誰かも幸せにしているんです、結果的に。

誰かのために自分は我慢して…なんて発想になるから、「搾取」や「詐欺」が起こるんです。人を詐欺ろうとする人間をなめちゃいけません。詐欺る奴等は大体不幸感を抱えている奴等をカモにしますからね。

f:id:wildriverpeace:20170616193819j:plain

「あなたが不幸せなのは、誰かのために何も施していないからです。さあ、このツボを買ってみんなのために尽くしましょう」

よくある定番詐欺台詞じゃないですか。

自分の幸せのために生きる。それこそが、周りの幸せを生みだす原動力。それでいいんです。「幸せになるために結婚する」「結婚したら幸せになれる」なんてことも順序逆だし、迷走している。

大体「人を幸せにしてやる」という変え方自体が傲慢甚だしい。幸せなんてものは、「してもらう」ものでもないし、「成し遂げる」ものでもない。「そこにあることに気付く」ものです。

 

 

ベストセラー作家で出家もしている瀬戸内寂聴の言葉と荒川和久ごとき雑魚の言葉とどっちを信じるか?瀬戸内寂聴に決まってんだろ?信用度が違うわ?

どうぞ、ご自由に。

別に賛同してほしいから書いてるわけじゃないのでね。瀬戸内寂聴の言葉だろうが、高名な坊さんの言葉だろうが、独裁者の言葉だろうが、自分で納得できないものは納得しないだけなんでね。

ひとつ言っておくと、肩書きや権威だけでその人自身やその人の言葉を丸ごと信用するのは、「愚か者」の典型だし、「自身の選択と決断の放棄」だからやめた方がいいですよ。

それこそ不幸への谷底に向かう行動そのもの。

ちなみに、瀬戸内寂聴全体は否定しているわけではございません。この言葉だけは納得できないだけ。悪しからず。