ソロで生きる力@荒川和久

独身研究家として、テレビや新聞・雑誌などのメディアに出演しています。著書「結婚滅亡」「ソロエコノミーの襲来」「超ソロ社会」「結婚しない男たち」など。東洋経済オンライン等でコラム執筆しています。執筆・取材・対談・講演のご依頼はFacebookメッセージからお願いします。https://www.facebook.com/profile.php?id=100008895735359

外国人プレス向け講演やってきました!

6月28日、公益財団フォーリンプレスセンターのお招きを受けて、なんと外国人プレス向けの講演を実施してきました。

 

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フランス、中国、香港、台湾、ドイツ、韓国、米国の記者など多くの方のご参加をいただきました。

もちろん通訳さんはいります。

逐次通訳という慣れない方式で、最初は緊張と戸惑いがありましたが、最後の方は笑いもとれてよかったです。しかし、通訳の方がしゃべっている時に笑いが起きるという時間差攻撃だったのでイマイチ不思議感ありましたね。


外国の方に「日本人の結婚観」とかがどう受け取られるのかと不安もありましたが、とにかく、みなさん熱心に聞いていただき、質問も途切れない。特に、最前列に陣取られたドイツの方は、メモの量も半端なく凄かった。あれだけ真剣に聞いて頂けると心からうれしいです。

むしろ日本人より、ソロ社会化に対する関心や危機意識が高いんじゃないでしょうか。

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本当にありがとうございました。

 

動画報告はコチラから。

fpcj.jp

先日発表された国立社会保障・人口問題研究所の報告によると、50歳まで一度も結婚したことがない男性が4人に1人(約24%)、女性が7人に1人(約14%)と過去最高を記録しました。急速に進む結婚離れに加え、離婚や配偶者との死別などもあわせると、2035年には、日本の人口の半分が独身者になるというデータもあります。

FPCJでは、「超ソロ社会 『独身大国・日本』 の衝撃」を執筆した株式会社博報堂の荒川和久氏(ソロ活動系男子研究プロジェクトリーダー)をお招きし、未婚者を生み出す社会構造、日本が世界に先駆けて直面する「ソロ社会」における価値観や消費意識の変化などについてお話いただきました。

 

Video Report: Super-Solo Society

fpcj.jp

According to a recent report released by the National Institute of Population and Social Security Research, the percentage of men who had never married by age 50 was about 24% (1 in 4), and the percentage for women about 14% (1 in 7), new records for these statistics. With divorces and people whose spouses pass away combined with a rapid drop in interest in marriage, there are estimates that half of the population of Japan will be single in 2035.

The FPCJ invited Mr. Kazuhisa Arakawa, Solo Activity Men Research Project Leader at Hakuhodo Inc. and author of the book Super-Solo Society: The Shock of the Unmarried Nation, Japan, to discuss the societal structures and the changes in values and consumer trends as Japan becomes one of the first countries to face the issues of a “solo society.”

孤独に死ぬより、「孤立のまま生きる」方が地獄である。

日本の高齢化社会については、いつも問題視されますね。それは事実だし、異論もないのですが、よくよく数字を冷静に見てほしいんです。

国立社会保障・人口問題研究所が2012年に出した配偶関係別人口推計によれば、高齢者人口3740万人に対して、独身者人口は4800万人!

なんと、高齢者より独身者の方が多い国になるんですよ。 

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まさに「ソロの国・ニッポン」。

 

こっちの方が問題じゃね?って気もするんだよな~。

 

 

ということで、東洋経済オンライン連載中の「ソロモンの時代」、今回のテーマは、独身だらけの日本に起きる問題のひとつ「孤独死について取り上げました。

ぜひご一読ください。

toyokeizai.net

 

書くにあたって調べてて驚いたのが、孤独死」に関する国のデータが存在していないということ。記事では、東京都福祉保健局が発表している「東京都監察医務院で取り扱った自宅住居で亡くなった単身世帯の者の統計」を使用していますが、これはあくまで東京23区内だけです。しかも、異常死として扱われているんです。

今後、高齢の独身率が増え続けることは自明の理なんだから、国もこういうデータをちゃんと用意した方がいいと思いますよ。

ちなみに、記事では、全国都道府県の「高齢独身率ランキング」も掲載しています。65歳以上の独身の割合ですね。

ちなみに男女5位までは以下です。

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男は「沖縄」、女は「青森」が1位なんですね。47位まで出しているので是非記事の方をご覧ください。

 

ここでも驚くのは、なんと高齢女性の独身率は全国平均でも49%。ほぼ半分の高齢女性は独身なんです。要するに、夫に先ただれて一人になってしまったということですね。人口としては、2035年の将来推計人口でも、高齢独身女性は約1200万人にも達しますに(高齢独身男性は半分以下の約500万人)。

つまり、4800万人の独身者のうち、1700万人は高齢者なんです。

未婚の独身という人と、一回結婚して独身に戻る人。2種類の独身がいるわけです。データとして押さえておくべきというか、国にお願いしたいのは、「孤独死」してしまう人の配偶関係の推移なんですよ。

ずっと生涯未婚だった人の方が孤独死しやすいのか、結婚関係が破綻して独身に戻った人の方なのか。現状ではそれを裏付けるデータがないんです。単純に、構成比から類推すれば、当然「離別・死別」の高齢独身者の方が数は多いわけで、そうなると孤独死の危険性が高いのは、そうした「結婚経験のある人たち」なんじゃないかと思うわけです。

 

「結婚しないと孤独死するぞ!」とよく言う人いますが、正しくは…

結婚したところで(男は)孤独死する!

ってことです。

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孤独死は、主に人とのつながりを遮断することに起因します。高齢独身者は圧倒的に女性が多いのに対して、孤独死の7割が男性であるという事実は、男がいかに「人とつながる力」がないかということを証明しているでしょう。

 

「孤独に死ぬ」という心配以前に、「孤立して生きない」ように心がけることが大切です。

どう死ぬかではなく、最期の最期までどう生きるか

歌舞伎俳優市川海老蔵さんの妻でフリーアナウンサー小林麻央さんが22日夜、都内の自宅でお亡くなりになりました。まだ34歳でした。

一報に触れた時「え…?」と絶句です。

そして、以下のようなツイートをしました。

 

僕は彼女の闘病ブログも拝見していました。

身体的には辛いだろうし、痛いだろうし、あんなに痩せてしまった姿は見ていて切ないものでしたが、写真に映る彼女はいつも笑顔でした。

だからこそ、今死んでしまうことは「くやしいだろうな」と思ったんです。

 

でも、彼女はそんなレベルなんかじゃありませんでした。間違ってました。

去年の11月に、イギリスのBBCに寄稿した文章を読むとそれがわかります。

www.bbc.com

 

ぜひ読んでください。

 

彼女は当初病気のことを隠していましたが、それを変えるきっかけとなったのが緩和ケアの先生の「がんの陰に隠れないで」という言葉だったそうです。

私は気がつきました。
元の自分に戻りたいと思っていながら、私は、陰の方に陰の方に、望んでいる自分とはかけ離れた自分になってしまっていたことに。
何かの罰で病気になったわけでもないのに、私は自分自身を責め、それまでと同じように生活できないことに、「失格」の烙印を押し、苦しみの陰に隠れ続けていたのです。

理想の母親としてのこだわりを持っていた彼女は、すべて自分でやるべきだと思っていたそうです。病気になってそれができないという事実は、彼女の心をを苦しめました。

「なりたい」理想に「なれない」自分を責めてしまうということは、よくあることです。

でも、彼女は、気付きます。

家族は、私が彼らのために料理を作れなくても、幼稚園の送り迎えができなくても、私を妻として、母として、以前と同じく、認め、信じ、愛してくれていました。

彼女が闘病ブログを公開しはじめたのはそれからです。

例えば、私が今死んだら、人はどう思うでしょうか。
「まだ34歳の若さで、可哀想に」
「小さな子供を残して、可哀想に」
でしょうか??
私は、そんなふうには思われたくありません。なぜなら、病気になったことが私の人生を代表する出来事ではないからです。

そうなんです。まさしく、彼女がそう思われたくないというふうに僕は思ってしまった。「くやしいだろうに」と思ってしまったのです。

本当に恥ずかしいと思います。

 

麻央さんは「精一杯生きた」。最期の最期まで生き抜いた。彼女の言葉を借りれば、最期まで「人生をより色どり豊かなものにするために」生き通したんです。

今日一日を生き、一分一秒を生き、旦那さんやお子さん、家族との刹那に幸せを感じ取っていた。

僕は、癌でもないし、闘病もしていません。ですが、彼女から励まされました。そして教えてもらいました。

「人はどう死ぬかではなく、最期の最期までどう生きるか」

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ご冥福をお祈りします。

 

江戸時代からあったAKB商法とコスプレのお話。

江戸時代というとすぐ「暴れん坊将軍」とか「遠山の金さん」とか「桃太郎侍」などを思い浮かべる人が多いと思います。しようがないですね。時代劇といえば、大体「お侍さん」のお話なんですから。

日本人なのに、意外に知らないのが、「江戸時代の町人」のこと。

 

知ってました?江戸時代の江戸も男余りだったこと。

江戸では男性の数が女性の倍以上いました。男の有配偶率も50%程度で独身男が多かったんです。これらは歴史的な史料でも裏付けされた事実です。

コラムを連載している東洋経済オンラインで、今回は番外編として対談記事が公開されました。

お相手は、江戸時代を中心とした著書を数多く持ち、江戸文化歴史検定1級を最年少で取得するなど「お江戸ル」としてもご活躍中の堀口茉純さんです。

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 とてもおもしろい対談になっていますのでぜひご一読ください↓

「独り身大国」江戸と現代の知られざる共通点 コスプレに熱中、食事はデリバリーを頼む

toyokeizai.net

 

個人的にびっくりしたのは、江戸時代にもコスプレがあったということ。

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堀口:いちばん大きな仮装のイベントは、吉原で1カ月間仮装パレードをする「吉原俄(よしわらにわか)」というイベントでした。そのときは花魁(おいらん)ではなく、吉原の裏方で働いている芸者たちが出し物をするんですよ。仮装をして踊ってと、まさにハロウィンのパレードみたいな感じです。 

 

江戸幕府ができた当時の日本の人口は、1227万人。吉宗の頃の享保年間には3128万人まで増加しています。ですが、そこから明治維新までの150年間はずっと人口停滞期が続きます。明治維新時点の人口は3330万人でした。もちろん災害や飢饉などもあったでしょうけど、昔の女性は多産だったイメージがあるのになぜ人口が増えないんだろうと不思議じゃないですか?

歴史人口学の大家鬼頭宏氏によれば、以下の通りです。

「晩婚化」が進みました。晩婚化といっても、3~4歳ほど婚期が遅れただけですが、それで1人か2人、子どもの数を減らすことができました。晩婚化がなぜ進んだかといえば、1つには、織物や糸紡ぎなど、女性が活躍できる仕事が増えたためです。また、食糧が行き渡って栄養状況が改善され、子どもの死亡率が下がったことも大きく影響しています。

晩婚化、女性の活躍、死亡率の低下。何やらまるで現代のようです。

 

こうした要因で江戸の人口は停滞したわけですが、前述した通り江戸にはソロ男があふれていました。特に、家を継ぐ必要のない次男坊以降の男は、むしろ「結婚なんかしなくていい」と放置されていた。

江戸には上京してきた「ひとり暮らし」の男の多くが長屋住まいでした。そんな彼らのために発達したのが食産業だったわけです。居酒屋もこの頃できていますし、本文にあるデリバリー型の商売は独身男の需要によって大きく拡大しています。

江戸とアキバが似ている面でいうと、今でいうAKB劇場とかメイド喫茶にあたる「茶屋」というものがありました。茶屋には、いわゆる看板娘がいて、それが評判になると行列ができたほどです。まさに「会いに行けるアイドル」

有名なのは江戸の谷中(やなか)の笠森稲荷の前にあった鍵屋という茶屋。その茶屋には、お仙という美しい看板娘がいました。お仙は明和の三美人の一人として名高く、浮世絵師の鈴木春信が描いています。今で言うアイドル写真集です。

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彼女から2、3杯のお茶を入れてもらい、ちょっと言葉をかわして四十文(2千円)前後というから、決して安くない。あまりにも評判になるもんだから、鍵屋も美人画の他、手ぬぐいや絵草紙、すごろくといった所謂「お仙グッズ」も販売して、これがまた売れたというんだから、「独身男ってアホ」だと思う。

歴史学者の磯田道史氏曰く、こうした現象は江戸にとどまらなかった。

AKBの総選挙と同じく「美人くらべ」も勃発。その動きは(SKE48HKT48NMB48などでそうしてきたように)、江戸時代にも全国へ普及し、特に名古屋で盛り上がった。

まさにAKB現象は江戸時代にもあったわけです。

そうして最後、お仙は、この鍵屋の運営してきた幕府御庭番の倉地家のエリート侍の嫁になってしまう。秋元康がおニャンコのメンバーを嫁にしたようなもんです。

当時は情報網がなかっため、お仙は突然行方不明となったようになり、騒然となったようです。中には、『嫉妬に狂った茶屋のオッサンから逃亡し、後年、そのオッサンに見つかり、喉を噛みちぎられて死ぬ』という凄まじい俗説まで実しやかにささやかれる始末。

まあ、NMB48のメンバー須藤凜々花が結婚を発表したとなった途端、掌返ししてしまう一部のファンみたいなもんでしょうか。

今から300年前ですが、何も変わってない!

いってしまえば、春画なんてものも今で言うアダルトAVです。黄表紙は今で言うマンガですね。

独身の男にあふれていた江戸だからこそ、こうした独身男向けの産業が生まれ、それが長年支持されてきたことで、今に続く文化として残っているのです。

そう考えると、今の未婚化・非婚化というのは特に現代だけの異常なものでなく、むしろ戦争のない平和な時代には起こり得る当たり前の現象なのかもしれません。

堀口茉純さんの江戸のライフスタイルに関する内容が盛りだくさんの書籍はこちらです。ぜひどうぞ。 

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ついでに僕のもよろしくお願いします。江戸期の離婚率はなぜ世界一高かったのかという点と現代との類似点について書いてあります。

 

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超ソロ社会 「独身大国・日本」の衝撃 (PHP新書) 荒川 和久

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30歳過ぎて独身は負け組底辺っていうけど、もはや過半数。選挙でいったら独身の方が勝ち!

「負け組底辺だから独身でいいよ!」 30超えて独り身の男性は果たして惨めなのか?という記事というか愚痴を見つけた。かなり拡散されているらしく、ツイッターのタイムラインにも流れてきました。

news.nicovideo.jp

 

要するに、「30過ぎても結婚ができず、子供もいない人生を歩むのは負け犬なのか?」というよく言われる話です。その中にある「負け組底辺だから独身でいいよ」という自虐コメントがタイトルになっていねわけですね。

負け犬ねえ…負け組ねえ…。

それに対する僕の正直な感想は以下です。

 

いや、ホント。お前は何と戦っているんだ?って話ですよ。

仮にそれが勝負だとしましょうか。30代で独身だと「負け」というなら、日本の男の半分は「負け」ていることになりますね。だって、30-34歳の未婚率は47%です。25-34歳のアラサーにしても60%が未婚なんです。むしろ30歳で結婚している方がマイノリティ。2015年の人口動態調査でも男の平均初婚年齢は31.1歳(女29.4歳)です。

30歳で独身なんて普通なんです。

てか、過半数なんですよ。選挙でいったらむしろ独身の方が勝ち組であって、結婚している方こそ民進党じゃないですか。

いや、もっと言うと、何歳だろうが独身が5割の時代になったら、結婚しない生き方でさえ普通になる時代がくる。

 

問題は、こうした書き込みをせざるを得ないように独身を追い込む世間の規範なんですよ。以前も書きましたが、日本人の結婚規範は外国に比べて異常に高く、しかも既婚者だけではなく独身者の結婚規範が高い

「結婚できていない自分はどこか欠陥がある」

そんなふうに自分を追い詰める独身者が多いんです。だから独身男女は無意識に心の中に欠落感を抱え、それが不幸感として表面にあらわれてしまうんです。それについては東洋経済オンライン連載「ソロモンの時代」でも書きました。→参照 40代独身者が「幸せになれない」根本原因

toyokeizai.net

ただ、ツイッター上での反応を見ると、概ね「人は人」「自分が幸せならいいんじゃね」というのも多かった。ちょっと前までは、こうした内容には既婚者の「甘えるな!結婚するのが当たり前だ」のオンパレードだったのが、少し変わってきている感じはします。

それでも相変わらずな意見も多い。

ただ一つだけはっきりしてることは、結婚して家族を築いておかないと老後は孤独死

出た!お決まりの孤独死脅迫!

これについては、もはやいちいち反論するのもバカらしいのですが、結婚しようがしまいが孤独死のリスクはみんなにある。特に、女性はほとんど旦那に先立たれるわけで死ぬ時は一人です。子どもがいたって同居しているとは限らない。なまじ寿命が延びているだけに、逆に突然死の危険性は高まるんです。

そもそも孤独死しないために結婚するなんてのは順序が逆。

 

他には、「独身は自分の好きなことだけやって幸せを感じている」という部分に対する反論だと思うが、こんな意見も。

自分が幸せになるために生きてると思ってる奴はアホ。自分以外の誰かを幸せにするために生まれてきたんだよ、お前は。

はあ?自分以外の誰かを幸せにするために生まれてきた?冗談でしょ。

これね…瀬戸内寂聴の言葉だと思うんだけど、真っ向否定させていただきますわ!この言葉には前フリがあります。

人は死を逃れて生きるということはできない。たえず死と隣り合わせに生きている。人は自分の意志で生まれてきたのではなく、命を授かってこの世に生まれてきたのです。何のために。自分以外の誰かを幸せにするためです。

なるほど…。最後の言葉以外は賛同しますが、だけど、そもそも「生まれてきた目的が誰かのために」なんてことはあり得ない。

だったら、「誰かの約に立っていない人間には価値がないとでも?」言いたいんだしょうか。そんなバカな話はない。

僕は何度も繰り返して言ってるし、「超ソロ社会」にも書いていますが、「誰かのために」とか「何かのために」という言い方で自己犠牲を強いる詭弁が大嫌いです。

加えて言うなら「利他」という言葉が大嫌いです。

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人間は、皆ひとりひとりが自分自身が幸せになるように生きるべきです。そういうと、そんな社会は、個人の利己主義だらけのバラバラな社会になるという頭の悪い指摘をいただきますが、「自分の幸せとは何か?」をちゃんと考えてほしい。

自分の幸せは自己完結できるものではないんです。人は人とつながり、互いの承認や達成を認め合うことで幸せを感じられる。だから、自分が幸せになれるということは周りの誰かも幸せにしているんです、結果的に。

誰かのために自分は我慢して…なんて発想になるから、「搾取」や「詐欺」が起こるんです。人を詐欺ろうとする人間をなめちゃいけません。詐欺る奴等は大体不幸感を抱えている奴等をカモにしますからね。

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「あなたが不幸せなのは、誰かのために何も施していないからです。さあ、このツボを買ってみんなのために尽くしましょう」

よくある定番詐欺台詞じゃないですか。

自分の幸せのために生きる。それこそが、周りの幸せを生みだす原動力。それでいいんです。「幸せになるために結婚する」「結婚したら幸せになれる」なんてことも順序逆だし、迷走している。

大体「人を幸せにしてやる」という変え方自体が傲慢甚だしい。幸せなんてものは、「してもらう」ものでもないし、「成し遂げる」ものでもない。「そこにあることに気付く」ものです。

 

 

ベストセラー作家で出家もしている瀬戸内寂聴の言葉と荒川和久ごとき雑魚の言葉とどっちを信じるか?瀬戸内寂聴に決まってんだろ?信用度が違うわ?

どうぞ、ご自由に。

別に賛同してほしいから書いてるわけじゃないのでね。瀬戸内寂聴の言葉だろうが、高名な坊さんの言葉だろうが、独裁者の言葉だろうが、自分で納得できないものは納得しないだけなんでね。

ひとつ言っておくと、肩書きや権威だけでその人自身やその人の言葉を丸ごと信用するのは、「愚か者」の典型だし、「自身の選択と決断の放棄」だからやめた方がいいですよ。

それこそ不幸への谷底に向かう行動そのもの。

ちなみに、瀬戸内寂聴全体は否定しているわけではございません。この言葉だけは納得できないだけ。悪しからず。

多様性の時代とは、違う価値観を持つ人たちがいる社会ではなく、一人の中の多様性が認められる時代なのだ。

臨済宗建長寺派「林香寺」の住職でありながら、精神科医でもある川野泰周さんとの対談記事(後編)が公開されました!

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FOR2035来るソロ社会の展望を語る – vol.3後編 / ゲスト:僧侶・精神科医 川野泰周さん ソロ社会に必要なのは、語らいと自分を愛する体験

www.hakuhodo.co.jp

 

前編では、未来のソロ社会において必要なのは、「セルフコンパッション」と「対話」というお話がなされました。引き続き、後編では、「対話」の場の重要性とともにアイデンティティの話にまで触れていきます。

ぜひご一読ください!

 

対談ではこんなお話を僕はしています。

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とかくみんな、ソロも既婚も一緒ですが、職場や家族だけに人間関係が閉じがちじゃないですか。そうすると、企業人としての自分、親としての自分、そういう単一の自分の殻に自らを追い込んでしまう。それって、自分の中の多様な可能性を自分自身で排除しているのと同じなんですよね。

多様性、多様性といいながら、我々が一番欠けている視点というのは、「自分の中の多様性」に目を向けることじゃないかと思うんです。

 

拙著「超ソロ社会」の第6章でこんなことも書いています。

多様性社会というのは、簡単に言えば、「ひとりひとり異なる価値観を互いに尊重し合い、受容し合える環境を築く社会」ということになるのだが、実は大事なのは、個々人の多様性ではなく、一人の人間の中にある多様性に気付くことなのだ。
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思えば、大量消費時代は、「十人一色」でした。みんなが同じモノを買い、同じテレビを見て、同じような家庭を築いた時代。それが、自己表現や個性重視の時代には「十人十色」に変化し、それが今や「一人十色」となったのである。なったというより、以前から人間はそうだったのだが、それがやっと認識されるに至ったと言うべきかもしれません。

多様性の時代とは、違う価値観を持つ人たちがいる社会ではなく、一人の中の多様性が認められる時代なのだ。

なぜこれが大事かというと、僕は常々「依存すべきものが一つしかなく、選択肢がない状態が依存である」と言っています。「一人十色」とは、自分の中に自分が十人いるということだ。そうすれば、依存する対象が十倍に増える。つまり、ソロで生きるためにも、この「自己の中の多様性」という考え方が重要になる。

「本当の自分」が、たった一人しかいないと信じ込み、存在するはずのない唯一の「本当の自分」を探しにインドなんかに出かけるよりも、日常の中で相手ごとに違う顔を見せる自分自身がすべて本当の自分だと認めた方が楽ではないですか。

日本人はもともとそうした環境や自己の多様性を受容してきた民族でした。

初詣も除夜の鐘もクリスマスも、それぞれの良い所を都度楽しむのが日本人のいいところですしね。すべてのものに神が宿るという「八百万の神にもあるように、異質な価値観の存在を認め、多様性を認めて併存してきた社会だったと思うんですよ。そういう柔軟な考え方を、自分のアイデンティティにも当てはめてほしいですね。

アイデンティティは決して唯一無二のものではありません!

 

 

 

前編もあわせてどうぞ。

www.hakuhodo.co.jp

 

政府の言う「女性が輝く社会」が進むと、女性の未婚率があがる。

昨日公開された東洋経済オンラインの連載「ソロモンの時代」の記事 "女性が直面する「稼ぐほど結婚できない」現実 未婚化は低年収男性だけが原因じゃなかった" は、かなりの反響をいただきました!

タイトルは編集さんが付けたものですが、要するに「政府の言う女性が輝く社会が進むと未婚率があがるぞ!」という話です。

 

たった1日で、週間ランキング3位にランクイン。月間ランキングでも13位。さらに、その前の記事もつられて14位でした。

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「いいね」数も3768件(6/12 18:00)で自己最高。コメントも321件でこれまた自己最高です。まあ、コメントの内容のうち一部は例のアンチによってあらされていますが…。

さらに、NewsPicksでも661picks(6/12 18:00)は、自分の記事としては自己最高!コメントは一部を除いて概ね好意的でした。

 

さらにさらに、

ヤフーのトップトピックスにも取り上げられました!

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ヤフーのコメント数は、2276件!これはカテゴリーランキング1位!この2000を超えるコメントの中で一番「そう思う」ボタンを押して頂いたのが以下のコメントだったからです。

「色々意見はあるだろうけど、この方の考えは割と的を得ていると思う」

これが、8879の「そう思う」を頂きました!

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これがなにより一番うれしい。ありがとうございます。

 

すべてのコメントに目を通した上でまた書きたいと思いますが、こうした記事に皆さんがこれだけアクセスし、コメントまでよこしてくれるというのは、それだけ関心が高いということだと思います。

「昔から言われていることだ」という指摘もありますが、これだけインパクトのある見せ方でわかりやすく提示してきた人っていますか?いないでしょう(自画自賛)。だからこんなに注目されたんだと思います。

 

真面目な話…

未婚化の原因を探る場合、男性の貧困とか女性の経済的自立とか、職場結婚を含む社会的お見合いシステムの崩壊とか、そういったある意味マクロ的な視点も必要ですが、ミクロの視点で見てみることも大事だな、と。

「同類婚」「男性の下方婚」「女性の上方婚」など、潜在的に刷り込まれた環境的規範によって、こうした状況が生まれていることは否めないと思います。女性より一足早く、経済的な理由により、ある一定数の男たちは「下方婚」を諦めてしまいはじめています。能力的に「できない」のではなく、環境的に「できない」んです。「できない」というよりマッチングされないと言った方がいいかもしれません。

 

既に一部の男性たちは、結婚という仕組みから離脱しはじめています。それは、もはや昭和的な「男が養うべし」という規範条件を満足させられないという理由からです。しかし、それはあくまで「年収いくら以上じゃないと結婚できない」というデジタルな情報でしかなくて、男たちは相手の女性を全く見ていません。

女性たちも同様です。今回題材にした高学歴・高収入の女性たちの未婚率が高いというのも、相手の男個人は見ていなくて、「大学どこ?」「年収いくら?」というデジタルな条件しか見ていないことが多いのです。

結婚とは、本来男女のマッチングであるはずなのに、男女とも人間を見ていない。

 

記事本文にも書きましたが、高年収女性が望むハイスペックな男の絶対数は多くない。するとどうしてもマッチングされない女性があぶれるんです。

レース参加を棄権する男たちと、自己の最適化だけにこだわり続ける女たち。


記事の中では、経済学で言われる「マッチング理論」で説明しています。

お互いが自己の最適化を図ろうとすると、かえって全体のマッチング数は少なくなってしまうのです。お見合い結婚は、情報量が限定されていて個人の選択余地が少なかったのですが、だからこそ当時の驚異的な皆婚が実現できていたといえるのです。

皆婚時代を支えた「お見合い結婚」や、ほぼ社会的なお見合いシステムだった80年代までの「職場結婚」があったからこその100%マッチングが実現していたわけです。

個人の自由があればなんでもいいかという話ではない。

 

もちろん、経済的に自立した女性であれば、十分ソロで生きる力もあるでしょうし(もともと「人とつながる力もある女性はソロで生きる力が男性より大きい」)、無理して、または、妥協して結婚する必要性もない人も多いでしょう。

そもそも僕自身は、「結婚するのが当たり前」とか「結婚して子どもを育てて一人前」という昭和の価値観の押しつけに反対する立場で活動しているものですから、まったくもって未婚であるという選択や決断に異存はないし、むしろ尊重します。

勘違いしないでほしいのは、働く女性が未婚率高いからといって、「女性は専業主婦になるべし」だなんて全然思っていません。

とはいえ、2010年出生動向調査での年代別女性の結婚意思を見ると、30-34歳はほぼ7割以上が結婚に前向きなんです。結果的に生涯未婚で終わったとしても、女性の大部分はその時期結婚を考えているのです。

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結婚したいという意思があり、なおかつ、仕事に対しても意欲があった女性が、どちらかを選ばないといけないという究極の選択を迫られているのだとしたら、やはり何かがおかしいのだと思わざるを得ません。

結婚した女性でも、結婚や出産という理由のために離職を余儀なくされている女性も大勢います。本当はもっと働きたかったかもしれないのに。

だからどうすべきか、という話はまた別の話です。しかし、正しく現状を理解するということが、まずは議論のスタートラインに立つ第一歩ではないでしょうか。今後考えていきたいと思います。

 

テレビ番組の放送作家さん、リサーチャーさん、ニュースネタなどを探している番組関係者の皆さん、これからはこうしたソロ社会ネタの時代ですよ。

ラジオ番組のレギュラーやりたいので、ぜひお声がけくだい。独身者の悩み相談コーナーとかやりたいです。