「つながるぼっち」! AIマッチングへの助走をスタートさせました!
9/26ニュースリリースされました。
独身研究家の荒川と慶應大学SDM教授の前野隆司先生とエムグラム診断の松村有祐さんと共にコラボプロジェクト始動します。
その名も「つながるぼっち」。
人口の半分が独身になるソロ社会。
だからこそ、従来の家族や職場以外での人とのつながりが重要で、それが個人の幸せにも影響します。そのためにも、意識や価値観などの「考え方でつながる」仕組みづくり、場づくりが大切で、たとえ「ぼっち」であっても社会的に孤立しない関係性のあり方を考えたいと思いました。
本プロジェクトは、そうした課題をテクノロジーによって解決する施策のひとつとして、約400万人の性格診断データを保有するエムグラムラボと共同。個人の内面意識による相性マッチング分析研究などを行い、独身生活者の幸福につながる研究、検証も行ってまいります。
ところで、エムグラムって知ってますか?
今年5月くらいにインスタやフェイスブックで見たことがある人多いと思います。9マスのデザインで性格診断をしてくれるやつ。
これは5/10にやった僕の性格診断結果です。
これを診断するには105問の質問に答える必要があり、まあまあ大変なんですが、だからこそ精度の高い診断が可能になります。そして、性格というのは時期によって変わります。それは当然で、一度確定した性格がずっと変わらないわけがないんです。
つまり、人は環境やその時付き合う人によって性格も変わっていくもの。裏返せば、付き合う人によって人間は変わってしまうもの。同様に、自分もまた付き合う相手を変えてしまう影響力があるんです。
「人とのつながり」とはそれくらい重要。 wildriverpeace.hatenablog.jp
今回はこのエムグラム診断の解析システムとも協業しながら、「人間の内面において何がマッチングの大事な要素となるのか?」について研究していきたいということです。
具体的には、
・「独身生活者同士のヒトのマッチング(主に友人関係・職場人間関係)
・「独身生活者と仕事とのマッチング(就活・適職選び)
・「独身生活者とモノとのマッチング(書籍や映画コンテンツ・趣味やレジャー)。
将来的にAIの活用含めた「人のつながりと幸せ」の可能性を模索できればと考えます。
そう、実は本当に重要なのは、後の「AIによるマッチング」なんです。
そもそもこのコラボのきっかけとなったのは、僕と幸福学の前野先生との対談からでした。対談の内容は以下から。
後編の最後の部分で、こんなことを僕がお話したんです。
僕は将来的に、一人一人に自分の事を全部わかっているパーソナルAIがいて、これらが絶えずネットにつながって、個人のAI同士が互いに代理コミュニケーションを取れるようになって欲しいと思ってるんです。そうして「あなたに合う人がいたよ」って言って、AIが本人に教えてくれるのが理想だなと思っているんです。「話してみたら良いんじゃない?」って提案してくれるんですよね。話してダメならそれで構わないんですけど、最初のきっかけを作ってくれるAI。マッチングをしてくれる自分の分身ロボットですね。恋愛だけじゃなくても、ビジネスで合う人もいるだろうし、ただ単に「話したら面白いんじゃない?」っていう人でもいいだろうし。
実はこの話、以前にも1/30公開の NewsPicksのインタビューでも未来構想としてお話したことがありました。
↓これです。
AIがさらに発展してくると、本人が行動しなくても、世界中から最適な相手をコンピュータが見つけてくれる時代になるでしょう。おそらくそう遠くない未来には。
今のお見合いシステムや結婚相談所の問題は、自分をよく見せようと「盛る」ことが可能なことです。優しくないのに優しいと自分のプロフィールに書いても、いずれはばれてしまいます。
今後、AIが、SNS、ツイッター、ブログだけでなく、日常の会話まで拾うようになると、AIはある意味、本人よりも本人らしくなります。
「こういう人とは合わない」とか「こういう考え方の人とは相性が良い」といったことまでわかってきます。今まで付き合った彼氏や彼女のデータを分析すれば、顔の好みもデジタル化できるでしょう。
本人同士は一回もリアルに会ったことがなくても、AIによるマッチングは“運命の出会い”になることも可能です。
AIの世界では、お互いのAIという分身がいて、その分身同士が前もって2年くらい付き合うことも可能でしょう。そうして、バーチャル上でうまくいったカップルだけが、リアルに会えばいいのです。その場合、本人同士もうまくいく確率が高まるはずです。マッチング精度は格段に向上するでしょう。
これ公開した時、一部の知識層からは叩かれましたね~。あと、女性からは男目線だとかなんだとかぐちゃぐちゃ言われて…。
否定的な人というのは、多分AIという機械にマッチングされるのが、プライド的に我慢ならないんだろうな、と思います。結婚とは愛情の延長線上にあると考える人もこれは受け入れられないでしょう。
でもよく考えてほしいのは、結婚って愛情なんですか?って話。じゃあ、かつてお見合い結婚が8割の時代の結婚は嘘偽りだったんですか?って話。愛情の先に結婚がある、という考え方そのものが今の未婚化を生んでいるんですよ。それに気付けていないガラパゴスな人が多すぎる。
言い方変えれば、マッチングを主観でやっているからいろいろ齟齬が発生するんです。マッチングなんてものは客観性が必要なんです。結婚や恋愛に限らず、友人関係も就職もそうです。
まあ、そんなこんなでいろいろ批判されていたわけですが、前野先生にこのお話をしたら、こうでした。
それ、いいですね! 僕がやりたいことにドンピシャですよ!
いやいや、かなり学者さんからも批判されたんですよ。AIなんかに操られたくないとかなんとか…と言うと、
それは、未来が見えてないかもしれないですねぇ。今だって相当テクノロジーに操られているじゃないですかね。でも、それ絶対できますよ。だって、あると絶対に良いじゃないですか。実現しましょう。
こういう感覚のマッチングというのは非常に大事なんです。
論理的に何がいいと思ったかどうかというよりも、その時点の感覚でいいと思うこと。まさに「エモい」という感情です。
これからいろいろと詰めていくことにはなりますが、同じことを面白がってくれる人とのつながりこそが、ここでいう「つながり」であり、コミュニティに発展します。AIを作ることが目的なのではなく、それをツールとして活用した未来にどんな「つながり」と「コミュニティ」が生まれるか、そっちが本当の狙いです。
みなさんもまずはエムグラム診断してみてくださいm-gram.com
早速、日経新聞にも取り上げられました!
日本の一人暮らし世帯数は世界3位だって知ってた?
キングコング西野さんの足元にも及びませんが、ごくごくたまにヤフーニュースになる男・荒川です。
TOKYO FM「TIME LINE」に出た時の記事がヤフーニュースになりました!
なんとコメント数793件!
しかし内容見ると、まだまだソロ社会への認知が低いようです。人口の半分が独身者になるという事実すら知らない人がまだまだたくさんいるんだなあ。日本の大手新聞とかがなぜか取り扱わないからね。特に朝日と産経ね。
それにしても相変わらず意味不明なコメントも多くて閉口する。たまには、意味不明なコメントに対して反論してみましょう。むかつくから!
日本の単身世帯の絶対数が世界3位だと僕が言ったことに対して、こんなアホなコメントが…。
絶対数で言うと3位というくだりで読む価値がないと思ってしまった。人口100人で独身率100%の国(絶対数100人)と人口100万人で独身率1%の国(絶対数1万人)を比べて100万人の国の方が問題なのかな?売上的に結婚を強く望んでいるはずのゼクシィのCMでも見てもう少し考えてほしい。
なんでしょう、この「俺、ちゃんと計算できるよ」アピール。
100万人の絶対数の方が問題あるに決まってんじゃん。国の中だけで完結する話じゃないんだから。単身率とかだけで見ると、いかにもスウェーデンとかの方が多いから(40%)そういうふうに考えがちだけど、今後これ以上独身数が増えると当然男余り現象になるわけで、そうした時にグローバルでのマッチングが起きると考えると率じゃなくて問題は数でしょうがよ。
知らない人多いけど、日本は300万人の男余りで、中国は3600万~3800万人の男が余っています。中国の余っている男だけでスウェーデン+ベルギー+ハンガリー+ポルトガルの全人口に匹敵します。もっといえば、中国の余っている男だけでイギリスとスペインの全女性とイコールですよ。率だけで見ちゃうとわからないでしょう?
ゼクシィ云々の話とか脈絡ないし本当にわけがわかりません。
もうひとつ。日本は1億以上の人口があるんだから単身世帯の絶対数が多いのは当たり前だ!というアホコメントもありました。
世界で日本の人口は何位だか知ってますか?10位です。
日本の10倍以上のインドや2倍のインドネシアより多いこと自体が大変なことですし、単身世帯上位4カ国(中国・米国・日本・ロシア)だけで世界の一人暮らしの43%を占めるんです。
これって一人暮らしビジネスを図るんだとしたらこの4カ国だけを狙った方がいいという話なんですよ。それくらい絶対数は重要なんです。
もうひとつ、後編のこちらの記事も取り上げられました。
現段階でコメント数451件!
こちらもくだらないコメントもありますが、まともなのもたくさん。
例えば…
一人でも生きれる人が結婚すべきだと思う。相互依存の結婚生活ほど息苦しいものはない。
これは本当にそうです。この人「相互依存」って書いてますが、多分言いたかったのは「共依存」のことだと思います。さびしいから結婚したいという人は実は結婚に向いていない人だと僕は思います。
…で、まさに自立されている主婦からこんなコメント。
全く同意、主婦だけど。夫はベストフレンドで大事な家族、パートナーだけど、別人というか、気持ち的にいっしょくたになるべきではない。介護問題や子育て問題で家族内で依存し合う結果行き場がなくなるようなことが日本では多い。それは助けてるって思う自己満に近いです、ほんとはお互い溺れてる。ひとりで暮らす老人が可哀想で嫁や子供の世話になる老人が幸せとも限らないし。家族サイドの犠牲や我慢の上での同居なら全員の幸せレベルの低い家族でしょう
おっしゃる通り。家族が家族しか頼れないことで全員が破壊されるリスクがある。家族というものはリスクなんです。そういう危機感を持たない人たちが多すぎなんですよ。
こういう意見…
損得だけで考えたら、結婚なんてしない方が圧倒的に得ですよ。ただ、嬉しいことがあっても悲しいことがあっても、真に共有できる人が誰もいない、自分がどんなに立派に生きようがだらだら生きようが、誰も困りもしなきゃ喜びもしない、そういう生活は張りがないし寂しいな、どんなに得なことを抱え込んでても意味ないな、と三十半ばの独身おじさんはだんだん思えてきたのです。損得のためなんかじゃなく、そういうもののためなら、結婚もまあ意味があるのかなと思う。
男性なんですが、男性の方が結婚に対してこういうメルヘン脳になってしまうものです。女性はなんだかんだ現実的です。そして、そっちが正しい。
決して損得だけじゃないですが、結婚も家族も人生も「愛」だとかだけではやっていけないし、家族で助け合うのも大事だけど、「助けあう」というのは家族だけに限定されるべきものじゃない。
じゃなければ、なんのためのコミュニティなのか、なんのための国家なのか、という話です。
ただ、ソロ社会問題について2015年頃から比べるとかなり意識が変わってきているのはひしひし感じます。前は、「結婚しないこと、子ども産まないことは完全に悪」という風潮だった。
別に非婚を推奨しないし、子どもを育てることは大切ですよ。
でも、こうした現象は個人の意識のレベルの問題でなく、社会の進むべき「見えざる手」によって導かれている不可避な現実なんです。だからって未来は決して暗黒じゃないから。
詳しいことは拙著
を読んでね!市役所及び大学関係者の皆さま、ぜひ講演会に呼んでください!
国立市公民館での講演、無事終了しました!
集客が心配だったのですが、ふたをあけたら満員御礼!
ありがとうございます!
しかも、当初は30-40代中心と言われていたのですが、なぜか60代以上の方多め、しかも会場のお客様のうち独身者はたったの2名だけ。急遽、高齢者向けの話も盛り込みました…。
でも、みなさん、「いつかはソロに戻る」という危機感をお持ちなのか、真剣にメモ取りながら聞いて頂きました!あと。リアクションもよくて、終始笑いありの講演会になりました♪
アンケートでも「おもしろかった」という回答をたくさんいただきまして、ほっと胸をなでおろしています。
江戸のお話はやはり鉄板でした!
こうした市主催の講演とか、もっといろんなところでやるべきだよな~。聞いてほしいよな~。おじいちゃん、おばあちゃんの方がちゃんと未来を見据えている気がした。
いろんな地区の行政の方、ぜひご検討ください。
あ、あと大学関係者の方もよろしくお願いします!学生さんにもたくさん聞いてほしい。
自分で言うのもなんですが、話は相当おもしろいですよ。
インスタ映え女子とアイドルオタクとは本質的に同じ
TOKYO FM「Time Line」に生出演してきました。お相手は佐々木俊尚さん。
お世話になりました。ありがとうございます!
こちらのradikoから一週間だけお聴きになれます。19:23以降に登場です。
インスタ映えを読み解くカギとなる「エモ消費」とは何か?についてお話しました。
もともと産経新聞に掲載されて以下のニュース、 を読んで感想をツイートしたのですが…。
インスタ映えについての考察。「モノ消費」から「コト消費」へと言われたのは2000年のことで、かれこれ20年前ですが、これからは「所有価値」でもなく「体験価値」でもない「精神価値」としての「エモ消費」が鍵になってきます。続くhttps://t.co/dMywBa7ckb
— 荒川和久@「超ソロ社会」著者 (@wildriverpeace) 2017年9月4日
新聞記事では、インスタ映えはいつの時代も人が持つ「承認欲求」だとかでまとめているんですが、全然違うと思うんだよね。もちろん承認欲求は人間の根源的な欲求のひとつだからそれはアリなんだけど、それだけでやっているわけじゃない。
インスタ映えについての考察を消費行動の変遷から論考したものです。
「モノ消費」から「コト消費」へと言われたのは2000年のことで、かれこれ20年前ですが、これからは「所有価値」でもなく「体験価値」でもない「精神価値」としての「エモ消費」が鍵になってきます。
「エモい」とは落合陽一さんがよく使う言葉ですが、ロジカルの対極にあるもので「もののあはれ」や「いとをかし」に近い感情です。
インスタに写真をあげるのは単純な承認欲求だけではなく、達成感であり、幸せ感の確認でもあり、自己肯定感のためです。これは、堀江貴文さんの言う「感情のシェア」が幸せにつながるというのとも通じます。
ですから、情報共有欲求というより、感情共有によるコミュニティ帰属意識の確認に近いと思います。だからこそ文字でくどくど説明しない、1枚の写真でわかる人にはわかるという体裁が都合がいい。自分たちの周りのごく身近なコミュニティの中だけで承認されればいいということです。
まとめると、承認と達成とコミュニティ意識の満足、それがインスタというツールを活用したエモ消費を生みだしています。いうならばグラノヴェッターの弱い紐帯のあらわれに近い。
ラジオではこんな話をしようと思っていたら、いつの間にかアイドルオタクの話や「この世界の片隅に」の話やらいろいろなお話になってました。「インスタ映え」でパンケーキの写真を撮る女子と、AKBを応援したり、コミケに没頭するオタクとは本質的な部分で同じなんです。
結婚させたい国家と結婚したくない個人の戦い
未婚化のニュースでは必ずといっていいほど引用される出生動向調査「9割の独身が結婚したいと言っている」というデータがあります。
しかし「9割が結婚したい」という言い方は真っ赤な嘘!
結婚に前向きなのは、男性は4割未満しかいないし、女性も過半数に達しないのが真実で、それは30年前から変わっていません。
そんな記事を書きましたので、ぜひぜひご一読ください。
いつもはネガコメントで炎上する僕の記事ですが、今回のは割と好意的なものも多く、そのせいかコメント絶対数が少ない。炎上しないと読まれないっておかしくないか?
それはさておき、ヤフーの記事の方にとても興味深いコメントがありました。引用させていだたきます。
結婚とは「制度」である。そして「制度」である以上、「その制度を利用するかどうか」という話になるということ。更には、制度というものは「不変」ではない。人々は、「(漠然と)結婚という(不変の)制度があって、その制度の方に自分の価値観を合わせなければならない」と思っている。それは「結婚する」にしても「結婚はしない」にしても同じで、だからこそ「年収が云々」とかの話になるのだ。ところが、これだけ結婚というものが「制度疲労」を起こしてくると、「制度としての”結婚”は利用しない」という考え方をする人々が増えてくる。しかも、この考え方はあるターニングポイントを過ぎると「加速度的に」増える。そのとき崩壊するのは「結婚という制度」の方なのであって、人々の価値観の方ではないということだ。
結婚という制度が疲労を起こしているという意見はまさにその通りです。ただ、だからといって今の結婚制度がなくなるとも僕には思えない。
こういう話のたびにすぐ「フランスのPACSを見習え」という声もあがりますが、はっきりいって、PACS的なこと導入して結婚数があがるわけはないんです。
せっかくなので、婚姻とPACSの違いを列挙します。
こちらの記事を参考にしました→フランスで結婚する - 結婚?PACS?同棲? - フランス生活情報 フランスニュースダイジェスト
もともと同性カップルのための制度だけあって、財産や所得税に関する権利は充実しているようですが、だとしてもこれで日本人がカップルになるかといったら疑問です。
結婚しない理由はそこじゃないからです。
ただ、取り急ぎ子どもを生む意思もなく、共働きを続ける意思が双方にあり、最悪性的な関係性がなくて一緒にいる経済的メリットを感じられる契約形態としての制度なら、契約同棲的な位置づけとしてはありかもしれません。友情婚とでもいえばいいんでしょうか。
それを事実婚というから面倒になる。
ツイッターでもこんな感想がありました。
結婚させたい国家と結婚したくない個人。どっちについて商売をすべきかやろか。
— キャバクラ経営企画TOM (@go_tmk) 2017年9月12日
「独身の9割が結婚したい」説の根本的な誤解 この30年で「一生結婚しない予定」の人は増加 | ソロモンの時代―結婚しない人々の実像 - https://t.co/bLII58CIfo
結婚させたい国家と結婚したくない個人。
言い得て妙です。タイトルに使わせて頂きました。
とにかく人口の半分は独身になるまでこの動きはとまらない。でもだからといって未来は暗いわけじゃない。今の価値観や規範で考えるからそうなるだけです。
【講演会のお知らせ】国立市で講演します!
生産性が叫ばれる現代にこそ必要な無駄とは?
幸福学の第一人者である前野隆司先生(慶應義塾大学大学院SDM研究科教授)と対談しまして、その記事の前編が公開されました。ぜひご一読ください。
前野先生は、大学で幸福学を教えるのに加えて、たくさんの幸福についての書籍も出されています。
幸せのメカニズム 実践・幸福学入門 (講談社現代新書) | |
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実践 ポジティブ心理学 幸せのサイエンス (PHP新書) | |
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脳はなぜ「心」を作ったのか「私」の謎を解く受動意識仮説 (ちくま文庫) | |
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など。どれもおもしろい内容です。
前野先生はもともとロボットの研究をされていたのですが、それがいきなり畑違いの幸福学というものを追求しようとされたきっかけもユニークです。
人間の心を理解するため、ロボット研究をしていたんです。笑ったり喜んだりするロボットの心のアルゴリズムを作ることで、人間が笑ったり喜んだりすることを理解できると考えたのです。笑うロボットは、たしかに作ることができました。でも、むなしさを感じてしまったんですよ。ロボットは笑っているふりをしている、「人間の偽物」にすぎないと気付いたのです。そこで、本物の人間の幸福にせまるために、幸福学の研究をするようになりました。
独身者は既婚者と比べて幸福度が低いというのは、どの調査でも同様です。さらに女性に比べて男性の幸福度も低い。つまり、独身男性は誰よりも幸福度が低いということになります。
これは、間違った解釈してしまうと「結婚できない独身男性は幸せじゃない」という結論に誘導されそうですが、決してそうではなく、むしろ「男性というものはそもそも幸福度が低い」ということじゃないかと思うんです。
つまり、「群れるより孤独を好む」とか「共感より論理的思考で結論を出したがる」とか「ひとつのことにこだわり、没入しがち」とか、よくある男性あるあるの特性というのは、基本的にソロ気質だと思うんです。
逆に見れば、女性が幸福度高く、特に既婚女性や母親の幸福度が高いというのは、「みんなでつるむ」とか「共感し合う」とかいわゆる女性の井戸端会議気質こそが幸福度をあげるポイントだったりするとも言える。どうでもいい無駄話が重要だったりするんです。
要するに「他者とつながる」ってことですね。
そういう意味で、同じ女性でも、バリバリ仕事をしていて、専門職やクリエイティブ系の仕事をしている独身女性は、男性性の比率が高く、ソロ男度が高い。それによって不幸度が高いんだと思うと納得できる。
その他、前野先生との対談では、「生産性が叫ばれる現代にこそ無駄が必要」というお話も出ました。
かなり同意。世の中無駄ってホント大事。
この「生産性」とかいう言葉が、ちょっと前にもてはやされましたがあれ大嫌いです。
世の中、そんな生産性とか効率性とかで片づけられるかい!って思う。
働き方改革とかいう話題でいつも言われるのが「労働時間の短縮」なんですが、あれこそ「働く」とか「仕事」ってことをまったく理解していない「時給労働」の考え方だと思うわけですよ。
だから「ワークライフバランス」って言う言葉も虫唾が走るほど嫌い。
なにバランスとってんだよ?って思う
バランスとることじゃねーだろって。つーか、ライフとワークがどうして別物なのか理解不能。少なくもすべてがライフであり、ライフの中にワークなんてものは包括されているもんじゃないの?
そういう意味では、落合陽一さんのいう「ワークアズライフ」は真理だと思うし、もっと言えば個人的には「オールイズライフ」でしかないと思う。
最大の問題は、ワークとライフとを無理やり別物に区分して、ワークは「苦しいもの」という範疇に追い込んでしまう心理こそが不幸感が生まれる元。
もっとも人に依っては、「仕事とはやりたくもないことを金のためにいやいややっているものだ」という人もいるでしょう。それ自体を否定しないし、そうせざるを得ない人がいることも確かです。
みんながみんな「好きを仕事にできる」なんてことを言うほど僕は詐欺師じゃない。
だけど、「好きなことを仕事にした人」ばかりじゃなくて、「仕事を好きになった人」の方が多いんじゃないかってこと。好きな部分を見いだして、達成感を発見すれば、どんな仕事も没入できる。もっと言えば、仕事そのものが作業レベルでつまらないものでも、その人間関係によっては、それ自体を楽しくやりがいのあるものに認識変更させられる力があるはず。
だからこそ言いたいのは、職場での自殺とかの本当の理由は、労働時間の長さとかではなく、人間関係の悪さだと思うんですよ。
月曜日仕事行きたくない人のほとんどって、仕事そのものが嫌なんではなくて、その職場にいる誰かと会いたくないっていうのがほとんどだと思う。
そうした関係性の悪さがが不幸感を生み、心の欠落感をうめられなくなり、うつ病などに陥ってしまう元凶。(もちろん労働時間の長さに限度はあるよ。疲れるからね~)。